- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480015105
作品紹介・あらすじ
日本人は宗教心がないとよく言われる。だが、私たちの心の底流には古来、アジア的な生産生活の秩序に根ざした、この上なく純粋で普遍的な信仰心が脈々と息づいている-。この土地に生きた人々の静かな祈りに満ちた「信仰のくらし」とはいかなるものか。保田與重郎、本居宣長、柳田國男らの思想や、列島の文化・民俗をめぐる考察を通じ、"大和心"の古層をどこまでも深く掘りおこす。
感想・レビュー・書評
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ずっと積読だった本を、日本人の原点について考えていてあらためて手に取り、読んで深く心を揺さぶられ、かつ、驚嘆した。
日本人には宗教あるいは信仰心と呼べるものが希薄、というイメージが浸透しているが、著者はそうではないと言う。
日本人にも信仰はある、などという軽々しいことを主張しているのではない。
日本人の宗教には経典という形でまとめられた教義がないために宗教の存在が疑問視されるが、ことは逆さまである。日本人の信仰はその立ち居振る舞い、行動、とりわけ祭りという営みの中に端的に表現されているのだという。
そして祭りの根源は、年祈祭であり、新嘗祭であり、とどのつまりは稲作民が神に祈り感謝し、神とともに稲の収穫を祝うという生活そのものである。
このような米づくりそのものの中に生き生きと生きている信仰は、一神教のような闘争や競争、ひいては殺戮など起こしようがない。
すなわち最も根本的なレベルでの平和の原理なのである。
人が人を貪り食うカニバル(共喰い)資本主義がはびこる現代、人類の未来へのひとすじの希望がここにしたためられている。
そしてこの本から教えられたことで、個人的に極めて大きかったのは、それまで読んだこともなかった保田與重郎という強靭な文人・思想家の存在である。
これから少し保田を読まねばならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示