世界の食卓から社会が見える

著者 :
  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479394020

感想・レビュー・書評

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  • 普段何となく聞き流していた世界のニュース
    政治的な事は苦手で、いまいちよく分からない
    宗教問題も難しい…
    そんな私の脳内が急に明るくなった
    あぁ、そういう事かと腑に落ちる
    そして、もっと知りたいと欲が出る
    私にとって、そんな一冊だった


    著者の岡根谷さんは、世界各地の家庭を訪れ、滞在させてもらいながら一緒に料理をし、料理から見える社会や暮らしを伝えているのだそう。

    だから様々な国の、飾らない“いつもの”食生活を伝えてくれていると思う。
    どの国の話も興味深いのだが、例えば…

    ※キューバ
    「食料配給制が残るオーガニック農業先進国」
    オーガニックと聞くと、健康や環境への意識の高さが伺えるが、物がない中で食料を生産するために発展した苦肉の策らしい。
    毎日の食料は、米・豆・油・砂糖などの配給と、品揃えの悪い市場を数件回って少し買い足す。
    本当に物がない国においてのオーガニック農業。
    そこにはキューバ革命と米ソが影響していた。
    化学肥料も農薬もトラクターを動かす燃料も入ってこない。
    仕方なく牛耕へと回帰したという訳だ。


    ※ブルガリア
    「ヨーグルトは本当に伝統食か?」
    ※メキシコ
    「アボカド人気が大地を渇かす」
    ※ボツワナ
    「牛肉大国でなぜ虫を食べるのか?」
    ※パレスチナ
    「国境よりも堅いオリーブの木と
     自家製オリーブ漬けの誇り」
        ───他全19話とコラムを収録

    政治、宗教、地球環境、食の創造性、食料生産、伝統食と課題、気候、民族と、料理を通して様々な事が見えるって面白い!

  • 著者の岡根谷実里さんは、世界各地を訪れ、滞在させてもらいながら一緒に料理をし、料理から見える社会や暮らしを伝える台所探検家である。

    世界のどこかの家庭料理ひとつで、地形から気温から育つもの採れるもので料理は変わってくるということを目の当たりにする。
    また、宗教的なものであったり、社会情勢、政治的にもそれぞれである。

    まるで世界の歴史と家庭科を学んでいるような気になった。
    とても興味深いと感じるものもある。
    そして、知らなかった…不思議だ…ということもある。
    勉強した感あり…だ。


    〜以下は一部を抜粋したもの〜

    ブルガリアではヨーグルトスープが普通にでてくる。
    「タラトール」というらしい。
    ブルガリアのヨーグルトは政治的に強化された人民食としての側面があるようだ。

    イスラエルの食べ合わせについては謎である。
    同じ料理に乳製品と肉を両方使ってはいけないという規定。

    中国の上海は、野菜用洗浄剤があって、残留農薬除去のために使うらしいが、とにかく野菜をゴシゴシと洗っているようだ。

    ボツワナではパニという大きな毛虫ようなものを捕獲して塩ゆでして食す。

    モルドバでは自家製ワインを水のように飲む。

    イスラム教においてもっとも大事な行事の一つが、ラマダンと呼ばれる断食月。




  • 世界の台所探検家・岡根谷実里「いつもの料理」から見いだすこと : 読売新聞
    https://www.yomiuri.co.jp/otekomachi/20230331-OYT8T50012/

    岡根谷実里 | 世界の台所探検家|note
    https://note.com/misatookaneya/

    世界の食卓から社会が見える - 株式会社 大和書房 生活実用書を中心に発行。
    https://www.daiwashobo.co.jp/book/b621780.html

  • 著者がラジオで話していたのを偶然聴いていて、面白そうだなと思い早速読んでみた。
    アボカド、ヨーグルト、生野菜、オリーブなどなど
    日本で呑気に住んでいる私にとって当たり前にスーパーやコンビニで見かけるあの食材やこの食材
    実は紐解いていくと、各国では地形や宗教はもちろん
    古い伝統から何から何まで全て繋がっているんだなと知った。
    もっと読みたいので、まだ未発表の記事があれば是非お願いしたい

