日影丈吉集: かむなぎうた (ちくま文庫 か 35-13 怪奇探偵小説名作選 8)
- 筑摩書房 (2003年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (505ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480038357
作品紹介・あらすじ
博識に裏打ちされた端正なダンディズム。淡い郷愁が漂う日影丈吉の迷宮へと誘う精選短篇集。江戸川乱歩と折口信夫に絶賛されたデビュー作「かむなぎうた」を含む十六篇。
感想・レビュー・書評
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江戸川乱歩に絶賛されたというデビュー作「かむなぎうた」を
表題に冠した代表的な短編選集。
謎の提示と解明が行われる探偵小説あり、SFあり、
猟奇的な幻想譚あり――と、バラエティに富んだ内容。
不気味な話も不思議に暗くならないところが持ち味、か。
以下、特に印象深い作品について。
■「狐の鶏」
第9回日本探偵作家クラブ賞受賞作。
記憶が曖昧になった青年が、
殺人を犯したかもしれない可能性に怯えるサスペンス。
利己的で強欲な老人が若者を苦しめる話は、読んでいて辛い。
■「吸血鬼」
『幻影城』1975年8月号掲載。
敗戦処理中の台湾で保護された旧日本兵の恐るべき体験。
伝聞に伝聞を重ねる叙述形式が「事件」の輪郭を
曖昧にすることによって、幻想・耽美的な雰囲気を醸成する佳品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「日影 月影 星影」
日影丈吉(1908~1991)という作家をご存知だろうか。幻想小説家といわれている。ミステリ色濃い、翳りの作品が多いのだ。私は「孤独の罠」を読んで以来強く惹かれているのに、寡作ゆえ読んだ作品が少ないのが残念。
月影、星影は神秘的な光であるけれど日影は陰の部分を浮き立たせる。夢と現(うつつ)が渾然とし、そこに妖しさが加わった幻想に引き込まれる。時代ファンタジーとも思う。
国書刊行会より全作品集(9巻)は出ているが、手軽な傑作短編集『日影丈吉集』がちくま文庫にあったので、このお正月のたのしい読み物になった。
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再読してまた感想を書きたいです。 -
ちくま文庫の怪奇探偵小説名作選‐8。
田舎の土の匂い。しかもたくさん光を浴びた。
そういうイメージ。
『吉備津の釜』『飾燈』なんかが特によかった。 -
典雅な幻想小説を多く収録。「猫の泉」は名作。