2013年 大暴落後の日本経済

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478015377

感想・レビュー・書評

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  • "現在のユーロの問題、アメリカの問題にも触れつつ、日本の国債の問題について書かれています。
    極端な破綻論者ではなく、自分もかなりこの方の意見に近い形でこの後進展していくだろうなと考えています。非常に分かりやすく書かれていますし、勉強になる1冊だと思います。 "

  • 12.1.15
    平野 敦士カール
    まさに今読むべき本ですね!
    InterviewTube第三回のお客様は
    著名なエコノミストでありベストセラー連発の
    中原圭介さんです!♪

  • 本書は2013年までに起こりうる日本の危機とその処方箋に対する書である。現在(2012年1月)、EUは危険水域にあり、本書執筆時期よりも円高に振れている(99円)。2012年にイタリア・スペインの破綻が回避できるかどうかがポイントになる。また、2012年は年末にはアメリカで大統領選挙が行われる。このまま行くと、大きな政府を標榜するオバマ民主党政権や破れ、小さな政府を標榜する共和党に取って代われる可能性がある。

    本書は、EUの危機回避、アメリカの共和党の勝利により、ヘッジファンドの矛先が日本へ向けられ、2013年には日本国債が暴落、日本が危機に立たされると予測している。しかし、2013年に危機にならず、そのままずるずると2015年、2020年と財政赤字を膨らまし、さらに状況を悪くするよりも、2013年に一端危機に陥り、起死回生をしたほうが日本のためになると筆者は説く。

    2013年の日本での危機に対する処方箋は2つ同時に行う必要があると筆者は述べる。消費税の20%へアップと法人税の40%から20%への切り下げである。年金などの社会保障費は全額消費税で賄うとしている。この二つの処方箋により、日本は危機を回避し、成長へ復帰できる可能性も出てくると筆者は説く。

    本書は、既に多くのAmazonレビューが寄せられている。概ね、危機に至る道筋の洞察には賛同する意見が多いものの、処方箋については短絡的であるとし、懐疑的な意見が多い。

    たしかに、処方箋については、割り引いて考える必要があるようだが、2013年までの世界経済の洞察については、分かりやすく、お薦めと言える。


    <目次>
    第1章 欧州財政危機の未来
    第2章 欧州の次に忍び寄る日本の財政危機
    第3章 日本は国債バブルの真っただ中
    第4章 ヘッジファンドが日本国債の暴落をもたらす
    第5章 大暴落後、日本はこう変わる
    第6章 日本を豊かにするには、こうしなさい!

  • p44
    2009年10月にギリシャの財政問題が発覚して以来、欧州の金融市場はヘッジファンドの思うままに動いてきました。ヘッジファンドは初めに、ユーロを売り込む一方で、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの3カ国の国債を売り崩し、国債利回りを急上昇させるという戦略を取りました。
    その戦略が成功し、2010年4月には、ギリシャの国債利回りが急騰に耐えられず、金融市場で資金調達するのを断念し、EUに金融支援を要請しました。
    ここに至って、ヘッジファンドはこの3カ国の株式も売り込み、「通貨安、債券安、株安」のトリプル安を演出しました。結果として、この間の対ドルのユーロ相場は過去最大の下落率を記録しました。

    p50
    ヘッジファンドはきっと私と同じようにこう考えているでしょう。
    「序盤でギリシャを降伏させ、中盤でアイルランドとポルトガルを征圧した。終盤はイタリアとスペインを占領するだけだ」と。

    ヘッジファンドの終盤での戦略はズバリ、「イタリア・スペインの国債とフランス・ドイツの銀行株に絞って売り崩す」ことです。

    では、なぜフランスとドイツの銀行株もいっしょに売り崩す必要があるのでしょうか。
    それは、フランス・ドイツの銀行がイタリア・スペインにとっては自国の銀行に次ぐ国債の大口スポンサーであるからです。

    p54
    ヘッジファンドの考えでは、欧州財政危機の最後の仕上げは、イタリアとスペインの国債利回りを急騰させ、両国をデフォルトに追い込むことです。

    p66
    ヘッジファンドの中でも先見性の高いファンドは、2010年半ば以降、「実質的な債務」をGDP比での国家債務ではなく、国家と金融機関の合計債務で捉える方向で、市場のコンセンサスづくりを試みようと計画を練ってきました。

    p79
    2012年11月の大統領選ではオバマ大統領が敗れ、上院選でも民主党が敗北する可能性が高いので、ヘッジファンドは米国への攻撃を回避するシナリオを考えつつあるようです。
    共和党の候補が新大統領となると同時に、上院・下院の双方とも共和党が多数派を占めれば、共和党が掲げる大規模な歳出削減が実行され、財政再建が着実に進み始めるのはわかり切っていることだからです。

