戦略論 1994-1999

制作 : DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 
  • ダイヤモンド社
3.59
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478013205

感想・レビュー・書評

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  • 1990年代後半の経営戦略をまとめた本

    イノベーションのジレンマって比較的新しいのかと思っていたけど、20年も前に提唱されていたんだね

  • 本書では、「ペアレンティング」、「コーペティション経営」、「イノベーションのジレンマ」など、現在も読み継がれている論文を収録。主要な戦略論のコンセプトと歴史を学べるアンソロジー。

    1章 戦略プランニングと戦略思考は異なる
    2章 イノベーションのジレンマ
    3章 ペアレンティング:多角化企業の事業戦略
    4章 リソース・ベースト・ビューの競争戦略
    5章 コーペティション戦略
    6章 戦略の本質
    7章 シナジー幻想の罠
    8章 なぜ成功企業ほど低迷していくのか

  • Harvard Business Reviewに1994年から1999年に掲載された戦略に関する論文のうち、イノベーションのジレンマなど8つの名著が読める1冊。次回はこれより前の1957-1993も読んでみよう。

  • HBRの論文集。イノベーションのジレンマなど経営学の古典が満載で読み応え十分。
    興味の有無に関わらずこれを読まずして経営を学び語るべからず、とも言える一冊。
    ただし有名な論文は前巻よりも減っているため前巻ほどの面白さは期待しない方が良い。

  • 1994年から1999年における著名論文を集めた一冊である。「戦略論1959-1993」と時代の違いを覗けば、構成は同じである。
    個人的には学者の書いた論文と、ビジネスマンが書いた論文には、説得力の差が歴然としており(学者の方が高い)、学者の質の高さが伺える。(個人的に学問寄りなだけかもしれないが)

  • イノベーションのジレンマが読みたくて読了

  • 前編も含めて、戦略論の変遷を追うという試みは貴重。新しいだけに、経営学という形でなく、戦略論としてその歴史を感じられる著書は少ない。ただ、94年ー99年という分類はいささか無理があるのでは。50年代-70年代のマイケルポーター出現まで、と80年代以降の人間・組織論との融合/株式時価総額主義/金融市場の勃興までとに分けるともっとよかったのでは。。あと、90年代なら、ライクヘルドなど顧客を中心としたステークホルダーとの関係性の研究も視野に入れるべきかと。

