「超」入門 空気の研究 日本人の思考と行動を支配する27の見えない圧力

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  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478102206

感想・レビュー・書評

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  •  「空気の研究」を読み解く本である。平易な文章と図解などでわかりやすい。
     結局のところ「空気」とは何か。本書では27の圧力となっている。つきつめるとそれは「怖れ」。何らかの選択の結果が失敗の場合の最善策。
     失敗も怖れて向き合っていない。そのため正しい情報が得られていない。故に後からみると非常にまずい策をとっている。
     正しい選択をするためにはカロリーがいる。手間がかかる。コストがかかる。そしてそれと向き合う胆力もいる。逆に言えばそれをやらない。それが空気。そしてそれはよくない選択にならない。

  • 鈴木博毅さん超入門「失敗の本質」に続き2冊目。こちらも別著者の「空気の研究」を現代版に解説したもの。空気とは前提。いわゆる場の空気(前提)がどのように構成されて、いかに逆らえなくなるか。戦艦ヤマトの例や、忖度、パワハラ、いじめ、同調圧力、無責任主義など日本によくある逆らえない空気に隠された真実。解説は少々難しいが、最終章の空気を破壊する4つのアクションプランが嬉しい。1.空気の相対化、2.閉鎖された劇場の破壊、3.空気を断ち切る思考の自由、4.流れに対抗する根本主義。「失敗の本質」と併せて再読したい本。

  • 日本人は海外に行くとその国に溶け込んでしまう。=状況に即応する。何かに染まりやすい=自ら進んで塗り替える。

    同調圧力とは、空気=前提に従わない者を弾圧すること。意図的な前提を押るけることで、現実を隠ぺいする可能性がある。集団による問題解決能力を破壊する。
    それ以外に道がない、という誘導が空気を作る。

    空気を読む、とは、前提を理解する、ということ。お墨付きがあると促進される。

    民はよらしむべし、知らしむべからず、は日本人をコントロールするのに都合がよい。
    努力は尊い、は危険な発想。
    会議室と飲み屋で意見が変わる。
    多数決は、マイナス面を無視していい、というサインではない。多数決で決めたことだからこそ、反対意見のマイナス面を考慮するべき。

    外から来た論理に従うときは、強さを発揮する。内からでた論理に盲目的に従うことは危険。

    まったくしがらみがない第三者から見たらどう考えるか、を考える。

    日本人には特定の宗教ではなく、日本教がある。日本人は神に支配されたくない、努力が好き、怠けもの、神任せはきらい。

  • 日本人をディスりすぎててあまり気分のいい本ではなかった

    日本が島国体質で争いをおこさないようにしてきた知恵でもあるとは思うんだけど
    確かに日本らしい空気はあると思うんだけど
    文中には空気を表す時に外国の事例が引用されている事もあるのに
    そんな中でなぜ日本ばかり?と思った

    その通りだと思うところもたくさんあって
    コロナの状況も空気というよりものすごい
    圧があったと思う
    それがマスコミだったり、一部の権力者の意のままになっているということは大いにあると感じる

    それが日本人がみんな悪いってことではなくて、力のない人間が空気を変えていくのは難しくて、それに対するハッキリとした答えは出なかったなぁという印象

    でも知ることからはじめるという意味では勉強になった

  • 空気という重要な要素の片鱗が理解できた。
    ただし、原文を少し差し込まれているが、非常に難解。解説は非常にわかりやすく説明してくれているが、その断片しか理解できていないだろうことが残念。本書の問題というより原著の理解の難しさをどう突破するかという解決法が自分にないこと。

  • 元ネタの"空気の研究"の本を読んでいないので確かではないですが、本書を読んだ感想としては科学というより哲学的な印象を持ちました。

    空気=前提と考えることはとてもわかりやすい説明であり、空気を利用した詐欺的な行為を巧みに使う前提を隠して論じる手法は気づかないうちに使っていたり、使われていたりする事だと感じました。

    SDGsやEVなどのゲームチェンジはこの空気を利用したものの一つとも考えられるとも思いましたし、ウクライナ-ロシア間の戦争も同様な空気で巧みに前提を隠されている可能性があるのではと私は思わされました。

    日本の話として書かれていますが、心理学的な観点から見ると他国の人も同じようなバイアスにハマり、日本とは多少違うのだろうけど、同調圧力や空気による大衆扇動を行なっているように私は感じる。

    前提を疑うことの重要性を学ばせて頂けた良書でした。

  • 日本人が陥りやすい空気を読むことのメカニズム、その弊害と打破するポイントを分かりやすく解説
    企業不祥事やある大学の問題等はまさにこの空気にあるのではないかと感じる。とても示唆に富んでいて、自分事として意識したい

  • 「変わってしまった状況に『即応する』のが日本人の行動原理」と言うのと、「状況倫理、つまり異なる『物の見方』を持つムラ同士が張り合う場合、(横断的な社会正義を追求するのではなく)どちらが正しいかを決めるため、それぞれの物の見方から超越した(より広い影響を持つ)象徴をつくり、象徴としての権威からのお墨付きを得た側が正義だとしてきた」と言うのは、八百万の神がいる宗教的。支配ー被支配の関係が歴史的に見て流動的だからだろう。「空気」とは、ごく特定のムラだけに都合のいい前提である。それは「前提」なので論理的ではない。日本では、利害の異なるムラは存在しないという(ムラ内部の)虚構のもと、忠孝一致というか、忠(契約)と孝(血縁)が混同、意図的に悪用されて「君、君たらずとも臣は臣たれ」との言葉も生まれた。この思考は現代の組織でも見受けられ、会社でも暴力団組織でも上司のことを「オヤジ」と呼ぶ者がいる。その虚構は、自己を正当化してムラを支配するツールである。

  • 空気に流される、組織の色に染まってしまう
    ということをより言語化してくれている本。

    どのようなメカニズムで空気がつくられているのかが分かる。面白い論理だと思った。

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著者プロフィール

MPS Consulting代表
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、商社にて資源輸入業務に従事。その後、コンサルティング会社に勤務し、独立。現在は、コンサルティング業務のほか、戦略論に関する著作も執筆。

「2022年 『戦略は歴史から学べ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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