レミは生きている (ちくま文庫 ひ 2-3)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480028341

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  • 2016.3.26市立図書館
    1900年生の著者が「あいのこ」「混血児」としてコンプレックスとたたかいながら育った半生記。いまでこそ好奇の目やあからさまな差別は表立っては減っているけれど、均質で目立つのをよしとしない日本社会で、見かけは西洋人だけど中身は日本人だったり、その逆だったりする「ハーフ」はじめ複雑なルーツを持つこども特有の苦しみや悩みは時代をこえるもののはずで、一読に値する本。
    オリジナルは1959年東都書房より、のち1977年講談社文庫を経て1993年ちくま文庫、第6回サンケイ児童出版文化賞受賞だけれど、すでに絶版(もったいない)。

    平野威馬雄といえば、あのレミさんのおとうさんだな、と興味を持って気軽に借りてみたが(実際に文庫解説はレミさんだし、表紙や本文の装画は婿の和田誠さん)、壮絶な内容だった。ほんとうな大好きなはずの父親に駆け寄りたくてもそうできない屈折した気持ち、祖国はどちらなのか、イソップのコウモリのようなどっちつかずの苦しみ。混血児同士であっても容易に助け合えないデリケートな間合い。同じ境遇の子を助けようと思っても同情や憐れみの気持ちだけでは解決しないという気づき。偏見や差別意識のなかでも、フランス語やよき友人との出会いに恵まれて、いつかその出自も武器にできる大人に育つことができ、同じ境遇の子どもたちを救おうと尽力したことは尊いと思った。

  • 平野レミのお父さんの本。
    私はハーフに生まれたかったけど、苦労もあるのかもねぇ。
    でもやっぱりあこがれる。

  • 出会いはたまたま図書館で見つけ、「平野でレミということは平野レミのお父さんかな」と手にしましたがまさかこんなに面白いとは!不勉強で威馬雄氏のことは本著で初めて知りましたがWikipediaなど読んでみると大変な生涯だった様子。教科書に載せるべき良書なのに載っていないのはその生涯のせいか。全ての日本人、特に小学生に読んでもらいたい。

  • 夢中で二時間で読破しました。差別や偏見の中、あいのことして生きた著者の辛さが痛いほど伝わってきました。

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著者プロフィール

平野威馬雄(ひらの・いまお)
1900年、北カリフォルニアジャパン・ソサエティ(Japan Society of Northern California)初代会長のヘンリー・パイク・ブイと日本人の母との間に生まれる。東京都出身、上智大学卒業。仏文学者、詩人。ルーツによって差別を受けた自身の経験から第二次世界大戦後に「レミの会」を結成、「混血児救済」の活動に献身する。著書に『青火事』『くまぐす外伝』『平賀源内の生涯』、訳書に『ファーブルの昆虫記』『モーパッサン戯曲集』ほか多数。本作『レミは生きている』は第6回産経児童出版文化賞を受賞。料理愛好家・シャンソン歌手の平野レミは長女。1986年没。

「2022年 『新版 レミは生きている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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