「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478109366

作品紹介・あらすじ

メタバース AI 不死・医療 ジェンダー 地震 感染症 気候変動 現実は「SF化」している…未来の全てがわかる1冊

感想・レビュー・書評

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  • SF作品についてジャンルや系統を分かりやすくマッピングしつつ、紹介しているガイドブック。改めてSFと一言に言っても、様々な切り口があるのだなと分かった。

    個人的にはSFは好きなジャンルの一つではあるものの、ガチの科学が絡んでくる内容は苦手意識があった。実際に過去に読んだはずだけど、ほぼ内容が記憶に残っていないものも…(笑)逆に比較的最近読んで面白かった作品についてはいい復習になった。

    SF作品は映画やアニメなど映像化しているものも多く、この一冊の中でも各作品の面白いポイントやすごいところをかいつまんで教えてくれるので、改めて色々な作品を読んでみたいなと感じた。

  • 書評家、「HONZ]レピュアーの冬木糸一が選んだSF選。

    見開きに「SF沼の地図」というのが折り込みであり、これがおもしろい。横軸に右がScience(Scientific)、左が(Speculative:思弁的)、縦軸が上にFiction(Light)、下に(Heavy)。

    ScientificでHeavyなのが、「日本沈没」「楽園の泉」「われはロボット」など。ScientificでLightなのが「ジュラシックパーク」「神の鉄槌」「プロジェクト・ヘイル・メアリー」「三体」など。

    SpeculativeでHeavyなのが「闇の左手」「高い城の男」「1984年」「わたしを離さないで」「侍女の物語」など。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」はこの区域に入っているがやや中央のクロス線に近い。SpeculativeでLightなのが「銀河ヒッチハイクガイド」「新しい時代への歌」など。

    副題が「これから何が起こるのか」を知るための教養、とあるように、目次では最新のテクノロジー、災害、人間社会の末路、に分けて56の作品をおおむね6ページで紹介。

    最もSpeculativeでHeavyな場所にあるのが「闇の左手」(アーシュラ・K・グイン)。そのやや軽めなのが「高い城の男」(フィリップ・K・ディック」 まだ読んでいないのでぜひ読んでみたい。

    著者は1989年生まれ。若い世代の感覚。



    2023.2.28第1刷 図書館

  • この趣旨であれば映画・アニメもカバーしたほうが良い気もしつつ、SF小説のオールタイムベスト解説として例えば「ディストピアもので読んでいない名作を知りたい」などに有用。ただ、特に「プロジェクト・ヘイル・メアリー」あたりはジャンルがわかることが面白さ、でもある作品なので、序盤の地図をみて興味が湧いたら解説読まずに読んでみるのがオススメ

    余談としては、最近のイーロンマスクの風評を想定していなかっただろうと思われ、数ヶ月先の未来さえどうなるのかわからなさを感じさせておもしろい

  • 【妄想はどこまでも】
    ガイドブックです。

    これをたよりに本を選びます。
    SFだけでなくアニメ、ゲーム、メタバースには無限の夢があります。
    想像を超えた世界観!

  • あらすじをまとめるのが苦手なので、映画読本とかアニメの見方とかブックガイドとかに時々お世話になる。
    既読の本は「なるほどあの話はまとめるとこういう話だったのか」と客観的に見れるし、未読本の中で買ってない本は欲しい本リストに入れるし、SF好きならそこそこ積んでいると思うが、手元にある本の中で読む本の優先順位が決まるので良かった。「なぜその本なのか?」という点も面白いし、あらすじがざっくり書いてあることによって詰んでいるがあそこが気になって手が出ない…というハードルが低くなって良かったです。中には子供の頃から気になってはいたものの手が出なかった有名な作品などもあり、参考になった。
    あと、厚さの割にサクサク読めるのも良かったです。

  • これから何が起こるのかを知るための教養

    にひかれ購入。

    SF沼にはまりつつあるのですが、(もちろんそこから派生して
    いろんなジャンルの本も読んでいくと思うのですが)

    ただ、面白かった、だけじゃなくて、こういう読み方をすればいいのかと
    感心しました。
    現実はすでに、過去のSFで想像された世界に近づきつつある
    (すでにそうなってるものもある)
    今の日常の上に成り立つ、フィクション小説は、
    今の自分と重ねていくことは簡単だと思いますが、
    未来の創造の上のSF小説から、今、自分が未来のため
    想像し、、今行動できることは?ひと手間考えてみることが
    教養として成り立つ意味なんだなと感じます。

    ただ、作者のあとがきにもありますが、まずは、楽しい!と思うことが大切!

