35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書 就・転職の絶対原則を知る (ちくま新書 869)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065728

作品紹介・あらすじ

成功のセオリーが変わる!大企業に入れば、それで成功という時代ではなくなった。40歳で給料が頭打ちになり、それ以降は徐々に給料が下がる時代に突入している。こんな時代に、20代、30代のビジネスパーソンはどう対処すべきなのか?本書では、35歳までに、「動機」と「能力」をもとにした「稼げる力」を増強することを提案する。自分の市場価値を高めるために、能力・動機はどこにあるのか、どのようにすれば開発できるかなど、具体的な事例にそって解説する。迷える若者のための一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 現実的ゆえに破壊力の大きい本。きついっす。
    全体を全く網羅していないけど取り急ぎメモ↓

    ●働いて初めて分かることがある。やりたい仕事なんて、いくら学生時代に自己分析したって分かりっこない。
    →本当にその通り。

    ●「ポテンシャル+稼ぐ力=その人の価値」。ポテンシャルは毎年残酷にすり減っていく。稼ぐ力が身についていれば、ポテンシャルが減っていても転職できるかもしれないが、稼ぐ力ない人材は、歳行ってるほど修正がきかなくなる。
    →キツすぎるがその通り。



  • 孫さんのいう登りたい山を腹の底から決め切れてない人が多いというところも納得。そこを徹底的に考える必要があると感じた。

    「動機」と「能力」が交わるところの仕事をする。
    その2つを顕在化させる

    動機、、エニアグラム等の診断ツールを使う、人生最期の日を考え、書き出す。仕事する中で下らない、やりがいがある等の価値観を見出す。

    能力、、強みを見つける、ストレングスファインダーをする。他者と比べて能力を発揮できた瞬間を思い出す。

    苦手を克服するよりも強みを徹底的に活かした仕事をする。

    これを早速活かして今のストレスを解消したい。

  • 仕事は「できる事(能力)」と「やりたい事(動機)」のすり合わせの上にあるべきである。社会人になって10年目までに仕事が能力と動機の重なる所に位置できるように目指すべきだ。
    まずやりたい事がどのような事かを見極める。その上で、出来る事が稼げる能力となるように自分のキャリアの位置を見極めるのがポジショニングである。
    著者のやりたい事は「社会全体や公共を相手に広く社会貢献したい」というもの。なので、いずれ発表されることをいかに早くライバル社より手に入れるか競う新聞社や一つの会社だけを相手にするコンサルタントは欲求を満たせなかった。
    そして能力としてストレングス・ファインダーに触れられる。著者の強みは①最上思考、②戦略性、③責任感、④信念、⑤未来志向だった。その上で新聞社で元からセンスがあると感じていた文章力を磨き、コンサルタントで論理思考や戦略を身に付けた。
    そこからネット新聞という今の仕事に能力を生かしている。新聞記者は全国紙だけで各社2000~3000人×5大紙で10000人強。大手コンサルタントも10000人程度だろうが、その両方を3年以上経験している人がどれくらいいるだろうか。

    その上で、入社後にまず考えねばならないのが「職種」と「業界」である。
    共にずれている時は最も転職が難しいので、20代の内に最優先で考える必要がある。
    同じ業界で「職種」を変えたい時は社内での異動が新規採用よりは垣根が低い。要望が通らなければ辞めるくらいの考えではっきりと要請すべき。
    職種が同じで「業界」を変える、は今後王道になるだろう。銀行員の経験を生かして、ホテルで融資の担当職に就くとか。

    さて、こう見る時コールセンターのSVは「業界」とは言えるだろうけれど、「職種」として転職市場で認められないだろう。
    自分の強みは①着想、②達成欲、③収集心、④学習欲、⑤内省。
    今の部署の人数が職員を含めて100人弱で仕事の内容を強みを生かしたものに出来るようになってきたのは楽しい。それでも、社外で評価されるのは難しいだろう。とすると、この会社の浮沈と人事制度に縛られる事になる。資質には自信があっても、出来る事(能力)を磨く事を考えないと通用しない。

    とても考えさせられる本でした。著者以外の事例もたくさんでてくるので、参考になります。

  • 様々な職種を経験した先人達へ行ったインタビューならびに著者の経験、思想をベースとしたキャリア本。先人達のキャリアは多様で、文系職(営業、人事 etc.)ならびに理系職(エンジニア etc.)両方に言及され、全員の複数回の転職を理由まで詳細に記述している。
    他のライフデザインに関する書籍からの引用も不自然ではなく、好印象だった。

