ヴァージニア・ウルフ短篇集 (ちくま文庫 う 18-2)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480035141

感想・レビュー・書評

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  • 彼女は私と、まるきり世界の見え方が違う。

    考え方。

    物事のとらえ方。

    発想やイメージ。

    どれをとっても、他とはまったく異なっているように思える。

    おそるべき才能とは、きっと、彼女のことをいうのだろう。

    彼女の狂気たるゆえんはいったいなんなのなのだろう?


  • ②再読
    やはりウルフを読むと(読解力の)消化不良を起こしてしまうのだが、知らない町へ行く電車内で読んだら思いのほか読み進められた。
    キュー植物園で放ったエリナーの言葉が印象的だった。
    最近発売されたウルフの短編集『青と緑』よりも、こちらの表紙がとても好きなのだが、この写真を撮った小林健二さんという方がとても気になる。


    ①意識の流れは私には少々難し過ぎたが、次々と流れる意識はウルフの頭の中を覗いているようで、ウルフの言葉が、役者の訳文がとても素敵な言葉で綴られていて、全文章を書き写したいと本気で思った。
    もう一度読み直したいと思う。

  • "子供時代の代わりになるものなど何もない。薄荷の葉がそれを取り戻させてくれる。でなければ青い縁取りのついたコップが。"(p.85)


    "時の推移にかかわらず、時代の推移にかかわらず、多くの者が、ひじょうに多くの者が独りでここにやってきたに違いない。自分の想念を水のなかに流しいれるために、何事かを池に尋ねるために。この夏の夕つ方ここにいる者がちょうどそうしているように。たぶん池が魅力を持つのはそのせいだろう――池は水のなかにあらゆる種類の夢想や、不平や、確信を擁している。書かれたこともなく、口にされたこともないそれら。ただ流体のような状態で犇めきあう、実体性の限りなく希薄なそれら。 "(p.142)


    "男性の視点、それが私たちの生活を統治している。それが標準を決めている。"(p.164)


    "私は水流に抗って、まるで風に靡く旗のように、水のなかで静止する魚のことを考えるのが好きだ。私は河床の泥の小山をゆっくりと登っていく水棲の甲虫のことを考えるのが好きだ。"(p.169)

  • ヴァージニア・ウルフが私の一部になればいいのに。

  • ウルフは初めて読んだので、意識の流れと呼ばれる作風には慣れなくて没頭できない部分もあったけれど、それでも美しい感覚の世界は魅力的だった。
    「ラピンとラピノヴァ」と(最後の一文よ!)映画A Ghost Storyにインスピレーションを与えたという「憑かれた家」が特に好きだった。

  • Kindle版

  • 詩と小説のあいだ。

  • 再読。私の手は必ず【青と緑】で止まる。わずかニページ足らずの作品だけれど、初読時には眩暈を覚えるほど強烈で鮮烈な衝撃を受けた。

    青から緑へ、緑から青へ…。最低でも三回は読む。澄明な水の軟らかさと滑らかさと煌めき。磨き上げられた直後の宝石の硬さと鋭さと輝き。瞼の裏で青と緑がせめぎ合い、次第にそれらは全身に染み渡り、血液が沸騰するような高揚感を与え、恍惚を陶酔に、陶酔を酩酊に、酩酊を耽溺に塗り替えていく。だから先に進めない。

    【月曜日あるいは火曜日】についても同じような状態に陥る。焦点を定めることのできない私は、空の彼方に霧散する「真実」を見失ってしまう。
    《2015.08.11》

  • 訳がすこし耽美的な感じなので、詩に近い煌めきの短篇集だった。「ラピンとラピノヴァ」は最後女性にはずきんとくる話。ヴァージニア・ウルフの研ぎ澄まされた繊細な感覚と表現に驚く。「乳母ラグトンのカーテン」「サーチライト」「憑かれた家」「池の魅力」「徴」「壁の染み」が好き。何度も読み返したい…読み返す必要がある…リリカルで暖かくて切なくて魅力的な作品が多かった。

  • 2014/04/14

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著者プロフィール

1882年―1941年、イキリスのロンドンに生まれる。父レズリーは高名な批評家で、子ども時代から文化的な環境のもとで育つ。兄や兄の友人たちを含む「ブルームズベリー・グループ」と呼ばれる文化集団の一員として青春を過ごし、グループのひとり、レナード・ウルフと結婚。30代なかばで作家デビューし、レナードと出版社「ホガース・プレス」を立ち上げ、「意識の流れ」の手法を使った作品を次々と発表していく。代表作に『ダロウェイ夫人』『灯台へ』『波』など、短篇集に『月曜日か火曜日』『憑かれた家』、評論に『自分ひとりの部屋』などがある。

「2022年 『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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