    楽しいことは、体感として、気持ちもついていくと思います。

    作者の知識はすごい!(どうやっておぼえてるんだろう?)
    読書冊数もすごい!(どうやって自分のものにしていっているんだろう?)

    紹介されている本は、どれもこれも読みたくなります。

    ひとつだけ、、、本書の性質上、紹介されている本の内容に
    触れることは避けられず、
    また、内容に触れられることで、興味がわいたのは確かですが、、、
    いくつかのものは
    ほぼほぼネタバレ的な、結末まで書かれてるのは残念かもでした。
    (それも、一読しただけでは覚えてないのでいいのですが笑)

    とりあえず、今気になるものにチェックしたので
    購入、読みおえたら、筆者と考えをすり合わせたいなーと思ってます。

    最初は、本の紹介だけの本かと思いましたが、
    SFにさらに興味がわき
    SFをこれからこんな風に読んでいけられる人間になりたいな
    と、教養としてのSFの一面が見えてよかったです。

    SF大好きな方には、すでに読まれている本ばかりかと思いますが、
    ぜひ、私のように、まだSFだけでは100冊には届かないような方や
    若い世代の方に手に取っていただきたいと思います。
    やわらかい頭を作りたいです。

  • 著者はSFを2,000冊!読んだ強者。その方がのめり込んだという56作が紹介されているのだから、どれも絶対面白いはず。既読本も多く紹介されており、私が珍しく他人に勧めまくった「地球移動作戦」と「プロジェクトぴあの」(作者山本弘はフィクションは現実より正しいと言い放った)は傑作とされており嬉しかった。30年以上前に読んだと思う「
    銀河ヒッチハイク・ガイド 」はイーロン・マスク(最も嫌いなビジネス人の一人だが)が14歳で人生の意味や目的を完全に見失ったときに読んだ本でとりわけ影響を受けた本がこれだという。
    しかし「ユートピア」が書かれた1516年には未来に関心を持つ人などおらず、未来の世界が現在と大きく違うものになるという発想自体が無かったという。なぜならそれまでの人間の生活は一生涯、世の中的に殆ど変化が無かったかららしい。従ってタイムトラベル物のSFは無かった。確かに物心ついてから死ぬまで世界が変わらないなら未来に関心は生まれないだろう。
    現人類は何万年も前から脳など肉体的には変わっていないのに、科学文明はたかだかこの数百年で飛躍的に進歩した。私にはとても不思議だったのだが、この未来は変わるかもと思うようになったから、突然進歩発展できたのではないだろうか?
    で、読まねばならない本はこの二冊。
    ・7人のイブ:人類生存のビジョンが異常な細かさで描かれる
    ・高い城の男:有り得たかもしれない歴史を体験する

  • 出版社や帯コメントの顔ぶれから何となく世間ではビジネス書として受容されている気がしているのだが、タイトル通り面白いSF作品を紹介してくれている一冊。そのラインナップを眺めて解説を読むだけでニヤニヤしてしまう。もちろん(?)本書のベースには「現実世界の近い未来を予測するために」という前提があるので単に「暇つぶしに面白いよ!」と紹介しているわけではないのだけど。往々にして世間を騒がすテクノロジーはSF作品の中で描かれており「現実があの作品に追い付いた」という感覚になった経験を持つSF好きは多いはず。ただ純粋に良質なSF作品を楽しみたい方も、そこから仕事やキャリアへのヒントを得たい方も、どちらにもオススメ。

  • SFのジャンルごとに有名作品をレビューする本。現代技術とSFが描く世界とを比較しており「教養」も提示しています。小説限定のため映画や漫画のレビューが無いのが惜しいところ。とはいえ読みたくなる表現はさすが。面白い本でした。

  • 長いこと(10年くらい?)フォローしているブログ「基本読書」のブロガーである冬木糸一さんの初著作。
    ブログをだいぶ追いかけていることもあって、文章や選書にもともと信頼しているので、本書も面白く読むことができた。
    内容はほぼSF入門に最適な作品の紹介とそのブックレビュー。「これから何が起こるのか」を知るための教養、を手っ取り早く求めている人(そんな人いるのかは知らないが)にとっては、期待にそぐわない内容かもしれない。
    私自身はSFマニアではなく少しだけ読んだことあるくらい(本書の紹介する53冊のうち9冊ほどを読んでいるくらい)だが、そのくらいだと「この本、書名は見たことあるけどこんな話なんだ、面白そう。」という感じで、次読みたい本が次々と提示されていくので、ちょうどよいかもしれない。

