中国共産党、その百年 (筑摩選書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480017338

作品紹介・あらすじ

創立百周年を迎える中国共産党。いかにして超巨大政権党となったのか、この組織の中核的属性はどのように形作られたのか、多角的に浮き彫りにした最良の通史!

感想・レビュー・書評

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  • 中国共産党史研究の第一人者による100年史。

    100年史といっても教科書的ではなく、人民共和国誕生までの叙述や毛沢東のとその周辺の人物描写に力点が置かれている。これは、政権獲得までに形成された毛沢東中心の体制が、その後の党や国家運営に大きな影響を及ぼしていると筆者が考えているため(中国共産党が史料公開を進めていないという事情もある)。随所に挟まれるエピソードも面白く、かつ中国共産党を理解する上で効果的。

  • 中国の モノの見方 考えかた よく分かった

  • むちゃくちゃ面白くて勉強になった。

    陳独秀がトップの頃の超初期の共産党のおさらいからモスクワとの距離感の変遷、
    初期は「革新的な価値観を提案してくれるもの」として新派の若者たちからみられていたこと、
    遵义会议で毛沢東の指導的立場が確立したこと、
    共産党が国民党に勝てた理由は徹底した上位下達型の組織の強さ(蒋介石もそう認めてる)、
    抗日戦争と対国民党との戦いの三つ巴感と抗日戦争が人民共和国成立に果たした歴史的役割、
    共産党が組織として国民党よりずっと強かった理由
    反右派闘争、大躍進運動、天安門事件それぞれの中身のおさらいと当時の指導者のメンタリティ(前2つは毛沢東の権力維持バランス調整のため、最後は共産党の統治に綻びが出ることで社会主義体勢が揺らぐことへの恐怖感)、
    天安門事件がもたらした社会の混乱によって、農村では計画経済が事実上放棄され闇市場が形成されるなどして、実はその後の改革開放の種を蒔いていたこと、
    「プロレタリアートの階級独裁政党」→「愛国者の党」への党の質的変化(2001年にプロレタリアート以外も入党資格ありと明文化&自らの歴史的役割を「中国の屈辱的な外交の歴史を終わらせた」ことだと強調)、

    などなど学ぶことが大量にあった。しかも面白くて読みやすい。まじで面白かった。

    P356「このような姿勢から導き出されるであろう中国の答えは、「もうたくさんだ、今後はこちらは こちらのやり方でやらせてもらう」というものである。かりにアヘン戦争以来の西洋文明スタン ダードへの異議申し立てにこだわり、それとは別のスタンダードをたちあげ、世界にアピールし ようとするならば、それはそれで長い歴史と伝統を誇る中国の、あるいは東洋の文明の復権へと つながるかもしれない。
    望むらくは、そのさいに、世界二位となったおのれのパワーの使い方を 誤らぬことを。そう、まさに今から百年ほど前、「文明」の西洋列強に伍すべく富国強兵につと めながら、それに成功するや一転して脅威として排斥・警戒された国があったではないか。西洋 文明への屈折した反発をエネルギーに変え、西洋近代の超克を唱えたその国が、やがて何をし、 最後にはどうなったか、中国は十分すぎるほど知っているはずである。」

    おわりにのこの部分、涙が出そうなくらい同意する。望むらくは。

    あと、鄧小平はなぜ自らは最高権力者にならなかったのかとても不思議に思った。

  • 中国共産党の結党から今日までの歴史がわかりやすく書かれている。文化大革命がなぜ起きたのか、そのような事件を起こした毛沢東とは一体どんな人物だったのかがよくわかった。天安門事件の顛末を書いたくだりも興味深かった。

  • 毛沢東末期の硬直化した意思決定システムは権威主義体制において権力移行がいかに難しい問題であるかを示している。1982年に発行停止された毛沢東選集5巻を読んでみたい。

  • ふむ

  • 解説書的に事実を列挙しているのでなく、物語のようにその時々の空気感を感じさせてくれるのが読んでて面白い。難解ではないが情報量が多く読見終わるのに時間がかかったが、いろいろ考えてさせること、気づきを与えてくれること多かった。
    「私たちに一体どうすればいいのか?」の件は全くその通りと思われ。
    22年2月にロシアがウクライナを侵攻した。世界の多数の国がロシアを非難する一方、中国はロシアをかばうような行動をとり西側諸国から不信感を得ている。どのような考え、戦略から中国がそのような行動をとっているのか著者に解説してもらいたい。

  • 東2法経図・6F開架:315.2A/I76c//K

  • 共産党が如何にして生まれたかを歴史を通じて学べる。初期の共産党の生い立ちを理解したいと思うので有れば、非常に良い本なのではと感じた。

  • 315-I
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著者プロフィール

1963年生まれ。京都大学大学院文学研究科史学科修士課程修了後、京都大学人文科学研究所助手、神戸大学文学部助教授を経て、現在、京都大学人文科学研究所教授。京都大学博士(文学)。中国近現代史を専攻。著書に『中国共産党成立史』(岩波書店)、『革命とナショナリズム:1925-1945(シリーズ中国近現代史 3)』(岩波新書)、『赤い星は如何にして昇ったか』(臨川書店)、編著に『中国社会主義文化の研究』(京都大学人文科学研究所)、共訳書に『梁啓超文集』(岩波文庫)などがある。

「2021年 『中国共産党、その百年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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