言葉の園のお菓子番 復活祭の卵 (だいわ文庫)

  • 大和書房
3.78
  • (9)
  • (27)
  • (18)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 306
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479320685

作品紹介・あらすじ

『活版印刷三日月堂』著者が心を込めて描く、癒しと再生の予感に満ちた感動の人気シリーズ、第4弾!『活版印刷三日月堂』などのヒットシリーズを手掛ける著者が、出会い、言葉、繋がること、喪失と再生、成熟をテーマに描く、「言葉の園のお菓子番」シリーズ4巻。亡き祖母が通っていた連句会・ひとつばたごに出合い、その縁から再び書店員としてブックカフェで働きはじめて一年弱。本と人を繋げるイベントの企画や連句大会への参加を通して、主人公・一葉は初めてのことや不安なことに向き合い、ゆっくりと、確実に、ひとつひとつを乗り越えていく。そんななか、連句会のメンバーから、主宰・航人の過去と関わるある人物の情報がもたらされ──。人と人が深くつながることが難しくなりつつある昨今、穏やかで深いつながりをもたらす「連句」という場を舞台に、職を失ったもと書店員の20代後半の女性主人公が、自分に何ができるのか、何がやりたいのかを問いながら、さまざまな人と出会い、その縁に導かれながら未来へ進んでいく姿が共感を呼び、勇気をもらえるストーリー。温かな読み味にほろりとさせる描写が溶け込んだ、優しく穏やで前向きな物語6話で構成された連作集。変化しながら前へ進み、後ろには戻らない連句のルールとシンクロするように、迷いながら進む道の先は新しい出来事や出会いへと繋がり、過去の痛みはいつしか豊かな可能性へと変わっていく。温かな共感と勇気が胸に満ちる感動の人気シリーズ、待望の最新巻!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • シリーズ第4弾。

    亡くなった祖母が書き残したお菓子のメモをもとに、祖母の代わりにお菓子を届けるつもりでひとつばたごにやってきて、なぜか連句を巻くことになり、気づけばそれからもう二年通い続けている一葉。

    連句とは…から始まり、読むたびに少しはわかり始めてきて、だけどシリーズ化するたびに一から学ぶことも多く、新たな発見もあり毎回違った感覚になる。

    短歌すらまともに作れないのに連句だともっと敷居が高くて、だれかの句に付けるというのも、雰囲気を壊さないだろうか、とか不自然にならないだろうか、とか考えてしまう。
    だが、さすがにこの物語を読んでいると楽しさも響き合ってるという感覚もあって、同じように参加者の一人となっているのが不思議である。
    言葉が連れ立ってやってくる…ということ。
    それこそが連句の醍醐味なんだろうなぁと感じた。

    今回は、「おもいで糸巻き堂」で、航人さんの別れた奥さんが小説を書いていたことに触れていたが、自分もこの小説の中に惹き込まれていくようで…これがとても印象深く残った。

    そこから続く「抜けない棘」も連句の大会のピリッとしたなかにもワクワク感やドキドキ感などが伝わってきて、そして静かに佇む2人…航人さんと森原さん(鹿島千草)の前へ進むであろう未来が見えたようでほっとした。


    毎回のお菓子も楽しめるひとつだが、今回はちょっと変わった「棗バター」に興味を感じた。
    ぜひ食べてみたいと思う。




  • シリーズ第4作。毎年この時期に新作が読めるのが嬉しい。1年離れていても、すっとその世界観に浸ることができる。大手書店の職を失い実家に戻ったのち、祖母の遺したメモがきっかけで連句会に参加することになった一葉。当初は初心者だったが、本作でもうすっかり慣れ、連句会の中でも確固たる居場所も出来上がっていた。上野桜木のブックカフェで働きつつ、関連イベントや、月次の連句会への参加、お菓子の調達など、連句を中心に充実した毎日を過ごしている様子がよく伝わってきた。本作では主人公一葉というより、連句会のとあるメンバーの過去についてが取り上げられていた。連句を通じたメンバーたちのゆるく心地よいつながり、お互いを思いやる雰囲気にも癒された。他の連句会も登場し、まだまだ話が続く終わり方だった。

