- Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480026712
作品紹介・あらすじ
戯れせむとや生れけむ…。奇想横溢する久作流"お伽ばなし"「白髪小僧」他初期童話作品群。
感想・レビュー・書評
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ちくま文庫全集第1巻は童話十九編。カッコ内は発表した署名。
<収録作品>
白髪小僧(杉山萠圓)
正夢(萠圓)
猿小僧(萠圓山人)
三つの眼鏡(※無署名)
青水仙、赤水仙(海若藍平)
白椿(海若藍平)
黒い頭(海若藍平)
若返り薬(海若藍平)
クチマネ(海若藍平)
虫の生命(海若藍平)
雪の塔(海若藍平)
キキリツツリ(海若藍平)
お菓子の大舞踏会(海若藍平)
先生の眼玉に(香俱土三鳥)
雨ふり坊主(香倶土三鳥)
奇妙な遠眼鏡(香倶土三鳥)
オシャベリ姫(かぐつちみどり)
豚吉とヒョロ子(三鳥山人)
ルルとミミ(とだけんさくぐわ)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夢野久作といえば怪奇小説ですが、こんな明るいのも書いてるのかと新しい発見でした。子供向けな感じの『こんな悪いことをするとこんな悪いコトになるよ』的なお話が多くて意外な印象を受けました。
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夢野久作が夢野久作として作家デビューする前、九州日報記者時代の童話集。童話書いていたと知らなかった…。「白髪小僧」は未完とな。どこまで長く難解に入れ子状になってもいいので完成を見たい気持ちがある。「白髪小僧」「青水仙、赤水仙」「雪の塔」「奇妙な遠眼鏡」「ルルとミミ」が好み。…と挙げてみたら兄弟姉妹の話ばっかりだ。好きなのか(いきなり自覚)。童話でも、何が嘘で誰の夢でどれが現実なのかわからないのはやはり基本だった。大変良かった。
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夢野久作童話集。まあ別名義(かぐづち・みどりとか)で書かれたものだけど夢野久作らしさは出てるかと。よく言われてるように、白髪小僧の入れ子構造はドグラ・マグラに通じるものがあると思う。未完だから惜しいのか、未完だからこそいいのか。
とりあえず夢野久作の手になる挿絵(版画)も好きです。 -
今まで読んだものをなかったことにして、今一度全集で読み返してみる。
頭を使わなくてもするすると入り込めて、覗いている気分になれる、児童用文学。
一番好きな作家で、この方の文章は幻想的な色が本当に好き。
そんな色がよく見える作品がたくさん詰まってる。
前日に『双生児』(DVD)を観ていたので、最初の『白髪小僧』を読んで、「アイデンティティの崩壊」について書かれた本をもっと読みたくなった。
アイデンティティが構築されず浮かんでる私は、いつ何を確信できるのかボンヤリ不安になった。 -
夢野久作で『ドグラ・マグラ』と同じくらい印象に残っているのがこのなかの『白髪小僧』だったり。
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夢野久作の土台は、この頃から出来ていたんだなぁ。
夢、ホラー趣味、厭世主義、正気と狂気、少女趣味、探偵物、入れ子形式、書簡形式、独白形式、ぽわっとした優しさ…
文章はまだまだ稚拙。
けど、まるでドグラ・マグラを書き上げるまでの無数の習作を、隣で見守っている気分になれる。そんな小説群。