  • 世界各地食卓を巡って、得た数々のこと。
    台所に、料理にある「なぜ」が、人々の暮らすその国の、
    地域の事情や現在抱えている様々なことを教えてくれる。
    ・この本に出てくる国・地域
    第1章 食と政治    第2章 食と宗教
    第3章 食と地球環境  第4章 食の創造性
    第5章 食料生産    第6章 伝統食と課題
    第7章 食と気候    第8章 食と民族
    コラム1~6、参考文献有り。

    世界の食卓を巡り、台所や料理からわかること。
    なぜ、その食材を使うのか?使わないのか?
    なぜ、その料理を食べるのか?食べないのか?
    国家の変遷が影響したブルガリアのヨーグルト。
    生物学的視点で合理的なユダヤ教のコーシャの食材と
    インドのジャイナ教の生命観。
    環境に左右されない、途上国の救世主な魚ティラピア。
    フィンランドの教育とレシピよりも「やりたい」で生む料理。
    モルドバの伝統なワインと健康問題。
    コロンビアの多様な気候帯と豊富な食材。
    オリーブの木へのパレスチナ人の想い。
    他にも、貿易の落とし穴、技能実習生、オーガニックの問題、
    昆虫食、化学肥料と農薬、廃棄にゴミ、難民と食文化など、
    多くのグラフや図表を駆使して、様々な「なぜ」を解き明かす。
    コラムにも、機内食の特別食や世界のサバ缶など、
    興味惹かれる知識や情報があり、食から多くのことを
    知ることが出来ました。食で得られる知識の幅広さに感服です。
    また、日本の卵については現在、鳥インフルエンザの感染や
    輸入飼料の高騰で、値上がりが捉えられたことを考えると、
    複雑な心境になります。

  • 非常に良かった。
    ご飯の話かな、と思っていたら、世界の食と絡めて食や世界レベルの問題と繋がり、各章ともに興味深く読めた。
    メキシコのアボカド、ヨルダンのシリア難民の話が特に印象的。
    軒並みご飯が美味しそうな描写なのも良かった。旅行にも行きたくなる本だった。

  • 旅の本

  • 著者さんが書かれているように、社会科の教科書としても読める本です

    食事や料理を通してその地域の特性、政治、歴史を知ることがこんなにもできるものなのかと思えます

    また、紹介される料理はどれも素朴で食べたこともないけれどなんだか身近に感じられるものばかりです

    こういう視点から社会を見つめると、興味、関心の範囲が広がると思います

    何せ、食事は生きるために必ず必要なものですから

  • 世界の食に興味があり、旅行に行くときの候補にしたいと手に取ったが、予想外にとても勉強になった。

    地理、歴史、経済情勢と、食をメインに据えて語られると、ストンと頭に入る。今更だが、こんな勉強方法もありかもだ。

    最近、日本でも高くなったアボカド事情を知った今、購入、食べ方が明らかに変わる。虫食や養殖魚、他人ごと、別世界のこととはとらえず、食糧事情をもっと真剣に考えなくてはいけないと危機感募る。

  • 絵本『世界の市場』『世界の国からいただきます!』を読んで知った台所探検家・岡根谷実里さんの著書。
    様々な国々の料理の背景を探っていくと、政治、宗教、環境、教育、気候、民族などが見えてくる。

    こんなにも食からその国々の事情について知ることが出来ることに驚き、社会問題についても考えさせられた。著者の言う「世界一おいしい社会科の教科書」を作りたいという想いが伝わる一冊。

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著者プロフィール

世界の台所探検家。1989年、長野県生まれ。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後、クックパッド勤務を経て独立。世界各地の家庭で一緒に料理し、出張授業などで暮らしや社会の様子を発信。著書に『世界の台所探検』(青幻舎)、訳書に『世界の市場』(河出書房新社)がある。

「2023年 『世界の国からいただきます!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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