- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479750161
作品紹介・あらすじ
絵本、それは愛の体験です。もっとも若い世代(絵本を与えられた側)から発する本格的書き下し絵本論。
感想・レビュー・書評
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戦後の絵本編集者第2世代の著。第1世代の思想を踏まえながらも、制作・編集については、別の観点(アジアの原色色彩の固有性や昔話の絵本化肯定論など)もあったことを示している。
絵本至上主義でなく、その読み聞き体験を重視する立場で、アイヌの口承文学への傾倒が見られる。
・幼いころ心から感動した絵本は、年月が経つほどにますます豊かで美しく心の中に広がって、雄大なイメージを結晶させていく。
・「面白かった?」「どこが?」はがっかり質問。
・絵本を子どもに選ばせるのは酷。分からない書棚から一冊のお気に入りを選べと言っているようなもの。
・読んでもらうことと自分で読むと言うことは、全く別の体験。
・(意味が分からないはずの赤ちゃんへの言葉がけを通して)言葉というものが、意味を伝達する手段であるという定義そのものを疑ってみる必要がある。
・昔話に現れる不思議な畏ろしさは、ただ子どもを恐怖させるような底の浅いものではない。真実の力が持つような意味深い畏ろしさがある。
・悩みや悲しみに対して、子どもが何より求めているのは、大人の共感。死を恐れるあまり父母のもとへ行ったのは死なない薬が欲しかったのではなく、共感が欲しかった。そうすれば、その子は孤独から救われる。
・人間、特に子どもの心や内的イメージの成長は、絵本の絵の印象によって固定化されてしまうほど弱いものではない。むしろ良い絵のイメージの影響は多ければ多いほどよい。
・昔話は、抽象的、様式的であるがゆえに、具体的、個性的に表すことができる。昔話に出没する魑魅魍魎は、現実社会の中で生きている。昔話は、本質的に現実から離反するがゆえに現実に密着する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
絵本とは、愛の体験。そのことを自らの体験とともに現代の子育てにこそ絵本が必要だと確信できた一冊