    「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門
    冬木 糸一 著
    内容紹介
    メタバース AI 不死・医療 ジェンダー 地震 感染症 気候変動……この1冊で、未来の全てがわかる!イーロン・マスクのバイアスにとらわれない思考を支える『銀河ヒッチハイクガイド』、最新の話題作『三体』など、古典から現代までベスト53冊を厳選した初のビジネスパーソン向け入門書。
    目次
    推薦の辞
    はじめに 現実は、SF化した。そして10年後、何が起こるのか
    p15 われわれのほとんどは(筆者も含めて)SFを読んだところでイーロン・マスクやジェフ・ベゾス、ラリー・ペイジのようになれるわけではない。しかし一方で、生活のあらゆる側面において否が応でもGAFAMを含む巨大企業経営者、パワープレイヤーたちの思想と行動の影響を受ける。SF作品は、彼らのいわば「聖典」であり、頭の中を除くための重要な材料となり得るのだ。我々一人一人がこの社会でサヴァイヴしていくために、彼らが想像する「世界」の一端を知ることは、とても重要になる。
    Part1 最新の「テクノロジー」を知る
    Chapter1 仮想世界・メタバース
    p26 アメリカンフットボールのプロ選手が、練習中に自分の頭部に装着していた360度カメラの映像をVRで見返すというトレーニングを実践したところ、ビデオを観たり、図で描かれた戦術を何度も読み返したりといった従来の(練習場外での)トレーニングよりも、大きく成績が向上したのだという。*5
    『ニューロマンサー』
    ── この作品がなければ映画『マトリックス』もなかった
    『スノウ・クラッシュ』
    ── 最旬キーワード「メタバース」の源流
    『セルフ・クラフト・ワールド』
    ── もし、現実よりも「仮想世界」が重要な場所になったら?
    Wシリーズ
    ── 人間と非人間、生と死、仮想と現実の境界がゆらぐ
    Chapter2 人工知能・ロボット
    『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
    ── 人間とアンドロイドの違いは何か? 人間とは何か?
    『われはロボット』
    ── 人とロボットの「共存」のルール
    『BEATLESS』
    ── 人類を超越したAIと、用済みになったヒトの信頼関係
    Chapter3 不死・医療
    『透明性』
    ── 人間の不死化技術を得た企業は、新世界の神となる?
    p68 現在すでに、グーグルやアマゾンの研究開発費は200億ドルを超えており、そのうち15億ドル以上が不老不死研究に費やされていることが知られている。
    p68 人々は、テクノロジーに頼れば何でも分かってしまうので、逆に自分自身ではもはや何も知ることができない。(中略)そのせいで、彼らはきちんと組み立てられた知識を持たず、かつて存在していたような緻密な文化的構築が不可能になっている。
    『円弧』
    ── 不死が当たり前の世界で「死を受け入れるか、否定するのか」
    『ハーモニー』
    ── 「不健康」が許されない息苦しさ
    Chapter4 生物工学
    『ジュラシック・パーク』
    ── 史上もっとも有名な「遺伝子工学SF」
    『わたしを離さないで』
    ── 科学の発展と、無慈悲で、残酷な世界
    『ブラッド・ミュージック』
    ── バイオ技術で内側から変わりゆく人体
    『宇宙・肉体・悪魔 理性的精神の敵について』
    ── 1929年、驚くべき先見性で「人類の未来」を予測した名著
    『フランケンシュタイン』
    ── SFの源流となったゴシック小説
    Chapter5 宇宙開発
    『宇宙へ』『火星へ』『無情の月』
    ── ありえたかもしれない「女性の宇宙開発史」
    『七人のイヴ』
    ── 人類生存のヴィジョンが「異常な細かさ」で描かれる
    『青い海の宇宙港』
    ── 宇宙との距離を縮めてくれる青春SF小説
    Chapter6 軌道エレベーター
    『楽園の泉』
    ── 宇宙エレベーターの存在を世に知らしめた一作
    Part2 必ず起こる「災害」を知る
    Chapter7 地震・火山噴火
    『日本沈没』
    ── 大地震のたびに再注目される、地震SFの金字塔
    『死都日本』
    ── 「地震は怖いけど、火山はそうでもないよね」は噓
