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- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784473041029
作品紹介・あらすじ
狂言・歌舞伎・文楽や、松尾芭蕉『笈の小文』、夏目漱石『草枕』など、近世から近代の文学作品には意外と茶の湯が登場します。自身も茶道の稽古を積む著者が、軽妙な筆致で茶の湯ブンガクの世界を案内。「サムライにとって茶の湯は出世のツールだった!?」「正岡子規が茶懐石の味噌汁を考察!?」など、思わぬ茶の湯のあり様や文学者の姿、そしてちょっと現代の茶の湯に通じる教訓も読みときます。
感想・レビュー・書評
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とても面白かった。時にユーモラスな、時に批評的な、時にははっとする素晴らしい表現と共に、子規や漱石、谷崎などの文豪と茶の湯との関わりを楽しく紐解きながら読むことができた。
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純文学や江戸の浮世草子、俳句や古典芸能の中から直接および間接的に茶の湯が扱われている箇所を取り上げ、筆者が考察してゆく。
必ずしも茶人ではない立場から描かれる茶の湯の姿は、おそらく茶の湯に傾倒する者が描くよりもより冷静で客観的なものとなろう。筆者も、茶人が描くものは茶の湯を賛称するものばかりであり、むしろ、茶の湯にいい印象を抱いていない者の言葉の方が、茶の湯の発展にはいいのだという。
しかし、やはり作家の表現力はすごい。夏目漱石の草枕における「羊羹」の描写は秀逸。「余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好きだ。別段食いたくはないが、あの肌合いが滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。ことに青みを帯びた練り上げ方は、玉と蝋石の雑種の様で、」とは、何と美しく精緻な表現か。
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