僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦
- ダイヤモンド社 (2012年12月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478021828
作品紹介・あらすじ
世界で初めて「ミドリムシの屋外大量培養」に成功し、ダボス会議「ヤング・グローバル・リーダーズ」にも選出!全世界待望の「地球を救うビジネス」とは?―。
感想・レビュー・書評
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読んでいて、凄く面白かったし学びになった。
卒業するまでの出雲さんの思いに激しく共感した。
私は社会に貢献したいという気持ちは強いけれど、貢献している人の裏には物凄い努力があることを見ていなかったなと気付かされた。実力主義で能力主義的だったなと思った。努力したから成功するわけではないだろうけど、成功するためには努力をたくさんしなきゃいけないなと改めてわかった。
成果を上げた人にやはり視点を置きやすいが、この本を読んだことで、注目されなくても社会に貢献することはできるんだなと知れた。それまでミドリムシを研究していた研究者、大量培養に成功した鈴木さん、事業化した出雲さん、同志者、いろいろ。自分の成果がどうこうではなくて、なんのために自分は全力を捧げるのかということが大事だなと思えた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すごくいい刺激になりました。サイエンティフィックに正しいことだけでなく、感情的な共感を呼び寄せることとのミックスが大事だということを強く感じさせられました。人の価値がスタートアップの価値につながっていることを強く感じさせるいい本でした。
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本を2013年の12月ごろに読み、2014年1月に出雲社長の講演会に参加
講演の総評
ビジネスマンと宗教家が両立しているような印象。
一般論では冷静で論理的な話し方で信頼感があり、本で読んだ印象と同じく誠実な人だと感じた。これに対し、ミドリムシの良さについて語る時や伝えたいメッセージなどに関しては、自分の考えに疑いを持たないような強さと危うさが感じられた。
気になっていたビジネスモデルや中期目標については納得がいったが、基本的には本を読んで知っている話がほとんどで、新しい情報は少なかった。
最高のもの一つで全ての問題を解決できることを望んでいるあたりに違和感がある。
自分も以前はそういう考え方だったので気持ちは良く分かるが、結局は効率が悪い気もする。
食料問題、環境問題の危機感をあおり、ミドリムシで全て解決できる、と言い切る姿勢が宗教家に近く、ベンチャーのリーダーには向いているかもしれないが、自分としては、それは信じられなかった。
栄養問題を解決するには、現地で持続可能な農業などを検討する余地はないのか?とか、そういった別の解決策との比較ではなく、ミドリムシは素晴らしい、で押し通したり、トウモロコシエタノールなど食料を燃料にするバイオエネルギーは駄目だと主張する反面、ミドリムシを燃料にしていることの整合性をきちんと説明しなかったりと、若干の不信感を抱かせる。
それはそれとして、やっていること自体は素晴らしいと思ったので注目し続けたい。
講演内容メモ
多摩生まれ、海外旅行先にバングラデシュ、グラミン銀行。
カロリーではなく栄養バランスだと気づく
植物とは何か?緑色のつぶつぶを持っている。
将来は100億人になり、米や麦を作る農地はあっても、野菜や肉を作る余裕は無い。
青虫とミドリムシの写真。誤解が多いという小話。
大学で出会い、その後直径45mプールで生産に成功(この部分は驚くほどはしょっていた)
目標は
「栄養失調状態の10億人の人に、一日1gのミドリムシ(10億匹)を届けたい」
これは、イワシ一匹やうなぎ1枚などの栄養に匹敵する。
食料は10億人分輸送できないが、1gの錠剤ならできる。
従来の農地の200分の1で生産できると見積もっている。
何故か、光る遺伝子導入の話。
(もしかしたら、自分たちでミドリムシに遺伝子導入する技術を確立したので、これを他にも応用できるという技術アピールかも)
地球環境の話。CO2濃度昔300ppm 今は400ppm、温暖化で台風が危険。(レイテ島台風クラスがこれからは毎週来ますよとか)
バイオ燃料の話題。第1世代は農地を使う。第2世代は藻。
ミドリムシはジェット燃料に絞る。
車や船は燃料電池に置き換わるが、飛行機は無理だろう。
近い内にミドリムシと飛行機に関するイベントを行う。
人生、仕事の話
*くだらないものなんてない
*チームでならがんばれる。3人が同時にやめたくならなければOK
*誰でもできる。成功率1%でも459回行えば、成功率99%になる。
断られ続けたが伊藤忠が最初に採用してくれた。一生感謝する。
ぜひ来場者の大企業の皆さんもベンチャーを最初に採用する会社になってほしい。
リーダ像はドラゴンボール→ワンピース。
バブル後のリーダーはぶれずに同じ事を言い続けるだけでよい。
