- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478029282
作品紹介・あらすじ
ひとりで仕事を背負込んでしまう働きすぎの起業家が、部下を自立させ仕事を任せられるようになるため、4つのリーダーシップスタイルを学んでいく。物語を通して「状況対応型リーダーシップ-部下の成長度と状況によって対応を変える」が理解でき、実践できるようになる。
感想・レビュー・書評
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新1分間マネジャーと共に二冊同時に調達した本。理由は二冊同時に推奨されたから。 新1分間マネジャー読後の衝撃が個人的にはすごすぎたため、こちらへの感動は少し薄れてしまったかもしれない。あくまで個人的な感覚であるが、その点が少し申し訳ない。内容分量としては新1分間マネジャーと同様、150ページ程度の分量で、もちろん1日で読み切れる量。 そしてその文量にも関わらず内容はしっかりしていて、さすが『30年間読み継がれ世界で数百万人のリーダーを育てたロングセラーの最新版』と帯に書かれているだけある。
中身においてはSLⅡリーダーという言葉が出てくるのだが、これはもともと状況(Situation)に応じてLeadershipの方法を変化させることができるのが、Situation Leadershipだとして定義されたものが、30年の時を経てバージョンアップしてきたもの。巻末の訳者あとがきにおいて、30年の時を経た「差分」を記載していただいており、その部分が理解を深めた。 あえてその「どこがどうかわったか」についてはここでは触れず、その「差分」の記載の後に続く部分を引用しておこう。
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「部下」は「下の者」でなく、ともに成功をめざすパートナーであることが浸透した現在の状況に合わせ、『新1分間マネジャー』も『新1分間リーダーシップ』も従来以上に協調的な人材マネジメントとリーダーシップを提案している。もともと「人間を肯定的に見るのが大前提」であり、「誰もがハイパフォーマーになる潜在力をもっている」というのがブランチャードの基本哲学である。それに加え、この30年、ケン・ブランチャード・カンパニーのもとを訪れた研修受講者からのフィードバックや、同社の継続的な研究成果をもとに、新版ではこの姿勢をさらに現場に即したものとし、より洗練されたメソッドへと発展させたと言える。
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「人間を肯定的に見るのが大前提」であり、「誰もがハイパフォーマーになる潜在力をもっている」という部分、自分がラグビースクールのコーチを実施している際に大事にしている価値観と類似しているところがあり、とても共感がもてた。コーチングにおいても選手それぞれにおいて、彼らの成長の過程を見ながら、アドバイスの仕方は変えてるようにしていている。Situation Leadershipができているかな。
さて、内容については、これまでのビジネス人生において学んできたことがある、「成長の過程には4象限が存在しており、その4段階の成長プロセスにおいてはマネジメントの手法も変化する」、というところであって、今まで学んできたことを体系的に再整理・棚卸することができた気がしている。 インパクトとしては新1分間マネジャーのほうが大きかったが、2冊並行して読んでみてよかったと思っている。
さて、以下は、いつもの引用抜粋とする。
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〇P41
「『ほったらかしてバッサリ』式リーダーシップです」そう言ってランディは笑った。「1分間マネジャーは、最近『かもめマネジメント』と呼んでいます。かもめマネジャーは目標設定を終えると部下をほったらかしにして、ミスをするとすぐに飛んできてぎゃあぎゃあと騒ぎ立て、誰彼かまわずしかりつけたあげく、さっと飛んで行ってしまうのです」
〇P51
D3で自信が足りない場合は、『良い質問』をしてあげること、話を聞いてあげることが大切です。自分が話すことを自分で聞いて、初めて自分の知識やスキルを信頼できるようになるからです。援助や励ましも必要です。一方で、D3で動機づけが低いという場合は、話をよく聞いてあげなければならないし、問題解決へと導いてあげる必要もあります。動機づけが低下した原因は、おそらく本人自身がわかっています。何が悪かったのかを分析し、解決法を考える作業を一緒にやってあげましょう。自分がどれだけ貢献しているか、わかってもらうのです。
〇P109
「委任型から支援型にいったん戻って、相手の言葉に耳を傾け、データを集めることをお勧めします。事実を確かめて、隠れた事情がないか調べてください。パフォーマンスの低下は、その仕事が予想以上にややこしかったりして、自信がなくなったせいかもしれません。その場合は支援し、激励し、どうすれば自信や意欲を取り戻せるか、本人も一緒に考えさせるのです」
