神話と神話学 (古代文化叢書)

著者 :
  • 大和書房
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 16
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479840268

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本神話を中心に、世界各地の神話の関連について考察をおこなってきた著者の論文などを収録している本です。

    本書は二部構成になっており、第一部「世界の神話」では、神話についてのこれまでの研究を概観し、著者自身の神話研究のスタンスが提示されています。第二部「日本の神話」は、『古事記』および『日本書紀』の神話を中心にとりあげ、世界のさまざまな地域の神話とのつながりを明らかにするとともに、そのことを民族および文化の歴史全体との関連のもとで理解することが試みられています。

    著者はまず、文明の進歩をものさしとして神話を解釈する立場や、人間の心理の同一性を前提として各地の神話の発生を理解する立場、さらに神話と儀礼のつながりを重視する立場などがしだいに勢力をうしない、著者自身の採用する民族学的な視点からの神話研究が注目されるようになった経緯を説明して、みずからの立場の正当性を示そうとしています。そのうえで、日本神話と周辺地域のさまざまな神話の類似性に着目して、民族および文化のつながりや影響関係などにも目を向けながら、日本神話の成立をめぐる問題についての考察が展開されています。

    論文集であるため、かならずしも一貫した問題意識にもとづいて本書全体の議論が組み立てられているわけではありませんが、著者自身の神話研究のスタンスが比較的わかりやすく語られているように感じました。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1929-2001年。東京生まれ。1952年東京大学経済学部卒業。1955-59年フランクフルト大学、ウィーン大学、ハーヴァード大学にて民族学を学ぶ。ウィーン大学にてDr.phil.を取得。東京大学教授、東京女子大学教授、日本民族学会会長、北海道立北方民族博物館館長等を歴任。毎日出版文化賞、朝日賞、福岡アジア文化賞受賞。著書に『東南アジア大陸諸民族の親族組織』『日本神話の起源』『稲作の神話』『葬制の起源』『日本神話の構造』『邪馬台国』『東と西 海と山』『銀河の道 虹の架け橋』など。他にも多くの著訳書がある。

「2019年 『神話学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大林太良の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×