14歳からの資本主義~君たちが大人になるころの未来を変えるために

著者 :
  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479796749

作品紹介・あらすじ

グローバル化、AI、GAFA、格差拡大……
「資本主義は、どうなる?」

スティグリッツ、ガブリエル、
セドラチェク、コーエンなど、
世界の「知性」たちの言葉とともに、
現代社会を理解する1冊!

ジョセフ・スティグリッツ
「いま問題なのは世界中で『モノが欲しい』
という気持ちが不足していることだ。
そのせいで、世界経済が減速している」

トーマス・セドラチェク
「『成長』を前提にした資本主義は、もう限界だ! 」

マルクス・ガブリエル
「(日本には)秩序の中にある瞑想に近いような静けさと、
ものすごくクレイジーな混沌とが、興味深く混在している」

ダニエル・コーエン
「新しいテクノロジーは上位10%にだけ恩恵を与え、
残りの90%を圧迫してきた」

―――――――――――――――――――――――――――
「数字の物語」はいつも「増えること」を望まれ続けます。
そこに現代資本主義の、
避けられない大きな特徴があると思います。

本書は、大きな曲がり角にある資本主義について、
いまわかっておいてほしいこと、
一緒に考え始めてほしいことを、
語りかけるような気持ちでまとめました。(本文より)
―――――――――――――――――――――――――――

[本書の概要]
第1章 いま僕たちはどんな世界に生きている?
――やめられない、とまらない資本主義
第2章 「グローバル化」が進んだ世界
――「成長」しなけりゃ資本主義じゃない?
第3章 「共感」が商品になる時代のワナ
――精神を奪い合う時代の資本主義とは
第4章 「テクノロジー」が格差を生む
――創造的であれ。さもなければ死だ
第5章 「世界標準」を握った者が独り占めする?
――GAFAは「現代の神」か?
第6章 資本主義が、壊れる?
――“闇の力

感想・レビュー・書評

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  • 14歳からと題名にあるように、分かりやすい文章だけど、本当に14歳が理解出来るのだろうか?

    大人にはとてもわかりやすく、現在の資本主義の状況を表してくれていて、とてもエキサイティング。

    基本的にはTV番組の欲望の資本主義の内容なんだけど、TVよりもこの本の方が分かりやすくまとめられてる所が凄い。

    以下、本文から

    ____

    経済学は長いこと、一般的に「希少な資源の最適な配分を科学的に分析する学問」という定義を掲げてきました。しかし、その定義そのものも時代とともに更新し、考え続けなくてはならないのだと思います。
    そして、いま、僕たちの住む、複雑な世界のことを考えれば考えるほど、その複雑さを視野に入れながら、経済という枠組みだけではない考え方を生み出していく努力をしなければならない、大事な段階にあるのです。
    資本主義、経済という現象が複雑なだけでなく、人々の欲望、感情、考え方もより複雑になってきています。

  • 「資本主義は完全に過渡期を迎えている」
    この状況を理解している人が、一体どれぐらいいるだろうか。
    普通に会社で働いていても、資本主義を意識することは少ないだろう。
    もちろん経済活動が資本主義前提のシステムだから、決算数字などを見れば意識することもあるだろう。
    マクロな視点でみれば気が付くが、普段の生活の中でのミクロレベルでは意識のしようがない。
    それを敢えて「14歳にもなれば意識しろ」と説く。
    なぜなら、これからの社会は大きな変革を迫られているから。
    社会がテクノロジーの変化によって変わっていくのは理解できるし、予測ができる。
    ただし、資本主義に代わる「◎◎主義」は未だに誰も見いだせていない。
    それも、今現在でも資本主義の問題点が指摘されているというのに。
    これが、これからの社会がどう変化していくのが読めない点なのだ。
    貨幣経済は数千年の歴史があるし、そのお金を貸し付けて利息を得るということも昔から行われていた。
    しかしそれが「経済発展」という歯車が回りだしたのは、産業革命と資本家というものが生まれてからだ。
    どうすれば「富」を得ることができるか。
    何もないところから、大きな価値を生むにはどうするか。
    この仕組みを作り出したのが、まさに「資本主義」なのだ。
    未来に生み出されるであろうイチの価値に対して、先んじて今のゼロに資本を回す。(投資する)
    単なる利息でなく、富が重ねて富を生む「複利」を基本に考える。
    こういう発想の転換はすごいと思う。
    しかしそれだけだといつか破綻することを経済学者たちは見抜いていて、社会主義などの他の方法を模索した。
    それなのに、社会主義が先に破綻し、資本主義は今でも様々な問題を抱えて過渡期を迎えたまま進行中だ。
    代替え案がいまだに見いだせないという状況。
    今の14歳はこういう社会を生き抜いていかなくてはいけない。
    番組が反響を呼ぶのは当然だ。
    大人がきちんと子供たちに教えなければいけない。
    (2019/8/2)

