太宰治全集 10 (ちくま文庫 た 12-10)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480022608

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  • 太宰治全集の最終巻で、太宰治の名前で発表されたあらゆる随想が収録されている。

    年代順に並べられているため、一人の作家がいかにして生きてきたかがとてもよくわかる。

    太宰治は、自分の生きづらさ、格好悪さ、ダサさと向き合い、ひたすら見つめ続けた作家だと思う。そして、そうすることで生を肯定しようとしたのではないか。太宰を読んでいて時々居た堪れない気持ちになるのは、あまりにも率直に彼自身の弱さが描かれているからだ。

    随筆の中でたびたび「実直」という言葉が出てくる。弱さに対して正直であり続けること。その先に真実があると信じていたのではないかと思う。

    このような彼の信念は、戦前から戦時中に確立されていったように思う。戦後の文章になると偏屈な印象が強くなるのは、自分の弱さに鈍感なまま上手く立ち回る人々が目につくようになったからではないか。

    私は作家でも芸術家でもない普通の人間なので、「上手く立ち回って」生きていかざるをえない。でもそれが上手くいかなかったとき、太宰治のことを思い出せるというのは、幸福なことだと思う。

  • 小説というよりエッセイなのかな?
    太宰の考え方がずっと繰り返し綴られていて、最初から最後まで、それはあまり変化せず、ただし、太宰の首を少しずつ絞めていったのか…というよりは、この人、この世では生きづらかっただろうなぁとしみじみ感じた。
    悲鳴のような文章だから、ちょっと読むのがしんどかった。

  • エッセイ、アフォリズム

  • 「ビブリア古書堂の事件手帖」第6巻登場作
    『もの思う葦』収録

  • 田舎者 魚服記に就て 断崖の錯覚 もの思う葦 川端康成へ 碧眼托鉢 人物に就いて 古典竜頭蛇尾 悶悶日記 走ラヌ名馬 先生三人 音に就いて 檀君の近業について 思案の敗北 創作余談 「晩年」に就いて 一日の労苦 多頭蛇哲学 答案落第 緒方氏を殺した者 一歩前進二歩退却 富士に就いて 校長三代 女人創造 九月十月十一月 春昼 当選の日 正直ノオト ラロシフコー 「人間キリスト記」その他 市井喧争 困惑の弁 心の王者 このごろ 鬱屈禍 酒ぎらい 知らない人 諸君の位置 無趣味 義務 作家の像 三月三十日 国技館 大恩は語らず 自信の無さ 六月十九日 貧婪禍 自作を語る 砂子屋 バウロの混乱 文盲自嘲 かすかな声 弱者の糧 男女川と羽左衛門 五所川原 青森 容貌 「晩年」と「女生徒」 私の著作集 世界的 私信 或る忠告 食通 一問一答 無題 小照 炎天汗談 天狗 わが愛好する言葉 金銭の話 横綱 革財布 「惜別」の意図 芸術ぎらい 郷愁 ★純真 一つの約束 春 返事 津軽地方とチエホフ 政治家と家庭 海 同じ星 新しい形の個人主義 織田君の死 わが半生を語る 小志 かくめい 小説の面白さ 徒党について 黒石の人たち 如是我聞

  • もの思う葦、碧眼托鉢、古典龍頭蛇尾、悶悶日記、走ラヌ名馬、思案の敗北、創作余談、一日の労苦、当選の日、正直ノオト、困惑の弁、心の王者、酒ぎらい、作家の像、弱者の糧、金銭の話、芸術ぎらい、織田君の死、わが半生を語る、かくめい、如是我聞などエッセイ、アフォリズムを収録。
    革財布は芝浜か。一日の約束は雪の夜の話に出てきたな。
    最後の如是我聞における志賀批判が物凄い勢いでした。すげえ時代だ。

  • 御伽草子のカチカチ山の狸が強烈。

  • 太宰の思想

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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