希望へ!: 人間は何をしてきたのか? (ノンフィクション・ワールド)

著者 :
  • 大日本図書
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  • Amazon.co.jp ・本 (133ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784477015538

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  • インドネシアの熱帯林破壊、南アフリカのエイズ問題、チェルノブイリの原発事故、ルワンダの紛争。
    人間が作り出したこれらの問題について平易な言葉で書かれています。

  • フォトジャーナリスト桃井和馬さんの名著です。

  • 桃井和馬著「希望へ!」第日本図書(2002)
    *インドネシアの木の伐採において新しい問題は、軍事独裁政権を押し進めたスハルト大統領が退任した1998年を機にインドネシアにはじめて民主主義が紹介されたことであった。以前は、軍事政権のネットワークの人間のみによる独裁伐採が行われていたが、インドネシア人は民主主義を何でも自分たちの月かってができる権利ととらえたため、森に入って自由に機を切ったり国立公園にまで自分の土地のように使い始めたりし、森林伐採はさらに加速化される事態となってしまった。
    *アフリカときけば、難民や、飢餓に苦しむお腹が突き出がこともたちを連想する。こうした言葉は一部であったいるが、一面では正しくはない。(お腹が突き出る理由は2つで、不衛生な場所ではたくさんの寄生虫によってお腹が突き出てしまう。また、人間の身体は十分な栄養が接種できない場合は、手足の脂肪から消費し生きる上で大切な器官が多く集まる内蔵の脂肪を最後まで取っておこうとする。)
    *歴史を勉強したり世界のニュースに目を通していると、生活がいっぺんし、さまざなな形で追いつめられたとき、知性を持っているはずの人間が、簡単に残虐になってしまう生き物だということを知る事ができる。

  • 120カ国以上歩いてきたという著者が特に印象に残った4つの地域―インドネシア(カリマンタン)、チェルノブイリ、ルワンダ、南アフリカ―での体験をまとめたもの。
    120ページ程の薄い本で、あっという間に読めてしまう本ですが、書かれていることは深い。

    取り上げられている国、それぞれについて教えられ、考えさせられました。
    「あとがき」に書かれていたことが、またよかった。

     何かを知りたいと思ったら、
     まず、①思い込みを捨てる必要がある。
     次に、②事実を丹念に集める必要がある。
     その上で、③自分の頭で考える。
     この3つのプロセスが重要になる。
     しかし、この3つの要素は、何かを知るためだけに重要なのではない。
     紛争や、混乱に苦しむ世界を取材した経験でわかったのは、一つの社会がおかしくなってしまう時には、たいていこれとは正反対の方向、つまり、みんなが思い込みで動くようになり、事実や情報を確かめようとせず、自分のアタmで物事を考えなくなっている時だということだ。
     自分の頭で考える。ということは100人の人がいれば100通りの考えが生まれるはずだ。それでいい、社会にいろいろな意見を持つ人がいてもいい。重要なのは、それを認めたうえで、異なる考えの人と、どのように協力していくのか。もっといえば、嫌いな人とどうやって、一つのことを行うのか、なのだ。
     そしてこれは、人と人との関係にだけいるのでも、混乱する一つの社会にだけいえるのでもない。民族と民族の憎しみにおいても、宗教と宗教の戦いにおいても、そして国と国との対立、つまり戦争においても、この3つの要素が重要になる。
    (中略)
     そしてぼくたちの住む地球は、人間がこの3つの要素を無視して勝手に振る舞えるほど、実は大きくない。

     この本を読み終えたあと、自分自身へ疑問を投げかけてほしい。

     ぼくたちは、なぜこの地球上で生きているのか?
     ぼくたちは、この地球上で何をしているのか?
     ぼくたちは、生きているのか? 生かされているのか?
     地球にとって、人間はよい存在なのか? 悪い存在なのか?

     ぼくたちが、この地球で生活するためには何をしなくてはいけないのか?
     ぼくたちは、つぎの世代に何を残すことができるのか?

     ぼくたちは、なぜ、人を好きになってしまうのか?
     反対に、どうして憎しみをいだいていしまうのか?
     ぼくたちは、自分のために何ができるのか?
     ぼくたちは、この社会のために何ができるのか?
     世界の人たちのために何ができるのか?
     人間以外の生き物のために何ができるのか?
     地球のために何ができるのか?

     ぼくたちは、殺戮を止めることができるのか?
     ぼくたちは戦争を繰り返さないと、言い切ることができるのか?

     ぼくたちは、この「地球」という惑星の上で、どんな未来を描くことができるのか?
     
     うれしい時も、たのしい時も、悲しい時も、つらい時も、へこたれそうな時も、未来がないと思える時も、どんな時も、どんな時も、どんな時も、最期まで希望を、つむげ!

  • フォトジャーナリスト、桃井さんが取り上げる、4つの国の同じような状況。

    ボルネオですすむ熱帯雨林の不法伐採。
    火事でついた火が、20年以上も地下の石炭の層で燃え続けている。
    現代文明に火を消す手立てはなく、
    森が消える続けることは、人間の未来が消えていくこと・・・。

    南アフリカに蔓延するHIV/AIDS。
    アパルトヘイトはなくなった。とはいえ、未だ深い、深い溝が残る。
    アパルトヘイトでなくなったのは、教育の機会、だけじゃない。
    なくなったのは、黒人の誇り。
    じっと、我慢することになれて、泣き叫ぶこともしなくなった子どもたち・・・。

    チェルノブイリの原発事故の悲劇。
    増える若者の癌死。
    原発の事故のせいで、今も放射能が漏れ続けている工場。
    そこでは5000人の従業員が24時間体制で監視を続けている。
    安全になるまで、これから4000年間も・・・。

    ルワンダの起きた、ジェノサイド。
    福島県の2倍の広さしかないルワンダで、3ヶ月で100万に殺された。
    これはナチスのガス室より(1日当たりで)5倍の死者数にあたる。
    長い間社会的に差別され、教育も与えられず、フツの人たちから希望を奪い続けていた。
    追い詰められ、突如として、普通の農民が、普通の人が、どこまで残酷になれるのか・・・。

    あとがきの、桃井さんの言葉。素敵!!

    うれしい時も、たのしい時も、悲しい時も、つらい時も、へこたれそうな時も、未来がないと思える時も、どんな時も、どんな時も、どんな時も、最期まで希望を、つむげ!!

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。写真家

「2011年 『TSUNAMI3・11』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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