日影丈吉集: かむなぎうた (ちくま文庫 か 35-13 怪奇探偵小説名作選 8)

著者 :
制作 : 日下 三蔵 
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 36
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (505ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480038357

作品紹介・あらすじ

博識に裏打ちされた端正なダンディズム。淡い郷愁が漂う日影丈吉の迷宮へと誘う精選短篇集。江戸川乱歩と折口信夫に絶賛されたデビュー作「かむなぎうた」を含む十六篇。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸川乱歩に絶賛されたというデビュー作「かむなぎうた」を
    表題に冠した代表的な短編選集。
    謎の提示と解明が行われる探偵小説あり、SFあり、
    猟奇的な幻想譚あり――と、バラエティに富んだ内容。
    不気味な話も不思議に暗くならないところが持ち味、か。

    以下、特に印象深い作品について。

    ■「狐の鶏」
     第9回日本探偵作家クラブ賞受賞作。
     記憶が曖昧になった青年が、
     殺人を犯したかもしれない可能性に怯えるサスペンス。
     利己的で強欲な老人が若者を苦しめる話は、読んでいて辛い。

    ■「吸血鬼」
     『幻影城』1975年8月号掲載。
     敗戦処理中の台湾で保護された旧日本兵の恐るべき体験。
     伝聞に伝聞を重ねる叙述形式が「事件」の輪郭を
     曖昧にすることによって、幻想・耽美的な雰囲気を醸成する佳品。

  • 「日影 月影 星影」

    日影丈吉(1908~1991)という作家をご存知だろうか。幻想小説家といわれている。ミステリ色濃い、翳りの作品が多いのだ。私は「孤独の罠」を読んで以来強く惹かれているのに、寡作ゆえ読んだ作品が少ないのが残念。

    月影、星影は神秘的な光であるけれど日影は陰の部分を浮き立たせる。夢と現(うつつ)が渾然とし、そこに妖しさが加わった幻想に引き込まれる。時代ファンタジーとも思う。

    国書刊行会より全作品集(9巻)は出ているが、手軽な傑作短編集『日影丈吉集』がちくま文庫にあったので、このお正月のたのしい読み物になった。

    *****

    再読してまた感想を書きたいです。

  • ちくま文庫の怪奇探偵小説名作選‐8。
    田舎の土の匂い。しかもたくさん光を浴びた。
    そういうイメージ。
    『吉備津の釜』『飾燈』なんかが特によかった。

  • 典雅な幻想小説を多く収録。「猫の泉」は名作。

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著者プロフィール

日影 丈吉(ひかげ・じょうきち):1908年、東京都生まれ。小説家、翻訳家、料理研究家。アテネ・フランセ卒業。フランス語教師および料理研究・指導者等を経験したのち、49年『かむなぎうた』で作家デビュー。56年『狐の鶏』で日本探偵作家クラブ賞、90年『泥汽車』で泉鏡花文学賞を受賞。91年没。

「2024年 『ミステリー食事学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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