  • 大前研一著「戦略論」ダイヤモンド社(2007)
    * これは、1975年に著した「企業参謀」における「企業の成功は直感的なビジョンと長期的嗜好に基づいたマネジメントにある」という分析をより発展させたものである。
    * 「企業参謀」は1982年にアメリカで出版。そこでは「The Art of Japanese Business」という副題のとおり、トヨタやホンダ、松下電器などの例証を紹介し、日本企業のトップの多くが「分析と直感」を使い分けながら戦略プランニングをしているという現実、そして才能のある経営者があその戦略的創造、すなわち先見力や、構想力を発揮することで、試乗を創造しうることを訴えた。そして、この主張は、ジョセフシュンペーターの「企業家による新結合と革新」、アルフレッドチャンドラーの「経営者のビジブルハンド」にほぼ類似するものであるが、競争のグローバル化という新しい現実を踏まえた上で戦略は公式な計画に基づく、あるいは経営環境や産業構造、これまでの歴史的経路に規定されるという、これまでの戦略の主流に異議を唱えるものであ会った。
    * もうひとつ、主張の根底にあるのは「顧客」である。顧客を最優先に考えることこそ、戦略プランニングの本質であると訴えた。そして、理論やフレームワークを前提とした演繹的な戦略論は、顧客をおざなりにしている他ゆえに非連続的な変化に弱く、これを例外として排除してしまうことに警告を鳴らしたつもりである。
    * 「不確実性の高い環境」ではマイケルポーターに代表される演繹的な戦略論よりも、顧客の立場から構想するという、帰納的な戦略論の方が有効である。
    * ライバルに勝つことは最優先課題ではない。 これは必ずしも最優先事項ではない。まず考えることは顧客ニーズである。労をおしまず、顧客ニーズにこたえているか点検する必要がある。すなわち戦略は、顧客第一主義に基づいて立案されなければならない。そしてライバルを相手にその成否をためすのだ。ライバルとの勝負は戦略を立案した後で考えればよい。最優先すべきは顧客価値を創造する戦略である。具体的には、可能な限り競争を回避する戦略こその望ましい。2500年前の孫子に書かれているように「戦わずして勝つ」ことだ。1985年の任天堂のファミリーコンピューターなどはその例である。
    * 起業して成功した人の話を聞くとその意思決定が予言に近いものであるということに驚かされる。後になってみると、それぞれの意思決定は非常に論理的なのである。しかし、意思決定をする本人は当時あまり詳しい分析を行っているわけではない。ただ、未来についていくつかの想定をし不確実なことが多くても次々と正しい意思決定をすることに成功している。起業家は賭けに買っただけなのだろうか?→「先見力の5つの要件」常に5つの条件を満たしていなければならない。①事業ドメインを明確に定義。②事業環境に働いている各種の力の動向を因果関係に基づいて将来どうなるか推定し、最も可能性の高いシナリオを論理的な仮説として単純な言葉で記述。③事業展開の上で存在する数多くの代替案の中から、いくつかの案を選ぶ。いったん選択したら、人・技術・資金を大胆に積極的に集中して投入。資源集中により成功率を高める。④全力を投入し多くのことを短期的に達成しようとするのではなく、資源の有効活用と、戦略実施のペース配分を検討する。このときあまり高望みしないように注意。⑤経営は戦略選択の条件が有効である限り、それに沿っていかなくてはならない。しかし、もし想定したいた条件が変わったなら、事業の基本的な方向をも変えてしまう用意がなくてはならない。⇒自社の事業の根本的な存在理由の変化を告げるような市場のいかなる微妙な変化も敏感に感じ取ることができる。
    * たいていの経営者は近視眼である。グローバル化に考える必要がある。多角化や競争ではなく、むしろ顧客のニーズや嗜好である。顧客のこれらはすでにグローバル化しており、それを満たそうとする固定費も急速に上昇してしまった。だからこそグローバル化が必要である。顧客にか地位を届けることに最大限の注意を払い、顧客がだれであり何を欲しているのかを見定めるために、等距離の視点を身につけることなのである。

  • ハーバードビジネスレビューから戦略論についての論文を集めた本。さすがに読み応えがある。
    読書ノートを記す。

    ・戦略プランニングでは、分析思考タイプで考えに考え抜いた戦略を設計するアプローチだけでなく、ソフトアナリストとして、直感で勝負するやり方も必要。右利きのプランナーと左利きのプランナー。
    ・イノベーションのジレンマ。
    これはよく書かれている内容であるが、ユーザーの望む性能の推移に対し、製品の性能向上が速かった、HDDの例のように、初期主要顧客の要求にマッチしないから、「破壊的技術によって下位市場に参入する=新市場の低い利益率に甘んじる」ことはせず、「既存技術によって上位市場に移行」したケースで、結果逆転する。大手メーカーが上位市場にしか目が向いていない=下位市場を甘く見ている。
    ・破壊的技術と既存技術の延長を見分ける。
    どちらが早く向上するかではなく、「主要市場で求められる性能の向上」と「破壊的技術の期待される性能の向上」との見極め。
    ・破壊的技術の初期市場の探り当て。戦略上、破壊的技術に力を入れる時には、まだ具体的な市場が存在しない。ハングリー精神旺盛な「小組織」である必要がある。小降りのチームを立ち上げ、特命プロを与え、社内の主流からの高圧的な要求から隔離する。

    ・ペアレティング機会を探すための10項目。
    1.規模及び年数(大規模で歴史があると内部の問題、若いとスキルと財力)
    2.マネジメント
    3.事業の定義
    4.予想可能な誤り(以前の決定への固執、過剰な多角化など)
    5.連携
    6.共通の能力
    7.特殊な専門知識
    8.外部関係(親会社の方がコントロールしやすい外部のステークフォルダー)
    9.重要な意思決定
    10.大規模な改革
     
    リソースベーストビュー
    ・資源の価値を左右するものは何か
    帰属性、需要、希少性も3つの市場要員がダイナミックに絡み合い資源やケイパビリティの価値を左右する。3つの交点が価値想像のゾーン。
    ・競争力のある資源の特性
    1.模倣困難性
    2.持続性
    3.帰属性
    4.代替可能性
    5.競争優位性

