- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784472110214
作品紹介・あらすじ
本書は現代の大学・高等教育の基本的諸問題を、教育の制度と機能という側面を中心に、歴史と比較の視野から系統的に明らかにしようとするものである。
感想・レビュー・書評
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今更いうことでもないかもしれないが、この10年間は高等教育関係者にとって、激動のときだっただろう。本書が執筆されたのは1998年で、当時から将来展望した章は、既に現実のものとなるか、また著者の予想を超える変革を経ているかのどちらかがほとんである。
一方で、基本として押さえなければならないトロウの高等教育の拡充の分類・整理は、時が経過しても陳腐化しない示唆を私たちに与えてくれる。
例えば、著者は大衆化を、規模の量の膨張拡大に伴って機能的、構造的、質的変化が同時的又は継続的に進行する事態としている。実は大衆化の意味を考えずに、ユニバーサル・アクセス化を期にし過ぎているのかもしれないと感じた一文だ。
また、警鐘とも解釈できる点も忘れてはならない。エリート型高等教育を維持するだけの資源なしに、万人のための高度の継続教育を提供することを要請されるようになる。民主化、文化的・制度的平準化の傾向は、エリート高等教育とマス高等教育の相違をあいまいにさせ、標準化と差異化を同時に反映したようなもとのなる。このようなことを、1993年にトロウが「2025年の高等教育に関する考察」で発表している。現在、我々の実務からもこのことを感じるときが多いのではないか。
<ノート>
1963年ロビンズ報告:「高等教育」を最初に定義
P.51高等教育システム段階移行に伴う変化の図式
http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/book/series/001_1.html
1972年に文部省大学学術局に「高等教育計画課」ができたのが、「高等教育」がタームとして使用された最初の例
1951年『大学に於ける一般教育』:学生自身の自発的研学に重点を置いた教授法を重視