「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

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著者 : 坂井豊貴
  • ダイヤモンド社 (2016年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478064870

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学するの感想・レビュー・書評

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  • いつもの、タイトルに惹かれ読了。今回は図書館。

    読んでて感じた大きなテーマとしては多数決は万能なのか。本当に民意なのか。ということ。

    小学生の頃から今まで多数決で決定する事項というのは多かった。学級委員だったり、生徒会だったり。選挙もそうだ。しかし、それらは自分の1票を、自分一番支持している1人にしか投票できない。ここに、多数決のうまくいかない部分があるなんて、知りもしなかった。ゴアとネーダー、ブッシュの例を出し、似たようなマニフェストの候補者が現れて、票が割れると選挙結果は変わることや、決選投票付き多数決や総当たり戦など、決定方法に種類があるのは面白かった。


    1番支持している候補者に3点、2番目の候補者
    に2点、3番目に1点というボルダルールというのは初めて聞いたが、これ非常に興味深かった。

    136ページの、有権者がコイントスよりも正しく判断できないと自覚しているとき、多数決は誤った結果となるから、多数決とは逆の結論を出す(少数決にする)と正しい、というのは面白かった。それを自覚できる人は賢そうという筆者の意見もうなづける。笑

    マンションのエレベーター改修工事の負担や、新興宗教に入ってる佐藤と、入っていない中田の話、決闘罪の話も面白かった。


    中身としては非常にわかりやすいながらも、なるほど確かに、と思うような事例でためになった。

  • ものすごく面白かった。ふだん、何気なく使っている多数決の本質について考えさせられた。

    ・最も一般的な決め方としては多数決があるが、なぜ多数決なのか。
    特に選択肢が3つ以上ある場合は票の割れの影響を強く受ける。決選投票をつけるのか、1位は3点、2位は2点、というように配点式にするのか

    ・ネーダー、ゴア、ブッシュの三人が大統領選に出ていてこの順で支持する人の場合、多数決の仕組みではネーダーに入れても仕方ない。二大政党以外から出馬しているネーダーが勝つ見込みはないから。実際、ゴア陣営は票の割れを恐れてネーダーへの投票はブッシュに投票するようなものだ、と呼びかけていた。
    すなわち、ネーダーが不在なら、投票者にとって二位に支持するゴアが勝っていたのに、一位に支持するネーダーが加わることで3位のブッシュが勝ってしまう。このように多数決の選挙では選択機会が豊かになることで結果が歪むことがある。

    これを避けるための方策として、一つは決選投票をつけることがある。初回の多数決で一位が河畔ううを取らなかったら一位と二位で決戦投票を行う。この場合、ゴアとブッシュで決選投票を行い、ゴアが勝つ

    もしくは1位に3点、2位に2点、3位に1点、と順位に配点する(ボルダルール)。この場合ネーダー支持者はゴアを2位、ブッシュを3位にするのでゴアの総得点は最大になり勝利する。

    ・デュベルジェの法則:小選挙区制の多数決選挙のもとでは二大政党制になりやすい。野党が票の割れを避けるために連合したり、有権者が死票を避けるためにセカンドベストの政党に投票するから

    ・単純な多数決、ボルダルール、決選投票の他にも是認投票、コンドルセルールなどの投票方法はあるが、どれを使っても同じ結果がでない「ナーミの反例」と言われる状況もあり得る。選挙で民意を明らかにする、と言っても、どの決め方を用いるかによって結果が変わる事がある。では、どのような決め方が望ましいのか。まず、ペア敗者(一対一のあらゆる多数決で過半数の支持を得られない選択肢。ほかがつぶしあいをすることで三択以上の多数決では勝つことがある)を選ばないという観点からは単純な多数決、是認投票は望ましくない。コンドルセルールはペア勝者が存在しない時に何も選べない(コンドルセ・ヤングの最尤法というものを使って計算すれば勝者を決められるが標準的な有権者に理解できるものではない)。決選投票ではペア勝者が負けることが起こりうる。ということでボルダルールが望ましいのではないかという