    ・BCGマトリックス(成長性かける市場シェア) 各象限における戦略
    「金のなる木」を維持する。
    「負け犬」から撤退か徹底的に絞る。
    金のなる木から得たキャッシュを「問題児」に投資し次の花形事業を育てる
    「花形事業」の市場シェアを市場成長が止まるまで伸ばし続けて、金のなる木に育てる。
    ・価値相関図
    企業を中心に置いて、顧客、補完的生産者(例えばハードに対するソフトの生産者)、代替的生産者(同じ種類の財を生産=顧客から見た時には競合関係)、生産要素の供給者を2次元的に配置。(それぞれがプレーヤー)
    ・ゲームを変える
    ゲームの要素:
    1プレーヤー:いつも同じに固定されない。プレーヤーを変える方がいい場合もある。
    2付加価値:プレーヤーがゲームに持ち込む価値。ゲームの中で、付加価値を高める。他のプレーヤーの付加価値を低くすることもできる。
    3ルール:普遍的ではない。法律、習慣、契約、現実の出来事などから生まれる。有利な様に用いるとともに、変えたり作ったりできる。
    4戦術:プレーヤーがゲームを認識する為に取る行動。阿山ったにんしきをなくすためにもちいられたり逆に不確実性を増大させる為に用いられる場合もある。
    5範囲:ゲームの境界。プレーヤーは、変えることができる。
    ・オペレーションの効率化は必要だがそ俺だけでは不十分。またオペレーションの効率化は戦略ではない。戦略は独自の活動に宿る。
    ・ポジショニングにより競争優位性を築けたとしてもそれは一時的なものにすぎない。
    ・戦略ポジションの基盤
    1.バラエティーベースのポジショニング
    ある業界の製品やサービスの一部だけを提供。
    2.ニーズベースのポジショニング
    あるセグメントの顧客のニーズのほとんどあるいは全てに対応する。
    3.アクセスベースのポジショニング
    顧客にアクセスする方法の違いにより顧客を括りだす。
    ・持続可能な戦略ポジションにはトレードオフが必要。戦略とは事業に置いてトレードオフを作り出すことである。戦略の本質としてなにをしないかをえらぶこと。トレードオフがなければ選択をする必要がない。
    ・フィットが重要。個々の部分ではなく、全体が重要。活動間のフィットは競争優位性だけでなくその持続可能性の面でも根本となる。
    1単純な一貫性(ある活動(機能)と全体的な戦略の間位の一貫性で、活動の競争優位性は積み重なって行く。)
    2活動が相互に補強し合う
    3仕事の最適化(重複や無駄をなくすために活動間の調整をしたり情報交換する。)
    ・戦略の間位のに対する脅威は、技術の変化や強豪の動きなどの企業の外側から生じる以上に、企業内部から生じる、競争に対する誤った見方や、組織運営の失敗などによって蝕まれる。=戦略を選べない。
    ・リーダーシップの役割
    オペレーションの改善の指導や交渉だけでなく、書くとなるのは戦略。
    ・新規参入者の強み
    新しいポジションを認知するプロセス=戦略競争。新規参入者には見やすい。
    ・シナジー
    1.ノウハウの共有
    2.戦略の調整
    3.有形資産の共有
    4.垂直統合
    5.交渉力の集中
    6.合同事業の立ち上げ
    ・経営者のバイアスこそがボトルネック
    シナジーバイアス(シナジー効果の過大評価)
    ペアテンティングバイアス(自分がリードしないとシナジーが実現できないという思い込み)
    スキルバイアス(シナジーの実現に必要なノウハウは全て社内調達できるという思い込み)
    楽観バイアス(シナジーのもたらす潜在利益にばかり目がいき機会コストなそのマイナス面を看過する傾向)
    ・成功のセオリーが命取りになる
    1戦略フレームワーク=経営判断の拠り所⇒判断を曇らせる色眼鏡
    2プロセス=仕事の進め方⇒マンネリ
    3しレーションシップ=従業員や顧客サプライヤー、販売代理店、株主との関係⇒しがらみ
    4価値観=社風を貫く精神⇒教条主義、トラウマ