〇P130
S3対話がふさわしいと判断したら、『私から助言するより、話を聞いてもらいたいのですよね』という感じで対話を始めるでしょう。S3対話では、私の役割は耳を傾けること、ふさわしい質問をし、信頼や激励の言葉をかけ、D3レベルの人に過去の成功を思い出させ、その技能(コンピテンス)と貢献への感謝を伝えることです。S3対話の最終目標は、自分の実力に自信を持たせること、それによってその分野においてD4に進化できるようにすることです
〇P135
「1分間マネジャーと私はバーチャルで15分から30分くらい、隔週で1対1ミーティングを開いています。日程を決めるのは1分間マネジャーですが、議題は私が決めます。1対1対話では、私が思うことをなんでも話してよいことになっています。目標とか、個人的な課題とか、プロジェクトの進捗状況など。あるいはプライベート、悩み、うれしかったこと、質問、不安などについても話します。たくさん話してもいいし、少ししか話さなくてもいい。私のためのミーティングなのです。準備するのは話したいことのリスト、それと1分間マネジャーにどんな対応をしてほしいのかということです。指示がほしいか、助言がほしいか。感触を知りたいか、あるいは単に情報を伝えたいだけか。実際には、連帯感構築のためのミーティングのようなものです。」
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数年前に研修で勧められて読んで以来の再読。
違うものを同じように扱うのは不平等、相手に合わせてリーダーシップスタイルを変える。
自分がどういうリーダーでありたいか?ではなく、相手中心のリーダーシップが発想の転換になる。 -
プレイヤーから管理者へ移行するために本書を読んだ。
理想の上司像は、こうあるべきと自分で枠を作ってしまっていたかもしれない。場面場面で正解は無いし、人同士なら尚更かと気づかされた。
個々の状況とスキルを見極めることから始めようと思った。 -
部下にも実践してもらう。良い本。
状況対応型リーダー 〜p43
・相手の発達段階とニーズに合わせて、部下が必要とするリーダーシップスタイルを使い分けるマネジャー
・相手にあったSMART目標を、目標設定時に立てる意識合わせ対話を実施。
・意識合わせ対話時に、部下が必要とするリーダーシップスタイルも取り決める。
・相手の発達レベルが異なれば、対応の仕方=相手の求めるリーダーシップも変わる。
・状況対応型リーダーシップとは、部下に対して何かをすることではなく、部下とともに何かをすることである。
相手の発達段階の定義
・技能×意欲で、成長度についての発達レベルを4段階に分ける。
・技能: 適切な指示や方向性があれば、後天的にも伸ばせる。★
・意欲: 自分に対する自信+動機付け
発達段階
・D1=技能低×意欲高
「意欲満々な初心者」
・D2=技能低-中×意欲低
「期待が外れた学習者」として、方法論だけでなく、全体像やその背後の「どうして」が知りたくなる
・D3=技能中-高×意欲不安定
「慎重になりがちな貢献者」
・D4=技能高×意欲高
「自立した達成者」
※期初に立てた目標(3-5つ)は、ある目標によってはD1かもしれないし、ある目標はD3かもしれない。
4種類のリーダーシップ(p62)
・S1: 指示型 → D1=技能低×意欲高
・S2: コーチ型 → D2=技能低-中×意欲低
・S3: 支援型 → 技能中-高×意欲不安定
・S4: 委任型 → D4=技能高×意欲高
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状況対応型リーダーシップⅡモデル(p98)
グラフ→ https://drive.google.com/file/d/1iRq6KhV3Uiu-2etVFtZWLJbcbe6OWuiX/view?usp=drivesdk
・マネジャーが目指すべき目標とは、部下の実力や自信を徐々に高めていって、支援型や委任型など、より手間のかからないリーダーシップスタイルに移行して、かつ高い成果を上げること。
・どの発達レベルにどのスタイルがふさわしいかを考えるときは、部下がその時点で独力でできないことをやってあげるのだ、ということを忘れない。
→老子「最高のリーダーの仕事が終わったとき、部下たちは言う、「自分たちの力でやり遂げた!」と。
部下の技能や意欲を伸ばす5ステップ
①部下に指示を与える
②伝えると見せる(指示の延長)
③実践させる(目標と方向性が明確になったら)
※急に責任を与えすぎてリスクを大きくしすぎない
④(パフォーマンスを細かく)観察する
⑤進歩を認めてあげる。もし、進歩が見られなかったら、次なる手段は「目標の修正」。
目標の修正の方法:p107
・最初の目標設定に立ち返って、方向を変えてみてパフォーマンスを観察する。そして最後に進歩を褒めるか、それでも進歩がなければ目標設定に変える。
・目標設定を誤ったということについて、リーダーは自分の誤りを部下に対して認め、相手に軌道修正させる。その人に本気で成長して欲しいのであれば。