    ・では、2択の時には多数決でよいのか。多い方に従うべき、というのは少数派にとっては暴力だが、多数決はどのような時に暴力以上の価値を伴うのか。五階建てマンションのエレベータの改修費用を誰が分担するか、マンション自治会で決める時、「一階の住民が全額負担する」という案が多数決に掛けられたらどうなるのか。こういう問題を防ぐためには本来、多数決にかけてよい問題には陪審定理(投票者それぞれが50%以上の確率で正しい判断をできる)が成り立つ必要があるが、現実的には難しい。多数決を使うのはお昼をどこで食べるか、というようなどうでもよいことに限っておくのが賢明。

  •  副題に「みんなの意見のまとめ方」を科学する-とあるように,本書は,人々の多様な考えの状況を如何に正確に捉え判断するかを解説した本です。
     本書を読むまでもなく,単なる多数決は,民主的な方法とは言えません。しかも多数派が少数意見を全く無視したような多数決は「多数の横暴」とも言えます。さらに,3択や4択があるときの多数決は,死に票がたくさん出たり,本来のベターではない人が選ばれたりする可能性もあります。
     本書は「決め方を変えると結果が変わる」ということを具体的に示してくれるています。「民意は選挙結果から分からない」ことも,教えてくれます。
     この決め方が絶対正しいというのはないようですが,ボルダルールなどは,なかなかおもしろい方法です。ボルダールールは「広く指示されている人」が選ばれる方法です。
     決め方を変えると,歴史が代わり,もしかしたら今のイスラム国も誕生しなかったかも知れない…という話も出てきます。

     今の日本の選挙制度ももっと民意を反映するようなモノにしていかないと,選挙そのものに興味が出ないという状況は変わらないでしょう。「私の一票が生きている」と思うからこそ,人は投票に行くようになると思うからです。
     その方法として,著者は,マスメディアに期待しています。世論調査の折りに「あなたはどの政党を支持していますか」と聞くのではなく,ボルダルールや総当たり戦ルールで聞くのです。そうすることで,民意を反映した,よりよい国会議員の構成の姿が浮かびあがってくるのではないか。

     多数決は,どうでもいい内容の時に使うものである。
     ねーねー,今日のお昼何にする?

  • 全体的に新しい気づきを与えてくれました。記憶に残る、また読み直して確認したい項目を目次より記載。

    ・民意は選挙結果からはわからない
    ・「政治家を選ぶこと」は「政策を選ぶこと」ではない
    ・「票の割れ」が起こると多数決はまともに機能しない
    ・「決め方」しだいで結果が変わる
    ・政治は「決め方」に翻弄されている
    ・ボルダルールは満場一致に近い決め方である
    ・「多数決サイクル」があると、議場は議長の思い通りになる
    ・ボルダルールではリンカーンは敗北する
    ・修正提案の順番で結果が変わる
    ・ペア敗者を絶対選ばない決め方を考える
    ・ベストな配点を考える-スコアリングルール
    ・出されたメニューによって行動が変わる
    ・ほかの選択肢の影響を受ける-「コントラスト効果」
    ・最新方式「マジョリティー・ジャッジメント」
    ・多数決の陪審で正しい評決はできるか?
    ・陪審員の人数が多いと、正しい判断をしやすくなる
    ・他人に流されると正しい判断ができない
    ・多数決が暴力以上の価値を持つとき
    ・(2)有権者の判断が正しい確率pが、0.5より低いとき
    ・多数決は「どうでもよいこと」を決めるのに向いている
    ・自分の意思を正直に表明できる「ランダム独裁制」
    ・改憲ハードルは見かけより低い
    ・国会は党議拘束によって少数派支配が起きている
    ・費用分担を決めるのに最適な「シャプレー値」
    ・自由の領域を病棟に保護する

  • 「多数決を疑う」の姉妹編。重複している内容が多いが、時事的な事例や身近な例えが豊富で理解しやすい。
    それにしても「決め方」に対してあまりに無知・無関心であることを今回も実感した。
    決め方によって結論が変わり、多数を占めた選択肢が、個々の比較では最低になることがあり得るなんて。選挙で多数を占めたからこれが民意だ、なんてとんでもないのだ。
    本書にもある通り、マスコミの報道や世論調査の質問を変えれば、世の中がもっと多面的に見えるような気がする。

