- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478110782
作品紹介・あらすじ
伝統的な日本の大企業が生き残るためのデジタル戦略をいかに構築するか。顧客との関係づくりを7つのプロセスに分解し、それぞれにデジタル技術を効果的に活用することによって継続的な信頼を得る。顧客のなかに眠るアクティビティを顕在化し、自社のアクティビティとして最大限取り入れる方法を紹介する。
伝統的な大企業がこれまで強みとしてきた規模や歴史が足かせとなり、デジタル系ベンチャーやプラットフォーマーに市場の主導権を奪われている。しかし、そうした新しいプレイヤーが持ちえない武器が大企業にはある。それが「信頼」という力だ。
本書では大企業が規模と歴史によって培ってきた信頼に注目する。信頼を生み、維持・拡大していく力を顧客価値の最大化につなげるための戦略について説く。
信頼を得るといっても、ヒト・モノ・カネの大量投下によって信頼を勝ち取る方法ではグローバルな戦略は立ち行かない。
そこで重要になってくるのがデジタル技術である。顧客との関係づくりを7つのプロセスに分解し、それぞれにデジタル技術を効果的に活用することによって、顧客のアクティビティを自社のアクティビティとして最大限取り入れる方法を紹介する。
顕在化したニーズにデジタルを活用して効率よく対応するのではなく、顧客自身のニーズをデジタルによって深掘りしていく。そこで生まれた信頼がデジタル化され、さらに顧客のニーズを深掘りする。
この信頼をドライバーとするサイクル(=ウィズダムループ)を生みだすことで、伝統的な大企業はよみがえる。
感想・レビュー・書評
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本書は日本の大企業を意識して書かれた本です。私なりに要約すると、日本の大企業は昨今世界的にも競争力や収益力が低下しているが、これまで培ってきた顧客との「信頼」を武器に、デジタル化を進めていくべきであること、そこでの戦略は「顧客価値リ・インベンション」戦略だということです。「リ(再)」と呼んでいるゆえんについて、おそらく何度も繰り返し顧客に価値を提供する、しかもそれは固定的ではなく流動的である(違う価値を提供することもありえる)、という意味で「再」という言葉が使われているのだと思います。
このように、主張していることはそうだろうなと思う反面、パンチ力というか、説得力、あるいは「目からうろこだ」というところは残念ながらとくにありませんでした。むしろ本書ではロジック展開の甘さや数字の裏付けが乏しいことが目につきました。企業事例の紹介が典型的ですが、本書で紹介されている「カーボン」という会社がどのくらい成功しているのか、またどのくらい顧客の業績改善に寄与しているのか数字の紹介がまったくなかったので、「なぜこの会社が紹介されているの?」と最後まで腑に落ちませんでした。
数字の裏付けがないもう1つの例をあげましょう。本書では議論の大前提として、「日本の大企業は顧客からの信頼という強み(資産)を持っている」、と主張します。しかしこれは本当でしょうか?まず「大企業」というワードが曲者です。例えば私はトヨタを強く信頼していますが、日産はゴーンの事件があったので、残念ながら信頼していません(もちろんほとんどの社員の方は真摯に働かれていると思うのですが、企業統治がおかしいという意味です)。パソコンメーカーについてもある企業は信頼していますが、別の企業は嫌な経験をしたので信頼していません。企業規模は関係ありません。近所のあるパン屋さんはいつも期待を裏切らないおいしいパンを作ってくれるので信頼しています。
あげ足を取るわけではないのですが、本書を読み進める中で、どうしても上記のような疑問や言葉の使い方の甘さが気になる箇所が多々あって、フラストレーションはたまりました。何らかの調査結果(世論調査やサーベイなど)が示されていれば、「そうか、この世論調査によれば日本人は「総じていえば」大企業を信頼しているんだなあ、大企業の不祥事は後を絶たないけれども・・・」などとある程度納得できるわけです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
201110 読了
読みやすかった。信頼の重要性が再認識された -
東2法経図・6F開架:336.1A/Mi53s//K