    p90
    現状では、日本のデフォルトは不可避である。高収益をあげている海外のヘッジファンドこそ、そう考えています。

    p91
    近い将来、日本がヘッジファンドの標的になるだろうと考えたとき、とても重要なのは「日本は欧州の財政危機の教訓おw生かせるのか?」ということです。

    p93
    ヘッジファンドに付け込まれる隙を与えないように、いくつかの教訓を抽出すると、次の4つになるのではないでしょうか。

    すなわち、①問題の先送りはしないこと、②安易な妥協策は決定しないこと、③問題解決にはスピードが求められること、④国民に財政再建の必要性を説明すること、です。

    p96
    実は、日本の債務は国債や借入金だけではありません。財務省が公表する資料に表れていないところにも、巨額な債務が隠れています。
    代表的なのが、インフラの更新や修繕にかかる費用です。

    p97
    大地震が東日本のインフラの更新時期を早め、日本の隠れ負債を増やしてしまったということです。

    p101
    そもそも、日本の年金制度には大きな欠陥があります。
    それは、インフレを前提に制度設計されていることです。そのため、日本ではこの15年以上デフレが続いているのに、逆に年金の給付水準は上昇してしまっています。この欠陥のために、毎年1兆円以上が過大に給付されています。


    p125
    「将来的に、国債暴落はありえる」と考えている識者が少なからずいるのは、説得力のあるシナリオがいくつかあるからです。

    代表的なものをあげると、①国債の残高が国民の金融資産を上回り、国債の消化ができなくなるシナリオ、②日本が経常赤字国に転落し、国債の消化ができなくなるシナリオ、の二つがあります。

    p127
    国ができる借金の残高が何年で食い潰されてしまうのかを計算すればいいのです。仮に1年に40兆円の借金を積み重ねれば、国債消化の限界まではあと5年しか残っていないことになります。

    p128
    つまりこのシナリオでは、国内で国債を消化するのが5年以内には難しくなり、国債購入を海外に依存しなければならなくなります。財政危機が来るかもしれない日本の国債を海外に買ってもらうには、金利を大幅に引き上げざるをえません。そうなると、国債の暴落による長期金利の上昇が現実のものとなっていきます。


    p131
    経常収支の赤字は国内の資金不足を意味します。つまり、日本が経常赤字国になった場合は、国内の貯蓄や資金が不足し、国債発行による資金調達を海外から頼らざるをえなくなります。

    p137
    財政危機への懸念から、国債価格が急落する。国債価格の急落により、銀行に含み損が発生する。含み損の発生により、銀行株が急落する。銀行株の急落により、国債消化に懸念が生じる。国債消化の懸念から、国債価格がさらに急落する。国債価格のさらなる急落により、銀行株がさらに急落する。このようにして、国債と銀行株がお互いに負の影響をし合い、急落の悪循環にはまってしまうと、この窮地から抜け出すのはなかなか難しいでしょう。


    p138
    国債利回りが1%上昇すると、大手銀行、地方銀行、日本郵政の含み損の合計は約22.5兆円にもなります。


    p143
    日本売りに関心を示す海外のヘッジファンドがまずやることは、流動性の低い日本国債のCDSを購入し、保証料を釣り上げることでしょう。

    p144
    日本国債のCDS市場では、取引の主体は海外投資家です。国内金融機関の売買が中心の現物の国債市場とは、投資家層がまったく異なります。

    日本国債の保証料の急騰は、同国債に投資する海外マネーに日本の債務不履行の可能性が高まったという印象を与え、日本国債が暴落するかもしれないという連想を抱かせるかもしれません。

    p145
    新興国の政府マネーを運用する投資家の脳裏に、日本国債が暴落するかもしれないという不安を刷り込ませることができれば、実際に日本国債がヘッジファンドの売りによって急落した後に、新興国の政府マネーによる売りが追随する可能せを高めることができます。

    日本国債のCDS保証料を暴騰させるのにやや遅れて、海外のヘッジファンドが次に狙うのは日本の国債先物市場の売り崩しです。

    p146
    そうなれば、ギリシャほど急激ではないにしろ、日本国債は急落の第一歩を踏み出します。

    この局面にまでくえrば、「日本国債は安全だ」と信じていた日本人全体のマインドが変わってくると思います。

    本当に怖いのは、国内の金融機関がパニックになり、一斉に現物国債を売りに走るような自体が起こることです。

    p165
    このような見通しの中で、国民ができる防衛策には、どんなものがあるでしょうか。
    私ができるアドバイスとしては、自らの金融資産の一部でもよいので、ドルやユーロなどの外貨に投資することです。


