夢野久作全集 2 (ちくま文庫 ゆ 2-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480026729

感想・レビュー・書評

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  • 第二巻は長編ルポ二篇。署名は杉山萠圓。
    <収録作品>
    街頭から見た新東京の裏面
    (市政の巻 江戸っ子衰亡の巻 建築交通の巻 商売の巻 生活の巻)
    東京人の堕落時代
    (各方面の徴候 上流社会 職業婦人 下層社会 不良少年少女 結論)

  • 関東大震災が起きた一年後に夢野久作が上京し、如何に東京が変容(堕落)したのかを綴ったルポルタージュ。
    震災によって変態が増える旨を示している点は興味深い。
    実際、東日本震災の直後には窃盗を始めとした犯罪が急激に増加したとの記事を目にした。
    日本の首都は汚れていると非難する気持ちには共感に値する。
    華やかに見えるのは外面だけで、馴染むと空疎しか感じられない。
    その上、東京の裏の顔は凄まじく悪いのである。
    彼が東京に対して抱いた印象は、確実に現代の東京にも色濃く残っていると言えるだろう。
    作家ではなく記者として書いたものだが、黒い噂への強い興味と執着が窺え、危険な香りに敏感な性質は流石怪奇作家だと感嘆した。
    作品から想像する作家像は陰気で不気味というものだったが、取材する様子は剛胆で行動力に溢れていた。
    やはり彼の小説を読みたい。

  • 関東大震災から一年経った後の東京を歩き回った久作記者のルポ。
    今に通じることが沢山あった。
    若者の堕落っていう言葉が叫ばれる風潮はもうここから始まっていた。
    それに「きたない大人」のことだったり、江戸っ子のことだったり、分かりやすくておもしろくて、最初から最後までこのテーマでもどんどん読めた。
    自分の生き方を考えさせられた。

  • 夢野久作というと・・・知っていてもなかなか手を出せずにいる作家。
    『ドグラ・マグラ』にはついていけるとも思えないが、本書に収められた「街頭から見た新東京の裏面」「東京人の堕落時代」なら、どうにか読めるかと買ってみた。

    関東大震災後の世相を背景に、堕落していく「東京人」の姿を描くルポ。
    震災直後の、生きるための混乱(カレーライス一杯のために体を売った女性がいたとか)を描く部分は、さすがに慄然とする。
    ただ、「職業婦人」の取り上げ方は、明治・大正の松崎天民「淪落の女」とほとんど変わりがなく、「新聞記者的想像力」ってこんなものなのか、と思ってしまう。

  • ルポ『街頭から見た新東京の裏面』『東京人の堕落時代』を収録。評論を収めた11巻とともに必携。

  • 2009/
    2009/

    街頭から見た新東京の裏面 東京人の堕落時代

  • 売却済み

  • 1〜11巻まで。
    絶版になるという事で入手困難になってきています。

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著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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