  • 『感想』
    〇これ難しい。著者の答えが明確に書かれているようにも思えず、読み方によって解釈が変わるようにも感じる。

    〇資本主義について語っている内容が経済学の基礎論ではなく、今の時代に合わせた生きた資本主義を語っているのだろうか。

    〇自分のレベルが低いんだろうなあ。また自分が求めていない方向の話なんだろうなあ。

    〇14歳でこの本に興味を持てる人は、将来学者や政治家になれるんじゃないか。

  • 子供向けなので読みやすい。大人も読む方が良い。
    近年評価がかわりつつある資本主義の捉え方のヒントとなる本。

  • (何を学べるか)
    ・資本主義やGAFAなどの用語
    ・資本主義の本質
    ・今後、社会をどうみるか・物事をどのように捉えるかの考え方や視点

    (まとめ)
    ①資本主義だけが全てではないというな白黒つけない視点を持とう
    ②目先の数値・利益だけに飛びつかず、本質を思い出して正しい行動を取ろう
    ③最終的に、自分自身を見つめる力を高める禅の心が大切

    (感想)
    ・資本主義のこれからとその在り方学べた
    ・白黒つけないで行こうって考えをすごい推してる

  • 「資本主義バンザイ!」という内容ではなく、わりと資本主義の現在の問題点、今後の課題といったところをクローズアップするような内容。

    14歳の時にこれを読んだとして、当時の僕に理解できたとは思えないけど、もし読んだとしたら、ちょっとだけ社会への視線が変わってたとは思う。

    最近、こういう本を読んでて思うのは、民主主義と資本主義のタッグというのは、嫌でも誰かと自分を比較してしまう側面があるということ。これにSNSとかが加わることで、その比較をさらに加速させてくるから、どうにも疲れる。

    共産主義や独裁主義って、この比較を無意味化する側面もる。競争に疲れると、安定を望むようになる。なので、ベーシックインカムみたいのが注目される。(ベーシックインカムのの理想には共感するけど、現実的な社会制度としては難しいと思う)。

    それでも、現代社会というのは資本主義なしで成立しないのも事実。なので、そのルールの中で快適に生きる道を探すしかないかな。

    この本の中で、印象に残ったのは「”金さえあれば”も市場の長所。誰も排除されることのない世界」というフレーズ。

    信用や人間関係といった感情に縛られず、ただ金というルールだけで取引される市場という世界はフェア(もっとも、金そのものがその価値に対する信用で成立してる矛盾もあるけど)。あらかじめ提示された同じルールの中で戦うことが、資本主義の理想かな。と思う。

    こういう本も読んでみると面白い。

  • 14歳からのと付いているが、内容は本格的。
    ケインズ、マルクス、アダム・スミス、シュンペーターなどの歴史的な大物経済学者の論を分かりやすく噛み砕いてストーリー化し、現代のGAFAが作り出すテクノロジーの進化による資本主義の今に付いて、『なぜ世界は存在しないのか』のマルクス・ガブリエル、チェコの24歳で大統領の経済アドバイザーになったトーマス・セドラチェク、フランスのダニエル・コーエン、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツなどの旬な学者達が今考えていて発信された情報を差し込みながらストーリーは展開される。

    この本では、最近の世界の若手論客のキャラクターの話が織り交ぜてある所が良いところであり、彼らの出自の背景の違いも踏まえて、自分はどう思うかを考えてみる所が面白い所だと思う。

    個人的には、「テクノロジーが格差を生む」で、デジタル技術は成長を生まない? という未だ明確な答えの出ていない設問が気になっていて、丁度、自分の置かれている立場として考えても特にこの2、3年でITやAIの急速なコモディティ化が成長(儲かる)にブレーキかけている様に感じていた所だったのと、資本主義の経済格差は、もっと進みそうだなとか、少し先の未来はどうなるだろう?と考えてしまった。

    この本は、答えが書かれていて読んで終わりではなくて、過去から現在、特に世界最先端の論客達の思考を知りながら自分で考えるための本という点で、より若い人への刺激になるのでは無いかと思いながらも、読むのはおじさん世代ですかね。



  • 資本主義という仕組みを分かりやすく、しかし、ただ解説するなどというように要約しているのではなく、現代の複雑化した社会における資本主義というものの問題点、そして、それとどう向き合っていくのかのヒントがちりばめてあり、考えさせられる良書であった。カメのように生きる

  • 経済成長やグローバル化、ITテクノロジーの発展について分かりやすくその批判的なアイデアがまとめられている本
    現代の知識人たちの言葉を引用することで示唆的な内容にもなっている
    気になるのは立ち止まって考えてみようというメッセージ性が強いので考えながらも前に進んでいくことの必要性が伝わるのかどうか

  • 内容はすごく当たり前のことが書いてあるのに、自分は14歳にこんなふうに説明できるだろうか…。
    経済や資本主義について、これだ!って答えが出せるなら人類みな苦労してないわってことは痛いほどわかった。

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著者プロフィール

丸山 俊一(マルヤマ シュンイチ)
NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー
1962年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。「欲望の資本主義」「欲望の時代の哲学」などの「欲望」シリーズをはじめ「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」「人間ってナンだ?超AI入門」「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」「地球タクシー」他、異色の教養番組を企画・制作。
著書『14歳からの資本主義』『14歳からの個人主義』『結論は出さなくていい』他。制作班などとの共著に『欲望の資本主義』『欲望の資本主義2~5』『岩井克人「欲望の貨幣論」を語る』『欲望の民主主義』『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ』『マルクス・ガブリエル 危機の時代を語る』『マルクス・ガブリエル 新時代に生きる「道徳哲学」』『AI以後』『世界サブカルチャー史 欲望の系譜 アメリカ70~90s「超大国」の憂鬱』他。東京藝術大学客員教授を兼務。

「2022年 『脱成長と欲望の資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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