    10.11.28読了
    池田
    時間2h
    評価◎


    目次
    まえがき───戦略論の発展

    第1章 戦略プランニングと戦略思考は異なる
    マギル大学 教授 ヘンリー・ミンツバーグ

    戦略プランニングを過剰に信奉していないか
    プランナーの仕事を再定義する
    戦略プランニングの三つの誤謬
    プランニング、プラン、プランナー、それぞれの役割
    右利きのプランナーと左利きのプランナー
    「形式化の縁」に立って


    第2章 イノベーションのジレンマ
    ハーバード・ビジネススクール 教授 ジョセフ・L・バウアー
    ハーバード・ビジネススクール 教授 クレイトン・M・クリステンセン

    顧客の声に耳を傾けることの限界
    HDD業界における破壊的技術の歴史
    シーゲイトが落ちた罠
    破壊的技術を見極め育てる


    第3章 ペアレンティング:多角化企業の事業戦略
    アシュリッジ・ストラテジック・マネジメント・センター ディレクター アンドリュー・キャンベル
    アシュリッジ・ストラテジック・マネジメント・センター ディレクター マイケル・グールド
    アシュリッジ・ストラテジック・マネジメント・センター ディレクター マーカス・アレクサンダー

    戦略立案に不足していたツールとプロセス
    ペアレンティングのフレームワーク
    適合性評価
    BTRにおける適合性評価
    適合性を改善するための変更
    ペアレンティング特性の変更
    【章末】ペアレティング機会を探すための一〇項目
    【章末】親会社の理解


    第4章 リソース・ベースト・ビューの競争戦略
    ハーバード・ビジネススクール 非常勤教授 デイビット・J・コリス
    ハーバード・ビジネススクール 教授 シンシア・A・モンゴメリー

    新しい戦略フレームワーク 「リソース・ベースト・ビュー」
    競争力のある資源の特性
    いかにRBVを導入するか
    資源に投資する
    資源の価値を高める
    資源を活用する
    【章末】「負け犬」と「金のなる木」の行く末やいかに
    【章末】戦略論の変遷


    第5章 コーペティション戦略
    ニューヨーク大学 スターン・スクール・オブ・ビジネス 教授 アダム・M・ブランデンバーガー
    エール スクール・オブ・マネジメント 教授 バリー・J・ネイルバフ

    ビジネスとゲーム理論
    「双方が負けるゲーム」から「双方が勝つゲーム」へ
    ビジネスにおけるゲーム
    ゲームを変える
    プレーヤーを変える
    付加価値を変える
    ルールを変える
    戦術:認識を変える
    範囲を変える
    戦略の落とし穴


    第6章 戦略の本質
    ハーバード・ビジネススクール 教授 マイケル・E・ポーター

    オペレーションの効率化は戦略ではない
    戦略は独自の活動に宿る
    持続可能な戦略ポジションには、トレードオフが必要だ
    フィットが競争優位と持続可能性をつくり出す
    戦略の再発見
    【章末】日本企業には戦略がない
    【章末】新しいポジションを見つける:新規参入者の強み
    【章末】基本戦略との関連性
    【章末】戦略をもう一度手に入れる
    【章末】新産業と新技術


    第7章 シナジー幻想の罠
    アシュリッジ・ストラテジック・マネジメント・センター ディレクター マイケル・グールド
    アシュリッジ・ストラテジック・マネジメント・センター ディレクター アンドリュー・キャンベル

    シナジー追求の副作用
    経営者の偏見こそボトルネック
    あるマネジャーのジレンマ「国際的ブランドをつくれ?」
    機会コストの存在を忘れない
    ペアレンティングの四つのチャンス
    シナジー活動のマイナス面を洗い出す
    何よりもまず害をなすなかれ


    第8章 なぜ成功企業ほど低迷していくのか
    ロンドン・ビジネススクール 教授 ドナルド・N・サル

    覇者の驕りゆえに環境変化に立ち後れる優良企業
    [事例1] 自信過剰で凋落をたどったファイアストン
    [事例2]ローラ・アシュレイは慢心で方向を見失った
    覇者の驕り:四つの兆候
    急激な改革を避け伝統と革新の融合を目指す
    【章末】「自信過剰」を自己診断する
    【章末】チェンジ・リーダーは社内から登用せよ

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