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- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479840268
感想・レビュー・書評
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日本神話を中心に、世界各地の神話の関連について考察をおこなってきた著者の論文などを収録している本です。
本書は二部構成になっており、第一部「世界の神話」では、神話についてのこれまでの研究を概観し、著者自身の神話研究のスタンスが提示されています。第二部「日本の神話」は、『古事記』および『日本書紀』の神話を中心にとりあげ、世界のさまざまな地域の神話とのつながりを明らかにするとともに、そのことを民族および文化の歴史全体との関連のもとで理解することが試みられています。
著者はまず、文明の進歩をものさしとして神話を解釈する立場や、人間の心理の同一性を前提として各地の神話の発生を理解する立場、さらに神話と儀礼のつながりを重視する立場などがしだいに勢力をうしない、著者自身の採用する民族学的な視点からの神話研究が注目されるようになった経緯を説明して、みずからの立場の正当性を示そうとしています。そのうえで、日本神話と周辺地域のさまざまな神話の類似性に着目して、民族および文化のつながりや影響関係などにも目を向けながら、日本神話の成立をめぐる問題についての考察が展開されています。
論文集であるため、かならずしも一貫した問題意識にもとづいて本書全体の議論が組み立てられているわけではありませんが、著者自身の神話研究のスタンスが比較的わかりやすく語られているように感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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