組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす

  • ダイヤモンド社
3.98
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本棚登録 : 491
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478106440

作品紹介・あらすじ

組織開発とはなにか。なにをきっかけに生まれ、いかなる変遷を経て発展してきたのか。本書では組織開発の思想的源流をデューイ、フッサール、フロイトに求め、そこから今に至る100年の発展の歴史を跡づける。さらに現在の組織開発のさまざまな手法を解説し、5社の企業事例を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 「組織開発の探求」というタイトルだけど、内容的には、「組織開発の歴史」という感じの内容が大部分だな。

    これが、でも実に目から鱗がポロポロと落ちまくる内容。

    なんとなく、こんなもんだろうと思っていたことが、どういう哲学、心理学的な背景をもちつつ、また世の中の状況とか、企業環境とか、経営学の流れともシンクロしながら、発展、変化してきたかがとてもクリアにわかる。

    それは、単に知的に「組織開発」の歴史が理解できてスッキリした以上のものがある。

    自分がこれまで、なんとなくそういうものだと思ってやってきた「作法」が、先達のどういう志や思想、知恵、努力の積み重ねの上に成立してきたものかが、わかって、感謝しかない。

    やっぱ、一つひとつのことをなぜそうするのかを深く「探求」したうえで、やっていこうという思いをもった。

    そういう意味では、まさに「探求」の本だな。

    そうしたオリジナルな知恵・ツールを尊重すると同時に、本に書いてあることをそのまま現場に持ち込むことの危険性も言及してある。わたしはどちらかというと、「あえて」本に書いてある通り、あまりアレンジせずに一度やってみて、どうなるかを見てみる、というやり方をやっている。つまり、日本とか、会社の状況を「忖度」しすぎると、もともとのツールのパワーが落ちてしまう気がしているから。。。

    でも、今後、もうちょっとこの辺の応用は柔軟にしないとな。。。。

    あと、組織開発は、人間的なソフトな側面にフォーカスするものではあるけど、経済的なハードな側面との関係にも意識を向ける必要も書いてあって、ここは全くそうだと思うな。

    全体と部分、ハードとソフト、定量と定性、まさにインテグラルに捉えて、どう進めていくかを考える必要があると思う。

    それにしても、この本の日本の状況に関する議論とか、ケースを読んで、アメリカの状況との差に暗い気持ちになり、さらに自分の状況とを比較して、最後は、暗澹たる気持ちに落ち込んでしまった。

    というのは、個人的な問題で、この本は、本当にすばらしい。

    組織開発に関心のある人、全ての必読書だな。

  • 組織開発において、実践者として手法やテクニックではなく、その背景や思想を理解したうえでマインドセットを持つことの大事さがヒシヒシとわかる本。
    人材開発と組織開発の第一人者同士の共著というのもあって、隣接する分野のつながりも理解しやすく書かれている。思想や理論を読んだ後に実践編の具体例を読むと、冒頭に書かれていた風呂敷のニュアンスがよくわかった。その組織に合う形に落ち着くまでコツコツ対話を重ねて、その流れを積み重ねるのが重要だと胸に刻みます。

  • 人口減少に伴う人材不足減少を考えると、私たちがトリュ得る対策としては、多様な働き方を許容し、潜在的な労働力として働いてくれる可能性のある人の労働参加を進めていくことです。

    組織開発のサンステップとして、見える化、ガチ対話、未来づくり、のサイクルが回り続ける必要がある。

    マクレガーの考え方として、人は本来怠け者で仕事をしたがらないために、強制や命令は必要であると言うx理論と、人は適切な条件のもとでは主体的、かつ創造的に仕事をすると言う理論があります。動機付け要因を高めるためには、合理論の人間観によるマネジメントが必要だということがわかっています。

    プロジェクトの規模が大きくなり、仕事の細分化が進んでいたにもかかわらず、コミュニケーションは希薄で、目標が共有されることなく、曖昧なままスタートしたケースも多かったと聞いています。各自が勝手に進めてしまった結果、手取りが多くなるなど、無駄が多く、チームが力合わせてやっていくと言う状況ではなかったようです。

    ダニエルの提唱する成功の循環モデルでは、関係の質、思考の質、行動の質、結果の質、のサイクルを回し続ける必要がある。

  • 3.8

  • 組織開発には診断型組織開発と対話型組織開発の2パターンある。診断型は現実をデータなど客観的事実であると考える一方、対話型はその瞬間の対話の中には存在するため、現実は変化するor複数存在する。この診断型と対話型の両方を使いこなせると、組織開発としてチームにより良い影響を与えられるのではないかと思う。
    ただ、書籍の量が膨大なため、読了には根気が必要。

  • ・組織開発=漢方薬による体質改善
    ※体質がすぐに改善されるわけではない
    ・デューイの「経験と教育」、フッサールの「現象学」読む

  • シンプルかつ体型的に組織開発について外観をつかめた。
    当初は、知識をつけ、Howを振り翳しそうになったが、
    本書を読んで、本質的には、
    「やってみようとすること」が何よりも組織開発力を
    身につける最良であると学んだ。

  • 組織開発とはなにか、そしてこれまでどのような歴史を経て発展(あるいは衰退)してきたのか…背景となる哲学や心理学の系譜も踏まえながら、組織開発についてかなり欲張って一冊の本にまとめられているなという印象。分厚いが、厚みだけではない重厚さ、組織開発が扱う領域の広さと深さを感じられる本書。組織開発について学びたい、実践したいならまず読むべき本。

  • ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 )

  • 組織開発とは何なのか。
    どのような理論があり、どのような実践が可能なのか。
    組織開発100年の歴史を遡り、思想的源流から手法までを詳細に解説していきます。
    組織開発を知りたい人には、必読の一冊です。

    組織開発は、非常にパワフルな手法である一方で、用いられ方を間違ってしまうと、大きなリスクや危険を個人や組織にもたらしてしまいます。いったい組織開発のどこに危険が潜んでいるというのかというと、組織開発が「集団精神療法」の影響を受けて発展してきた、という、この歴史的事実にあります。組織開発をこれから企業で導入する場合には、ぜひ、組織開発をする側のファ シリテーターの経験、履歴などを前もってしっかりと調査していただければと思います。組織開発は「何をするか」も重要ですが、「誰とするか」も極めて重要です。 ー 262ページ

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著者プロフィール

立教大学経営学部教授

「2021年 『中小企業の人材開発』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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