  • 【収録作品】耳を動かす/母の形の影/ひとすじの道/おもいで糸巻き堂/抜けない棘/復活祭の卵

    一葉の勤めるブックカフェ「あずきブックス」で、久子を招いた短歌のイベントが行われる。
    一方、「ひとつばたご」のメンバーは、連句の大会に参加することになる。
    そんななか、航人の別れた妻が登場。

    彼女が書いたという「おもいで糸巻き堂」のシリーズを読んでみたくなった。

  • シリーズ4作目は、主人公が周囲の人たちの内面に触れることで紡がれるストーリー。故にぐっと連句の世界と繋がり、今まで以上に「皆で句を詠む」ことの良さが描かれていて、とてもとても良かった。

  • 趣味っていいな。
    同じことを好きな、色んな世代の人が集まって、お菓子を食べながら談笑したり…
    私も何か、そんなものを見つけれたらいいな。

  • 書店員が無職になり本棚整理。ふと祖母の本を開くと手紙が。祖母の通っていた連歌の集まりに、月ごとに指定されたお菓子を持って参加していく。書店で書いていたポップが評価され、人づてに依頼が入ってくる。連歌を紡ぐ中で、今はなき祖母と対話する物語。

    うーん連歌ルール難しかった
    みんなで集まってワイワイするのいいなと思った。

  • シリーズ第4巻。
    ひとりでは作れない、誰かと巻くからこそのおもしろさや気づきがある連句というものを通して、いろいろな事に出会う様子が描かれています。
    毎回登場するお菓子が楽しみで、描写の美味しそうなこと!
    あぁ、亥の子餠食べたい。

    サブタイトルの「復活祭の卵」はどういうことだろう?と思っていたのですが…
    読んでみると、あのひとが痛みや悲しみ、後悔はありつつも、前向きに進む、そんな未来を感じる巻でした。


  • 「耳を動かす」
    書き出すのは。
    形式としてはあっていたとしても、正解がないからこそ本当にいいのか分からなくなりそうだよな。

    「母の形の影」
    覚えることは。
    一連の流れとして覚えてしまえば簡単かもしれないが、学んでいる間は難しいことだらけだろうな。

    「ひとすじの道」
    選びとる句は。
    物語の全てを決めていくと考えると、選ぶべき言葉はどれなのか慎重になり過ぎてしまいそうだな。

    「おもいで糸巻き堂」
    書かれた世界。
    いくらフィクションだったとしても、非現実的な話でなければ何かしら経験したことから創るかもな。

    「抜けない棘」
    予想より多い。
    関わってこなかったから知らないだけで、少し視野を広げてみれば思っている以上に見つかるだろう。

    「復活祭の卵」
    菓子を切符に。
    メモを見つけて実際に訪れることがなければ、きっと一生このような言葉を紡ぐ事などしなかったろ。

  • 曲がりなりにも少し作っていた時期があったので、短歌の出来ない感覚を「耳を動かそうとする」と例えるのはすごくよく分かった。
    伝わらないだろうなと思っていた歌を驚くべき正確さで読み解く人がいて、その方も詠む事を続けておられた方だった。しばらく忘れていた感動を思い出したのでこういう読書会やってみたい。
    航人さんの「わからない人といっしょにいることについて考えるのが生きること」というセリフは刺さる。これが出来る人が心底優しい人。離婚があって身についたんだろうなぁ。登場人物が他人の過去について詳しくなっちゃうのは小説ならではだけども、盗み聞きはあかんですぞ一葉ちゃん。気持ちは分かるけどそこはそっとするのが嗜みよ(笑)
    ほしおさんの作品は未読の児童書を除いて全て好きだが、このシリーズはとりわけ癒やされる。カバー絵にイラスト絵が使われたものは普段はあまり好まないのだけど、このシリーズの表紙はとっても雰囲気が良くてすごく好き。和菓子屋さん巡りにも最適。無くした1巻買い直そう。お菓子番マップを完成させるのだ。

  • このシリーズは、物語の地の部分だけでなく、連句とお菓子も楽しめて好き。

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ほしおさなえの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×