泥の河・蛍川・道頓堀川: 川三部作 (ちくま文庫 み 3-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 449
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480020338

作品紹介・あらすじ

よどんだ水に浮ぶ舟べりから少年は何を見たのか?幼い眼でとらえた人の世のはかなさを描く、処女作「泥の河」。北陸・富山に舞う幾万の螢を背景に、出会い、別れ、そして愛を濃密な情感と哀切な叙情にこめてとらえた「螢川」。ネオン彩る都会の一隅にくりひろげる父と子の愛憎劇を軸に、男たち女たちの人情の機微をからめた「道頓堀川」。川を背景に独自の抒情を創出した宮本文学の原点三部作。

感想・レビュー・書評

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  • まじで名作。貧しい子どもにこの本あげたい。

  • 流転の海と内容がかぶるシーンもあるけれど、それだけ著者の実体験が反映されている事の証かと思う。
    モノトーンの背景のなかで、登場人物の人生が揺れ動く様は惹かれる。

  • 泥の河が良かった。映像で見たいと思った。

  • 文句なく素晴らしい純文学のお手本のような作品。
    皮肉じゃなくって、本心からね。

    人の生活があり、隣には死があり、様々に揺れる感情があり、それが本当に自然に美しく一つの作品としてまとまっている。

    こういう作品はぜひ若い世代の人たちに読んでもらいたいなあ。
    美しく、哀しい文学の世界の王道を感性の若いうちに味わってもらえると大変よろしいと思われますことよ。
    何事も基本があって応用がある。型があるから型破りがある。

    中学、高校の国語の教科書にはもう載っているんだっけ?

  • こういうの読むと日本語が理解出来るってもの凄く素敵な事だって思いますわ。

  • 宮本輝の文章はとても美しい。
    日本の土臭さや、微妙な描写が、これほど言葉で伝わるのかと思う。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/60560

  • ずっと買ってあって置いてあった本。なぜか手元にあり、一度読みかけて勢いがつかなくてやめたのが、寝る前の本にと読む。読んでいくとゆるやかに川の流れがあって、昔教科書や国語の試験で読んだ物語文を思い出した。

    寝る前に読むにはつい読んでしまうけどほどほどの長さの話だったので読みやすかった。
    解説まで読んで、父3部作という感じを受けた。大阪に住んでいるので言葉遣いや場所が出てきて親しみがあった。

    青年の目覚めのような作品はまたそれか、と思うような感じがあるが、初期の作品ということでそれならそうか、とも納得する。だんだん主人公の青年が年が上がっていくので成長するように読めた。解説で何回も書き直したり、ヒントを得るために別の作品を書いたりしたとあってなるほどと思う。

    宮本輝さんというと、何かのテレビかで自分の書いた本を発作的になってビリビリに破いたことがある、と言ってたのを思い出す。何度もそのことがちらつく。一度でも納得できた作品が世に出せてよかったと思う。

  • 三部作とも その時代や背景をとても感じる作品。特に,螢川は わかりにくかった。短い話なのに、なんだか入ってこなくて、理解不十分な自分が情けなかった。泥の河のせつなさ、道頓堀川の父子の情。この時代だから描ける情景が、心にしみる。

  • 「泥の河」
    戦後の日本。昭和30年代の大阪。病人の主人公のために父親は空気の良い新潟に静養のため引越しをするという話。続きをまた読みたいなと思わせる話ですね。

    「螢川」
    終盤の蛍の光景は素晴らしいものであろう。
    結局は、大阪に行ったのだろうか?とその後を想像させられる。

    「道頓堀川」
    長編でしたが読み進めていくと面白くなる。
    大阪の戦後の闇市があるようなドヤ街〜昭和30年代頃のお話。
    主人公の武内がビリヤードでプロ級の腕前をもつ。今は、喫茶店の店主をしている。妻と店をやっていたが、ビリヤードのすれすれの生活にのめり込むと妻と息子の政夫は家から居なくなる。いろいろあって戻っては来るが妻は亡くなってしまう。
    その事があったことを抱えつつもそれでも生きている。また、同じ血筋は争えないようで、政夫もビリヤードに目覚めてプロを目指すという。
    親子の真剣勝負が始まろうとしている。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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