ある領域で一番にこだわるべし。
最後に、
2020年には羽田→石垣島でミドリムシ燃料で飛行機を飛ばす
(機長アナウンスの調子で説明した) -
植物と動物の間の生き物で、藻の一種でもあるミドリムシは、植物と動物の両方の栄養素を作ることができ、その数は59種類。体内に葉緑素を持つため、二酸化炭素を取り入れ、太陽のエネルギーから光合成を行うことができる。光合成によって作り出し、体内に蓄えた油を石油と同じように精製すればバイオ燃料として使える。食料・栄養、地球温暖化、エネルギー資源、これらの問題を解決できるポテンシャルがミドリムシにはあった。培養…つまり人の手でミドリムシを増やすことができれば、世界を救え得る。それはもう十年以上前の研究で明らかになっていたが、その「培養」が途方もなく困難な事だった。
著者は、発展途上国の栄養不足問題を解決できるもの(ドラゴンボールの「仙豆」のようなもの)を求めて、東大文系の学部から理系の農学部へ移った。ミドリムシについて知り、培養してビジネスにする事を決め、卒業後一度は銀行に勤めるが銀行を辞めて、培養できる目途も立っていないまま会社を設立。そこから様々な出会いや苦難があり、今のユーグレナという会社やその商品に至る…という話。
ミドリムシのポテンシャルと同じくらいに著者の執念の凄さが伝わった。本書の前半は正直、著者の家庭や学校の環境や方針や交友関係などにおいて「とても恵まれている」という印象が強く、だからこそ多くの素晴らしい出会いや学びを得られて今のビジネスに繋がったのだろうとも思う。ただ、それだけではない、「絶対に諦めない」「世界を救う」という強い意志が無くては成しえなかった事でもあると思った。
研究の面では培養を成功させるが、その後に今度はビジネス面での思わぬ不運が降りかかり辛酸を舐める事になるも、そこでも会社を支え立て直せたのは、著者の強い意志や人柄があってこそだったのだろうと思う。
また、学生時代から著者と二人三脚でミドリムシの培養に取り組んできた鈴木氏について著者は「中でも最大の感謝を伝えなければならない」と記し、なぜミドリムシに人生を賭けてくれたのかと尋ねている。その時の回答がとてもスマートながら男前だった。 -
詳細なレビューはこちらです↓
http://maemuki-blog.com/?p=8734 -
中学生から大人まで誰が読んでも得るところがありそうな本。
再読したくなりそうだし、借りて読んだので、kindle版で購入したい。 -
魚に含まれるDHAをはじめ、ビタミン、ミネラル、アミノ酸類等、実に動植物両方の栄養素を59種類も作ることができるミドリムシ。様々な食品や飲料に混ぜることができるので、栄養不足に悩む発展途上国の救済や、人口増加に伴う世界の食糧問題の解決策となるのではと期待されている。Co2を取り込んで太陽光による光合成を行うことができるため、地球温暖化問題におけるCo2削減の救世主としても注目されている。さらにロケットやジェット機の燃料としてなど、エネルギー危機の解決にも役立つという、まさにスーパーマルチお役立ち的生物なのだ。
このミドリムシとともに地球を救うことに人生をかけた一人の青年が、運命的な人との出会いや絶望的ともいえる逆境を乗り越えて、事業として動き出すまでの経過を、まさにドラマか小説のような波乱万丈の展開で自ら書き綴ったリアルストーリー。
肩ひじ張らずに読み進めることができるので、人生の目的が見つからない人、挫折から立ち直れない人、人生の岐路に立つ人、そしてこれから社会に巣立つ若い人などに読んでいただきたい一冊だ。 -
ユーグレナ株を買ったのを契機に読んでみた。
最初はよくある、創業者の苦労しましたが成功しました程度の話かなと思って読み始めたが、どうしてどうして素晴らしい話ではないか。
許されるなら、「ユーグレナ」で働きたいくらいだか、残念ながら役立てるものが自分にはない。ただ、創業の理念には強く打たれた。これからも、ちょつとずつ、株を買い増しする事で応援したい。 -
ユーグレナの沿革の本。超面白くて一気読みした。
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弁論大会での落語調発表
金融理論は歪みを見つける
給料は簡単に上げ下げできない
真剣に売ろうとする営業マン
たまたま担当の人がネガティブな状態だったかもしれないので、日を改めて出直すか他の担当者に聞いてもらう
「やれ!」「人に会え!」「自分の思いを伝えろ!」
転載じゃないのだから、恥ずかしいなんて思うこと自体がちゃんちゃらおかしい
いつか認めてくれる人が出てくるはず、と待っている限り可能性はゼロ
いま、ミドリムシについて自分ほど真剣に考えている人間はいない -
「ミドリムシに本当に申し訳ない、ミドリムシは何も悪いことをしていないのに…」ミドリムシに本気で謝る男は人の熱い気持ちに本気で感激し人の才能に本気で尊敬するのでした。よく泣くし。そのとてもまっすぐな心の動きに共振して仲間が集まってくるのだな、と思いました。出雲さんはまったくもってリアル・ルフィーなのでありました。もはやミドリムシはチョッパー化しているのでは?彼と彼の仲間のグランドラインを応援したくなりました。