・しばらく続けても効果がなければ、担当変更・異動・転職について話し合う。
・特定のタスクにおいて、成長が見られない人もいる。
委任型の部下のパフォーマンス低下の場合(108)
・委任型の発達レベルにいる人の成果が思わしく無い場合、支援型にいったん戻って、相手の言葉に耳を傾け、データを集め、事実を確かめて隠れた事情がないか調べる。ややこしい事情があれば、その場合は支援し、激励し、どうすれば自信や意欲を取り戻せるか、本人も一緒に考えさせる。
・1段階ずつ後退する。不振の原因がわかれば1段階前進する。何かしらの不振の原因が分かれば元の段階に戻すスタイルなら、相手との関係も悪くならない。
・不振の原因とは別に、トンチンカンな対処をすると、取り返しのつかないことになる。対処は原因に則していなければならない。
部下と共に状況対応型リーダーシップの概念は、共有すべき。(p112)
・相手が安心する。
・自分に会いに来ないリーダー: 委任されていることに誇りが持てる。
・自分に会いに来るリーダー: 自分の技能を伸ばすための支援をしてくれていることにポジティブになるから、気に病まない。
目標達成のための6つの対話(p118)
①意識合わせ対話: リーダーシップタイプ選択
・何が目標で何が重要か、どのようなリーダーシップスタイルなら技能と意欲が高まるか確認
・優れたパフォーマンスの最大の障害は、期待や責任があいまいになっていること
・発達レベルの診断は部下がする
②スタイルに合わせた4つの対話: スタイルごとにリーダーシップ実践
・s4:任せる。報告してもらう
・s3:良い質問をして激励し、貢献に感謝することで自分の実力に自信を持ってもらう
・s2:必ずマネジャーが対話を主導する。もう一踏ん張りできるよう、指示、助言、支援する。全体像を示して問題解決に参加してもらう。
・s1:初めての仕事なので、細かく指示を出す。必要な資源を提供し、フィードバックする。支援してもらっている、と感じてもらうことがゴールで、そうなったらs2に移行する
③1対1対話:定期的、アクション要望、その他何でも
・時間はマネジャーが設定、議題は部下が決める
・準備するのは、(1)話したいことリスト、(2)マネジャーにどんな対応をして欲しいのか
・連帯感構築が目的
潜在力をだれもが発揮できる。その手助け!が、基本 -
シチュエーショナルリーダーシップの古典。
部下1人1人をよく観て、対応を変えていく。
これまである程度頭では分かってはいるが、なかなか整理出来ていなかったが、この本を読んで腑に落ちた。
古典だが、部下や後輩の指導に、未だに役に立つポイントがたくさんある良書である。 -
リーダーシップを3つ(目標設定・賞賛・修正=叱責)の手法で学ぶ。非常にわかりやすくて、2回読んだら頭に定着する。これは良い。
会社の手帳に簡単なコピーを貼った。 -
■概要
マネージャーは、配下スタッフの発達レベルと状況に応じて適したリーダーシップスタイルを選択すべきだ、というのが本書の主張。
■感想
私はもともと、マネージャーが配下メンバーに合わせて対応を変えるべきだと考えていたが、本書を通じて、メンバーの成熟度や対応の型について解像度が上がった。
実践する際には、メンバーと対話するプロセスが必要なので、普段からのコミュニケーションを通じて対話できる関係性を作っておくことも忘れないようにしたい。
まぁ実践は先なので、今は観念的に理解しておくにとどめ、必要に迫られたら読み直したい。
「自分が抱え込みすぎないようにするために、配下メンバーを育成する」という観点は今の自分にも必要な気がする。
■用語メモ
・発達モデル Development Model
特定の目標やタスクへの習熟度の成長段階。4つのレベル。
D1(技能低×意欲高):意欲満々な初心者
D2(技能低~中×意欲低):期待が外れた学習者
D3(技能中~高×意欲不安定):慎重になりがちな貢献者
D4(技能高×意欲高):自立した達成者
友人が言っていた。「これ研究者みたいだね笑」
D1は学部生、D2は修士、D3は博士、D4が助教以上
彼の専攻分野においては言い得て妙だった。 -
知人社長に勧められて読んだ本。
内容はとても素晴らしく、実践して、自分に、スタッフに落とし込んでいきたい。
読みやすく、わかりやすく、名著と言える一冊だと思う。
実践できているものもあるが、できていないものもたくさんある。
もっと私が柔軟にスタッフに対応して、働きやすい環境、モチベーションの形成に繋げていきたい。 -
著者の体系だったリーダーシップ(組織での部下との目標の設定方法、運用方法)の考え方をしっかりと学習できる。
ストーリー仕立てなので具体的な雰囲気や言葉までを例として確認できるので、理解しやすい。
現在、部下とのコミュニケーションの中で何か拠り所がなく、なあなあで進めている人はまずは読んでここを起点にしていいと思う。(100%の正解はないのでここからスタートして修正を加えながら進める。)
では、会社内で担当者が実際にどう導入していくかのについては記載は特にない。