    『富士山噴火』
    ── 来るべき大災害に備える「実用書」でもある
    Chapter8 感染症
    『復活の日』
    ── パンデミックの時代に求められる「思考力」
    p165 小松はあとがきの中で、本作について次のように語っている。
    ”核ミサイルの時代になって、「惑星的な危機」が現実の問題になったとき、われわれはもう一度世界と人間とその歴史に関する一切の問題を「地球という一惑星」の規模で考え直す必要に迫られていると思う。このために文学もまた、自己の専門領域に閉じこもってばかりおらず、なりふりかまわずほかの一切の領域について、自分なりの考察を広げる必要がある。”(p438)
    『天冥の標Ⅱ 救世群』
    ── 感染症をめぐる「差別と怨恨」の終わらない連鎖
    『新しい時代への歌』
    ── 10年以上、「リアルな接触」が激減した社会で生きるということ
    Chapter9 気候変動
    『蜜蜂』
    ── ハチの消滅がまさかの「世界の崩壊」を招く
    『神の水』
    ── 「水不足」が命の奪い合いにつながる未来
    『2084年報告書 地球温暖化の口述記録』
    ── 現役の地質学者による(現状を放置すれば訪れる)予言の書
    Chapter10 戦争
    『地球の平和』
    ── 際限のない軍拡競争の行き着く果て
    『渚にて』
    ── 核戦争で滅びゆく「人類の最後の日々」
    『戦闘妖精・雪風〈改〉』
    ── 戦うべき相手との「決死のコミュニケーション」
    『スローターハウス5』
    ── むごい戦争体験をSFに昇華した「反戦小説」
    Chapter11 宇宙災害(隕石の衝突、太陽フレア)
    『神の鉄槌』 
    ── 恐竜を絶滅させた「隕石」に、人類が科学で対峙する
    『地球移動作戦』
    ── 地球をも動かしてみせる、科学の奇想
    『赤いオーロラの街で』
    ── 10年以上「電気のない世界」で生きていく
    Part3 「人間社会の末路」を知る
    Chapter12 管理社会・未来の政治
    『一九八四年』
    ── 「二足す二は四である」と言えなくなった世界
    『すばらしい新世界』
    ── 私たちは自己という究極の「虚構」から逃げられない
    『ザ・サークル』
    ── 市民が自発的に求める監視社会の危うさ
    Chapter13 ジェンダー
    『闇の左手』
    ── 性の規範から解き放たれた世界
    『侍女の物語』
    ── 女性が「道具」として使役されるディストピア
    『徴産制』
    ── 男が「出産する性」になったとき
    Chapter14 マインド・アップロード
    『ゼンデギ』
    ── コピーされた意識に人権はないのか?
    『順列都市』
    ── 宇宙の終わりすら乗り越える「究極の不死」とは
    『都市と星』
    ── 「閉鎖的な繁栄」はユートピアか、ディストピアか
    Chapter15 時間
    オックスフォード大学史学部シリーズ
    ── 現代人の目線で、過去の歴史を捉え直す
    『キンドレッド』
    ── 過酷な黒人史を「体内に感じさせる」作品
    『高い城の男』
    ── 「ありえたかもしれない歴史」を体験する
    Chapter16 ファーストコンタクト
    『三体』
    ── フェルミのパラドクスに対するひとつの回答
    『ブラインドサイト』
    ── 知的生命に「意識」は果たして必要なのか?
    『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
    ── 「科学」で結びつく人類と地球外生命体
    『幼年期の終わり』
    ── 人類は「個」を捨て「集合体」になる
    Chapter17 地球外生命・宇宙生物学
    『ソラリス』
    ── 「異質な他者」に、どう向き合うか
    『時の子供たち』
    ── 他種族の目から見た人類の「異質さ」
    『竜の卵』
    ── 時間の流れが異なる相手との非対称な友好関係
    『銀河ヒッチハイク・ガイド』
    ── 宇宙の真理をもギャグにする傑作コメディ
    『スターメイカー』
    ── 宇宙の創生から終局までを描く壮大なクロニクル
    おわりに 「楽しさ」からすべては始まる

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