  •  価値観と能力がマッチするところで働くこと、社内人材ではなく社外で通用するスキルを身につけることなど転職・キャリア系の本を読むと出てくる内容がざっと網羅されている印象。
    初版が10年前なことにびっくりしました。そんなに昔から言われていたことだったんだ、と…。
    新卒で入った新聞社がよほど嫌いなのか、ことあるごとに出版業界叩きが入ったり、キャリア本なのに政策提言が入ったり(提言の内容自体は同一労働同一賃金とか?時代にあったものだとは思う)ちょいちょい私情で脱線しがちなのが玉に瑕でした。

  • 『医療・介護職の新しいキャリア・デザイン戦略』より。

    2010年ともう10年以上前に出た本だけど、わかるなあと思うところ多々ある。当時大学生だったが、その時読んでも半分も理解できなかっただろう。旅行が好きだから旅行会社って、なんか違うとはわかっててもそれでも憧れを捨てきれなかったもんなあ。学生という身分を失って、働き始めて初めて見えてくるものがある。「35歳までに読む」と言っているが、実際は20代前半までに読まないと取り返しがつかない内容。もう30歳を数年過ぎた人が読むものではない。絶望するだけ。

    35歳過ぎたら転職(就職)厳しいと言われるのは、戦後の雇用政策(終身雇用や解雇規制など)を未だにひきづっているからなんだと改めて実感。あと大卒文系は新卒採用の時は総合職としてジェネラリスト採用するのに、中途だと専門スキルの即戦力が求められるという矛盾な。「与えられた目の前の仕事を一生懸命やれば、やりがいが見つかり、能力も身につく」という経営者や自己啓発セミナーは戦後のパラダイムを引きずっている。企業自体の寿命が短くなっているのに、企業を中心に社員個人のキャリアを考えるのは本末転倒。

    著者は能力と動機が合致するところを伸ばしていくといいと言う理論を展開し、自分の能力と動機を知るためには診断ツールも有効だが、それよりライフストーリー分析が確実だという。つまり、「他者に比べ圧倒的に能力を発揮できた瞬間」、動機はキャリア年表(時間軸とテンションの浮き沈み)を書いたり、他者にきいたりして探る。
    動機(want)と能力(can)の交わるところが現実的な仕事内容(must)。
    能力とは、15歳ごろまでに決まる先天的な資質。いくら才能がないところで夢を追いかけたって無駄、とバッサリ。
    自分を探すよりまず企業で仕事をする。
    目先の年収より将来の能力に投資。

    氷河期世代の必勝パターンとして、日本の大学卒業後アメリカの大学で英語とIT・ビジネス知識を学んで優良外資企業に就職した27歳の例が紹介されていた。就職留年は不利で、フリーターをやっていて27歳になりましたは価値がないと論破するが、非現実的。裕福な家庭じゃないと無理。ただでさえ日本の大学の奨学金が何百万とのしかかる家庭も多いのに。。
    まあ、それが無理なら企業のブランドや規模にこだわらず、とりあえず中小で2,3年修行して転職するというパターン。それすらできない学生も少なくないと思うのだが。

    本社部門の企画やマーケティングの人気が高いことは企業もわかっているから、配属比率を明かさずだまして学生をとる→こわ。運しだいやな。外資は新卒から職種採用らしいが、働いたこともないのに職種を決めることなんてできるのだろうか。

    職種・業種両方のキャリアチェンジは20代まで。
    職種だけなら社内異動を狙う。

    従来の、大久保幸夫の「いかだ下り論」や金井の『働く人のキャリアデザイン』中のキャリアドラフトを木端微塵にしてる。
    「35歳までいかだ下りをして流されていたら完全に手遅れ」「鈍感な人が40歳のミドルで『今が節目だ』と感じてもリストラ予備軍になるだけ」
    でもこれは筆者が毒舌なわけではなく、そういう新卒一括採用重視や非正規雇用の量産、解雇規制などしている日本社会(政府)の問題。

    「もちろん、毎日死期を意識していたら疲れてしまうので、キャリアの節目や悩みが深い時に思い出して内面に向き合うのが良い」→ほんとうに・・・。
    「若者には無限の可能性が・・・なんて嘘っぱちなのだ」→(笑)

    ★既知のもの
    キャリアアンカー(エドガー・シャイン)
    ストレングスファインダー
    無能な働き物は銃殺(ゼークト)
    『七つの習慣』
    『深夜特急』
    チクセントミハイのフロー状態
    『会社は2年でやめていい』
    『フリーエージェント社会の到来』