  • 多数決をはじめとした「決め方」のみにフォーカスを当てた狭くて深い?本。そんなに論点あるのか?と思いながら読み始めたけど、うーん、なるほど…という感じ。

    冒頭は選挙の実例や決め方の仕組み解説があって、後半はマンションの理事会や裁判員裁判での量刑の決め方など、身近な実例も出てより興味深く読めました。
    決め方の議事進行方法によって結果が左右される(二者択一を繰り返して勝ち残る選択肢を決める場合)、というのはテクニックとして知っておいても良いかも。また、マンションの1階住人にも納得考えられるエレベーター修繕費分配のやり方というのは極めて実践的。

    今はこれだけICTが進歩しているのだから、投票や決め方もボルダルール的にもうちょい手の込んだことをやっても集計は難しくないような。選挙はさておき、自分の日常においてできる工夫は取り入れていければと思いました。

  • ★長い研究の歴史があるんだな★選挙で過半数を取れば独裁してもいいのが民主主義だと言っていた人がいた。ただそれは、正しい選び方での過半数という条件付きだということがこの本を読むとよく分かる。間違った選び方での過半数は民意を必ずしも示していない。だから少数意見の尊重という考え方も生まれるのだろう。

    多数決は1位しか表明できないので情報が少なく、昼食の店選びのようなどうでもいいことを選ぶのに向いているという。1位3点、2位2点のようなボルダルールの方がみんなの意見を反映する。みんなが1位とするまでの距離の違いでほかの決め方と意見の反映度合いを比べるというのがなるほど経済学なんだろう。倫理との兼ね合いもずいぶん前から研究されていて、この分野の蓄積の深さが興味深い。

    ボルダルールを選挙に導入できないのは投票と集計の双方の手間の問題だろう。さらに現在の仕組みで選ばれた人がその仕みを変えることは考えにくい。
    筆者はあとがきで、まずは世論調査に使ってみてはというが、そこまで答えてくれる人も少ないだろう。結局は選ぶ側のやる気の問題に戻ってしまうのか。

  • ・ボルダルールのみが常にペア敗者を選ぶことがない
    ・陪審定理
    陪審員の数が増えるほど、多数決の結果が正しくなりやすい
    ・以下の前提条件を満たす場合、多数決を正当化できる
    1.多数決で決める対象に、皆に共通の目標がある
    2.有権者の判断が正しい確率 p > 0.5
    3.有権者は各自で判断する。ボスに従ったり、空気に流されたりしない
    ・裁判員裁判の量刑は中位選択肢を採用

  • コンドルセの定理。

    多数決は人数が増えるほど一定の条件のもとでは正しい判断を下せる確立が高くなるとしつつ、裏を返せばその条件が満たせない環境での多数決では、正しい判断を下せるとは限らない。

    その条件とは、
    ・50%以上の確立で組織の各個人が正しい判断を下せること(50%がたくさんかけ合わさることで、集団としての判断の精度が高まる)
    ・全員の目標が一致していること(一致しているからこそ、何が正しいのかを全員が問えるし、少数派の人も多数派の意見が正しいのだから納得できる)
    ・各個人の判断が独立であること(他の人の影響を受けずに、各人が判断できる状態。確率論の独立性。)

    なにより多数決のメリットは、かんたんであること。ボルダールールなど、少し複雑な方法を使えば、より満場一致に近い結論に至れるとしても、簡便さでは随一。

  • 社会選択理論の専門家が、単純な多数決にかわる「決め方」を解説する。
    ・「政治家を選ぶこと」は、「政策を選ぶこと」ではない
     →有権者は個々の政策をすべて反映できる政治家を選べない
    ・選択肢が3つ以上になると、「票割れ」が起きて多数決が機能しなくなる
    ・「決め方」で結果が違ってくるのだから、「決め方」決定的に重要だ
    ・「ボルダルール」(1位に3点、2位に2点…といった投票方式)では、「広く支持される人」が選ばれる
    ・多数決は「どうでもいいこと」を決めるのに向いている
    ・「ランダム独裁制」(じゃんけんで買ったやつの言うことを皆がきく)は悪くない決め方だ。「誰にとっても正直に自分の意志を表明するのが常に特になるやり方

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