クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
- ダイヤモンド社 (2003年10月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478420454
作品紹介・あらすじ
これまで考慮されてこなかった人間行動の特性をふまえ、プロジェクト・マネジメントにTOC(制約条件の理論)を応用したクリティカルチェーン。我々の常識を覆し、パフォーマンスを飛躍的に改善するツールとソリューションを提示する。『ザ・ゴール』のゴールドラット博士のビジネス小説・邦訳第4弾。
感想・レビュー・書評
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以前読んだ「ザ・ゴール」からのゴールドラット博士シリーズ。
プロジェクトをいかに効率よく運営するか、プロジェクト・マネジメントの理論が、小説スタイルで解説されます。
解説者 津曲公二氏の、人気番組「プロジェクトX」についての解説が納得できた。
『プロジェクトは、ドラマではない。いや、ドラマにしてはいけないのである』
プロジェクトは手に負えない、上手くいかない、予想外のことだらけ。悪戦苦闘しながら、最後は栄光のゴールに到達する。それがプロジェクト。
そうではない。プロジェクトは、予定どおりに淡々とゴールに到達するのが本当の姿だ。プロジェクトをドラマにしないやり方、プロジェクトをうまく運営する技術がプロジェクト・マネジメントの役割だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『感想』
〇おもしろかった。実際のケースを基に議論をしていくこんな講義を私も受けたい。
〇仕事をするときに業務にかかる時間を計算するが、もちろん最悪を想定して長めにとっている。そして早く終わったからってそれで報告して終了するかというと、そんなことはない。
〇それは次の仕事が回ってくるという消極的な理由ばかりでなく、寝かせることでよりよい作品を作るということもある。
〇与えられた期間が長いからって後回しにすることはよくあるな。これも期日を守りさえすればいいじゃん、もちろん不測の事態があったとて余裕を持ちすぎて間に合わないようじゃ話にならない。
〇期日というのは相手があることで、また早く終わらせることができると相手が助かることもあるわけで、他の予定も組み入れた適切な締め切りを相談していきたい。
〇私は締め切りをよく設定しているが、これは自分だけの都合ではなく、周囲に配慮したものにすることは心がけている。また締め切りを守れないことを予測して早めの締め切りとしているが、余裕があることが当然のごとく締め切りを守らない相手には気分を害してしまう。
〇期間を短くすることでボーナスを与えるという方法は、ボーナスを与えられない他の仕事を後回しにすることになるので、これってあまりに横行すると信義に反してしまわないか。これってボーナスをもらえるのは優先順位を変えた受注業者ではなくて、仕事を後回しにされた他の発注業者じゃないだろうか。
〇最初の条件から変わっていくことで、業務にかかる期間が延びることが実は望ましいと考える会社の存在はなるほどと思った。
〇当初見積もりや契約内容が発注者の都合で変わっていくのは現実としてはある。発注するほうもとりあえず安めで契約をして上層部を納得させてから、順に高くしていくというテクニックでもある。また受注するほうもそれをわかって後から高くできるからとまずは安く手を打つ。これは担当者同士がよいだけだからな。 -
これもザ・ゴールの別の話。あまり記憶になし。
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PERT法のクリティカルパスにリソースの競合を考慮したのがクリティカルチェーンと聞いて興味を持った。以前読んだザ・ゴールのTOC(制約理論)をプロジェクトマネジメント特にスケジュール管理に応用する話。
リソースの競合は普通考慮するだろうからなるほど感は無かった。それよりも各ステップに期限を設けるとセーフティータイムが組み込まれてしまう問題の方がなるほどと思った。期限設定をしないことで「学生症候群」を無くし掛け持ちも無くす。バッファーは個々に設けずまとめて設ける。良いと思う。
以下はポイントの抜粋。
・進捗状況はクリティカルパスでしか評価しない(p247)
・クリティカルパスだけ監視(p252)
・クリティカルパスを無駄にしない(p235)
・各ステップにセーフティータイムを組み込みすぎている(p236)
・セーフティーは全て、クリティカルパスの後ろに置く(p237)
・合流バッファーは非クリティカルパスで生じる遅れからクリティカルパスを守る(p243)
・ステップごとの期限設定は廃止(p249)
・各ステップ完了までの時間を減らすことによって、仕事の掛け持ちを大幅に減らす(p250)
・1か月遅れることで、どれだけ金額的な損失があるのか認識(p269)
・交渉したのは納入日じゃなくリードタイム(p283)
・共通のリソースが複数のステップによって用いられる場合、こうしたステップ間の競合も検討(p338) -
図書館で借りた。
プロジェクトマネジメントを学ぶのにお勧めの本としてよく紹介される1冊。
中身は小説だ。MBAスクールという舞台で、授業の課題として見る実際の現場で、なぜプロジェクトは上手くいかないかを分析しながら、謎を解いていくという話。そこから読者はプロジェクトマネジメントのノウハウを学べる本となっている。
私はどうも小説形式で学ぶというのは合わないらしい。小説には入り込めたが、入り込んだばっかりに「理屈はいいから、この主人公たちは結局ハッピーになるの?どうなるの?」という側面ばかり気になってしまった。堅い教科書の方が、自分には合ってるのかと感じた1冊でした。 -
ー 「そうだ。でも定義は大事だ。一度、定義を整理してみよう。 とりあえずクリティカルパスの定義は、そのままということにしておこう。いちばん長いパスだ。さて、ここからだ。もう、みんなわかっていると思うが、ここで重要になるのが制約条件だ。制約条件は、従属ステップがいちばん長くつながっているところだ。従属関係がリソースに起因することも考慮しないといけないわけだから、これには別の名前を用意したほうがいいだろう」
「『クリティカルチェーン』というのは、どうですか。 従属ステップがいちばん長くつながっているところ、つまり鎖ですから」 ー
「制約条件の理論」と「思考のプロセス」の応用編。
『チェンジ・ザ・ルール!』はIT投資(システム開発)、本作はプロマネ。
本作も面白かったが、対象が現場から離れてきている分、臨場感には欠けてしまう。奥様とのエピソードはもはや惰性のおまけ。『ザ・ゴール』の時には重要な役割があったけど、今回は何かを得るやり取りは何もない。 -
バッファをあとでもつ
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途中で読了
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ザ・ゴールシリーズの第四段。
このシリーズならではの小説の作りになっているビジネス書であり、非常に読みやすい。
議論は根気よくしないと良い回答が得られないことがよくわかる一冊でした。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA64224690