    ★チェックする本
    『若者はなぜ会社選びに失敗するのか』
    ドラッカー『プロフェッショナルの条件』
    高橋俊介『キャリア論』

  • 自分の経験したことが中心
    自分の経験の具体例であって、全体像がつかみにくい。仕事をかえた人のインタービューからの考察
    人の働く価値は「学歴」【資格】【経験】の三つで評価できる。

  • 35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書 就・転職の絶対原則を知る (ちくま新書) 新書 – 2010/10/7

    若手ビジネスパーソン向け
    2010年10月16日記述

    社会全体が高度経済成長期でなくなったことや経済のグローバル化に伴い簡単には給与が上がらない時代になった事を踏まえて会社任せの受身ではない自力での人生設計を具体的にどのようにしていくと理想的であるのかを示した本。筆者自身の体験談も含めて9つの具体的なケースを理論と絡め紹介されていて参考になる。

    能力開発においては弱点をどうにかするのではなく徹底的に才能ある分野を伸ばしていくべきであるという指摘は目から鱗だった。ついつい弱みを補強しようと考えがちだ。しかし超一流になれる能力は限られている。だから得意分野に集中する必要がある。受験勉強で考えると少しわかりやすいかもしれない。

    また本書ではドラッカーの引用が多い。(理由は巻末に書かれている)

    規制緩和や技術革新などで産業そのものが構造不況業種になりそうであると感じれば社内外への異動も真剣に検討しなければならない時代に生きている若手ビジネスパーソンに向けた本としてこれ以上のものはないだろう。また、大学生も多いに参考にできると思う。

    ただし本書はホワイトカラー上級者、トップクラスの転職事例を扱っているので、即実践とはいかないだろう。

    実際問題、現実的に巷に溢れている感覚では転職成功例と言い切れるものは少ない方だと思う。

    だから本書で述べられている人たちが優秀な一握りの人たちではないかと違和感を感じることもあるだろう。ただし、貴重な転職成功例として捉えるべきだ。


    2021/12/16(木)再読、記述

    これまでパラパラと何度も読み返してきた。
    いわゆる転職成功例なので、あまり周りにこういった人たちがいないので
    その点が現実感が少ない。
    スキルやタイミングが良くないと35歳以上の転職は難しいというのは2021年の今も殆ど同じだと思われるので今だに通じる内容だ。
    能力が無いと全く駄目だと指摘している点が厳しい。
    数多の自己啓発本との大きな違いであると言える。
    具体的に転職の面接時にどう振る舞うべきか、また日程調整をどうするかといった大前提は書かれていないので別の書籍や体験記事を読んで不足部分を補う必要はある。

    印象に残った点

    若手社員は、昇格しにくくなり、給与は上がらなくなった。

    グローバル化、IT化によって世界の均質化が進む中、既に世界最高水準に高騰している日本の労働者の人件費は、重力のように世界の市場価値水準へと収斂されていくことが必然だからだ。

    もちろん理論上は、日本人が、より付加価値の高い製品やサービスを次々と生み出し、利益率の高い製品がどんどん世界中で売れるとなれば、高い人件費も維持できる。

    だが、1億人超の人口を抱え、かつ政治の不作為によって規制ガチガチの日本ではイノベーションが起きる環境はなく、実際に産業構造改革は進んでいない。給与は、やはり下がっていくと考えるのが普通だ。

    NHKスペシャル(2009年5月6日)が行った35歳1万人のアンケートでは正社員のうち69%が「収入はもう伸びない」と答えた。

    今の若手は、親世代と同じように会社任せのキャリアを積むだけなら、大半は給料も上がらないし、課長にさえなれないのである。

    多くの「普通の人たち」は40代早々での給料頭打ちを覚悟しなければならない。
    銀行は40代後半から出向・転籍・給料3割カットが当たり前

    50代になってさらに知力・体力が伸びるという人も稀にいるが、人間の能力は50代には衰えるはずだからだ。

    企業にとっては「もうこの人は伸びないな」という人材(38歳=70点)よりも
    20代後半で、多少は戦力になって、かつ「これからも伸びそう」な人材(28歳
    110点)を採ることのほうが理に叶っている。

    カルチャーが強烈な会社ほど、新卒での採用を重視する。

    これらの例は、新卒時でなければ、洗脳が難しいことを示している。

    従って、ポテンシャルの高い20代のうちから意識的に人的資本を増強、つまり「稼げる力」を高めていき、遅くとも30代半ばくらいからは、余裕資金を作り始める。
    そして、もう1つの資本である「金融資本」の増強を開始し、金融資本からも収入を得られるようにしていく。これは第一に、50代以降のお金がかかりそうな時期に「人的資本」が必ずしも伸び続けないという「想定される事態」に備えるためであり、第二に、「自分年金」のためだ。公的年金も国家財政も事実上、破綻に近い現状では、今の30代以下は全く国をアテにできない。そのためには、資産運用のための金融リテラシーも必要となるが、本書で扱うのは、どうやって人的資本を増強していくか、というキャリア論のほうである。そもそも、まず種銭がなければ運用どころではないのだから、「人的資本をどう増強するか」が優先されるべき決定的に重要な問題といえる。

