中世の星の下で (ちくま文庫 あ 4-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480020970

感想・レビュー・書評

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  • 中世ヨーロッパの庶民たちの生活を示す細部の文化的事象に注目した、歴史についてのエッセイを収録しています。

    著者は、日本史の網野善彦とならんで、社会史的な観点からヨーロッパ中世の研究をリードしてきました。本書でも、『ティル・オイレンシュピーゲルの退屈しのぎの話』などを題材に、被差別者を取り巻く社会的環境についての考察をおこない、当時の人びとの社会的な意識と制度のありかたにせまっています。

    とくに興味深く読んだのは第三部に収められている文章で、ヨーロッパの草の根的なアソシエーションが現在の社会や学問のありかたにどのように結ぶついているのかということを考察し、日本社会のありかたに対して控えめな問題提起がなされています。これらの議論は、その後に展開されることになる著者の「世間」論や「教養」論につながる内容となっており、なぜ著者がそれらのテーマに取り組むようになったのかということを理解することができました。

  • 1986年刊(初出1975~82年)。
    著者は一橋大学教授。

     西欧中世史の泰斗による西欧中世・近世の、社会史・経済史などに関連するエッセイを集積した書。

     西欧中世、就中、中世ドイツの都市を中核に据え、社会・経済・生活面の解説をする。
     兄弟団といった当時の都市の構成要素も踏まえ風呂・星・狼・橋など、現実に存在したものの史的意味を解読していくのは練達のそれ。
     一つ一つは短い論考で、するする読める。

     一方、第三部は大学での学問を基軸とする、人間の営為としての学問・研究に関する論考を展開。
     日本の大学への批判にも通ずる面もある論考だ。

  • 現在読書中。中世ヨーロッパの文化。「特に貴人でない場合は、殺された者の死体は埋められ、その上に石の山が築かれる。石の山はこうして殺害された者の墓所であり、その前を通り過ぎる者は石をひとつ投げてゆかなければならない。」

  • めちゃめちゃ有名な本。西洋史に関心がなくても、読むべき本でしょう。

  • この本を読んでいた当時、著者はまだ生きていた。はぁ・・・。
    この人はかなり有名な人だけど、本を呼んだのは初めてだ。かなり興味をそそる文章だった。中世人のこまごまとした生活風景を描き出したこの人の本はかなりいい本であるが、最後の第三章はいただけない。この本と関係がないわけではなけれど、この章をつけたのは失敗だと思う。学会や学問に付いて問うて見るのはいいけれども、あんたの不満を聞くためにこの本を買ったのではない。

  • ヨーロッパ、特にドイツを中心とした中世史を面白く語らせたら、この人の右に出る者はいない。
    「星」「人狼」「石」「犬殺し」……日常生活を取り巻いていた様々な事物と、当時の人々の関わり方を学べる好書。

  • 読んでいてためになり、しかも面白い。ヨーロッパ中世史を独特の切り口で語っておられます。

  • 図版を見ているだけでウットリ…って本は読んでないってこと!?いや拾い読みしてるだけでも面白いですよ。

  • 何度読んでも飽きません。歴史の表舞台には出てこない普通の人々のことが、丁寧に資料を調査して描かれています。比較的短い文章(エッセイ、でしょうか)がいくつも入っているので、中世史を扱っているものとしては読みやすい部類に入ると思います。値段も、素人には手の出ない値段でもないです。

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著者プロフィール

1935年生まれ。共立女子大学学長。専攻は西洋中世史。著書に『阿部謹也著作集』(筑摩書房)、『学問と「世間」』『ヨーロッパを見る視角』(ともに岩波書店)、『「世間」とは何か』『「教養」とは何か』(講談社)。

「2002年 『世間学への招待』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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