わたしの絵本体験

著者 :
  • 大和書房
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本棚登録 : 16
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479750161

作品紹介・あらすじ

絵本、それは愛の体験です。もっとも若い世代(絵本を与えられた側)から発する本格的書き下し絵本論。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後の絵本編集者第2世代の著。第1世代の思想を踏まえながらも、制作・編集については、別の観点(アジアの原色色彩の固有性や昔話の絵本化肯定論など)もあったことを示している。

    絵本至上主義でなく、その読み聞き体験を重視する立場で、アイヌの口承文学への傾倒が見られる。

    ・幼いころ心から感動した絵本は、年月が経つほどにますます豊かで美しく心の中に広がって、雄大なイメージを結晶させていく。
    ・「面白かった?」「どこが?」はがっかり質問。
    ・絵本を子どもに選ばせるのは酷。分からない書棚から一冊のお気に入りを選べと言っているようなもの。
    ・読んでもらうことと自分で読むと言うことは、全く別の体験。
    ・(意味が分からないはずの赤ちゃんへの言葉がけを通して)言葉というものが、意味を伝達する手段であるという定義そのものを疑ってみる必要がある。
    ・昔話に現れる不思議な畏ろしさは、ただ子どもを恐怖させるような底の浅いものではない。真実の力が持つような意味深い畏ろしさがある。
    ・悩みや悲しみに対して、子どもが何より求めているのは、大人の共感。死を恐れるあまり父母のもとへ行ったのは死なない薬が欲しかったのではなく、共感が欲しかった。そうすれば、その子は孤独から救われる。
    ・人間、特に子どもの心や内的イメージの成長は、絵本の絵の印象によって固定化されてしまうほど弱いものではない。むしろ良い絵のイメージの影響は多ければ多いほどよい。
    ・昔話は、抽象的、様式的であるがゆえに、具体的、個性的に表すことができる。昔話に出没する魑魅魍魎は、現実社会の中で生きている。昔話は、本質的に現実から離反するがゆえに現実に密着する。

  • 絵本とは、愛の体験。そのことを自らの体験とともに現代の子育てにこそ絵本が必要だと確信できた一冊

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著者プロフィール

まつい とも
ミンダナオ子ども図書館館長。
1953年、東京生まれ。1979年上智大学大学院独文修士課程修了。
ザルツブルク大学留学。福武書店(現ベネッセ)の児童図書
編集長を経て北海道へ移住。1998年フィリピン・ミンダナオ島
に渡り、2002年「ミンダナオ子ども図書館(MCL)」設立、
翌年、現地NGO法人とする。
フィリピン・ミンダナオのイスラム戦闘地域近くで、100人近く
の子どもたちと共に暮らす。2012年、現地マノボ族の洗礼を受け
酋長となる。(洗礼名アオコイ・マオンガゴンは、「心から
人を助ける我らの友」の意味)。
父は、福音館書店・初代編集長の松居直氏。
著書は『わたしの絵本体験』(教文館)、
『ふたりだけのキャンプ』(童心社)、『おひさまのくにへ』
(BL出版)、『サンパギータのくびかざり』(今人舎)ほか
多数。フェイスブック:松居友
●サイト検索:「ミンダナオ子ども図書館だより」
http://www.edit.ne.jp/~mindanao/mindanews.htm

「2016年 『手をつなごうよ フィリピン・ミンダナオ子ども図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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