    p178
    最悪のケースは、ヘッジファンドに攻撃されることもなく、日本の財政悪化がこのまま5年も10年も放置され続けることです。


    p181
    ヘッジファンドの攻撃が早ければ早いほど、日本が受けるダメージは小さくなるということです。

    p184
    世界経済の流れが見えていれば、少なくとも2015年くらいまでは、欧米経済の一大テーマが「財政再建」になることはわかっているはずです。欧米が増税や歳出削減を継続的に推し進めることで、新興国の成長鈍化も避けられず、外需に大きく依存する日本経済が好転するとはとても考えられません。

    p199政治がやるべきメニューは決まっています。第1に、消費税引き上げと法人税引き下げをセットにして早急に実施することです。第2に、農業改革と合わせて環太平洋連携協定(TPP)への参加も急がなければなりません。


    ==アマゾン内容紹介==
    内容紹介
    ■国債急落で
    ■私たちの年収は
    ■いったい、どこまで下がるのか?


    日を追うごとに問題が深刻化している欧州の財政危機。
    世界経済を大失速させかねない危険をはらんでいるが、
    これから、どのような未来が待っているのか?

    そして、欧州の次に狙われるのが日本。

    なぜ日本が狙われるのか?
    国債の国内消化率が高いのに、本当に暴落するのか?
    ヘッジファンドの日本売り戦略とは?

    ……さまざまなデータから、日本国債暴落のメカニズムを明らかにする


    さらに、暴落後の日本はいったいどうなってしまうのか。
    具体的な事例を使って、私たちを待ち受ける未来を大胆に分析

    ・ヘッジファンドの攻撃が日本を救う
    ・消費税が20%に上がっても、会社員の生活は悪くならない
    ・税制を変えるだけで、日本は再び豊かになれる……理由とは?

    御用学者や評論家が教えてくれない“日本経済の真実”が明らかに!
    内容(「BOOK」データベースより)
    国債急落で私たちの年収はどこまで下がるか?収入減と増税・インフレで生活水準はさらに悪化。年金は大幅削減、支給年齢はますます引き延ばされる。ヘッジファンドの攻撃で日本が救われる理由とは?税制を変えるだけで、日本は再び豊かになれる。御用学者や評論家が教えてくれない“日本経済の真実”。

    ==目次==
    第1章 欧州財政危機の未来
    第2章 欧州の次に忍び寄る日本の財政危機
    第3章 日本は国債バブルの真っただ中
    第4章 ヘッジファンドが日本国債の暴落をもたらす
    第5章 大暴落後、日本はこう変わる
    第6章 日本を豊かにするには、こうしなさい!

  • 日本は破綻する、しないの話をよく耳にするようになった。
    筆者は破綻派かと思いきや違う。

    このままだと破綻する。だから消費税を大幅にあげ、年金の削減を思い切ってと主張している。

    とにかく先送りはもうやめにしないといけない。

  • 対して内容なし

  • 勉強不足につき外郭はまだボヤけているものの、コアな部分で、身の回りに影響がでるであろう事象については、以前に比べかなりクリアになってきた。この内容はその一助となった。新聞記事に見立てたフィクションは、より強く事象をイメージするのに役立った。これから何をしなければならないのかも、自分の中では明確になってきた。あとはその対策方法のスキルを上げて、betterなタイミングで早めに実行に移さなければならない。bestのタイミングを見計らって、取り残されることだけは避けなくてはならない。最悪なシナリオになった場合の必要最低限の手は打ち、矛盾するがその最悪なシナリオにならないように手は尽くす。それでもその最悪なシナリオが進行した場合には、転んでもただでは起きない知識を今から身につけておき、強い日本に生まれ変わった時には、自分も強くなっていたい。ただ強い日本に生まれ変わるまでには、相応の痛みを伴うことを覚悟しておかなければならない。そう言ったことを、まずは身近な自分の家族から何度も何度も説明し、納得してもらい、協力して自力で切り抜けていかなければならない。図書館利用。

  • 2012/10/02:読了
    取り立てて、役に立つような情報はない

  • 2012/06読了

  • なんとなくもう少しで、円安に振れる日本国債が暴落はしそうという素人の持論を的確に且つわかりやすく説明してもらった感じ。

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著者プロフィール

1970年生まれ。慶應義塾大学卒業後、金融機関や官公庁を経て、現在は経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。大手企業・金融機関、地方公共団体等への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に務めている。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。実質賃金、実質成長率など、名目数値よりも実体経済に近い数値推移で市場を把握する。著書に『AI×人口減少』(東洋経済新報社)、『日本の国難』(講談社現代新書)など。

「2021年 『マンガでわかる その後の日本の国難 稼ぐ力の高め方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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