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- Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
- / ISBN・EAN: 9784472110016
感想・レビュー・書評
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本書は、20世紀末の数年間に渡るアメリカ高等教育における「試練の時代」(troubled times)が到来することを、1990年末頃に予測して記されたものとなっている。関連して3つの意義がある。一つは卓越した知見でその試練を描いていること。もう一つは、それらは現代日本の大学に関する課題の議論されることがほとんどであること。三つ目は、本書の翻訳版を世に問うプロジェクトが進んでいたこと、といえる。
その「試練」の例は以下(p.14)。
・高等教育機関が産業の一つに組み入れられ、知的独立を失う。
・大学の企業体質化
・納付金により依存。より奨学制度の充実が求められる。
・基礎的な数学・言語能力・世界の諸文明のカリキュラムが重視される。
・大学人の責任感が低下し、利害の分裂化。
これに対しての処方箋の例も挙げている(p.22)。
・電子技術の活用(著者は革命は起こらないといっているが、2014年現在は進行中)
・教授団の権限が変化し分割統治へ:学科長、学部長、教務部長、学長の手に委ねられる。(昨今の教学マネジメントの議論に通じる)
さらに引き続き残る葛藤(p.27)を3つ挙げている。何れも今の議論のようだ。
・能力主義と平等主義との葛藤が、まず経済面で、つづいて政治面でも目立つようになる。
・各機関で機能の差異化と同質化。
・管理権限の範囲(広範vs一定の中)
この本の議論に加えて、日本特有の諸課題に対処する必要がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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