    能力というのは「できること」である。

    才能の無い所でいくら後天的な能力をアップさせようとしても効率が悪く、他者とのビジネス上の競争の中で不利な戦いを強いられるだけだからである。
    土台が貧弱な所でいくら頑張って積み上げてみても、たかが知れており、優位に立てるはずがない。

    企業という器自体が消滅したり売却されたりする変化の時代に企業を中心に社員個人のキャリアを考えるなど、本末転倒である。

    ゼークトが提唱したと言われる軍人の分類
    4、無能な働き者(能力ナシ、やる気あり)
    これは銃殺するしかない。
    働き者であっても無能であるために間違いに気づかないまま実行し、さらない間違いを引き起こすため。

    好きなことをやり続けていれば、いつか専門家になってその道で食べられるようになって・・・という理論を展開する人もいるが、それは嘘である。
    才能や資質のない所、強みの無い分野で戦って生きてゆけるほど、世の中は甘くない。

    正社員の既得権集団である労働組合の最大組織「連合」が強烈な政治力を持っているために、特に自発的な異動者がいなくなる40代以降は、正社員の椅子にロックがかかり、外部からの参入が難しいのが現実だ。したがって、30代後半までにいったん決めたレールを変える作業は、困難を極める。

    若いほど人的資本のポテンシャルは高いから、路線変更しても能力開発がしやすい。
    よって、日本国内で働くならば、勝負は20代後半までに決まると考えて良い。

    働くことに意味や目的を見出す作業を続け、20代後半、遅くとも30歳くらいまでに、おおまかな「登りたい山」を決めることを目標にすればよい。真逆に振れて、「労働に意味なんかない」と投げやりになるのが一番良くない。

    今10億円持っていても、なお、その仕事をやるか?または1円の稼ぎにもならないが、その仕事をやるか?YESと答えられるなら、その仕事は内発的動機に基づいている。

    「自分らしい仕事ができて、満足できた」「本当の自分自身が近づいている感じがある」
    そう思える瞬間が、内発的な動機に結びついている。

    ただし、内発的な動機に合致していても能力(特に才能)が決定的に足りない仕事の場合は第3章でゼークトの「無能な働き者」を例に説明したとおり全員が不幸なので、早い段階でアプローチを変える必要がある。

    勤めに行くことではじめて仕事について真剣に考え、自分の内なる動機に向き合い、会社に行く道の途中で、そして新人研修の場を通して、「違う、これは自分の人生ではない」という決断ができる。自分探しなどしないで、まずは1日でもいいから企業勤めをするべきである。
    その際は、動機がわからない人ほど、出来る限りハードな職場を選ぶのが良い。例えば
    (餃子の)王将フードサービスに入って、鬼教官の前で8秒以内に社訓を大声で読む研修を受けてみる。野村證券でノルマを達成できずに深夜まで問い詰められたり、キーエンスで営業なのに分単位の時間管理をされて窮屈な思いをしてみる。厳しい環境に身を置けば、自分は本当にこの仕事をやりたいのだろうか、と真剣に考えざるをえない。

    さらに興味がある職業があったら、その道でキャリアを積んだ人の書いた本を読む。
    これはネットですぐに調べられる。経済小説も、業界や職業を理解する上で役立つ。

    能力には正しい開発の法則がある。それは自分の才能を見極め、そこに重点的に知識と技術を加えていくことだ。

    才能・・無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターン
    知識・・学習と経験によって知り得た真理と教訓
    技術・・行動のための手段

    才能+知識+技術=「強み」
    強みの定義は「常に完璧に近い成果を生み出す能力」
    マーカスは「強み」を意識的に伸ばすために、自らの才能(資質)を理解し、知識と技術を才能ある分野で修得することに時間を傾斜配分することこそが決定的に重要だと説いている。

    努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わないことである。強みに集中すべきである。無能を並の水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーを必要とする。

    「わずか」であるがゆえに、先天的な段階で既についてしまっている才能の差は一生、埋まらないということだ。しかも、後天的な努力で、同じ時間でも、さらに加速度的い差がつく。つまり、逆説的に聞こえるだろうが、「わずか」なのに、一流と二流の差は大きいということだ。

    才能ある分野で努力すれば、きっと報われる。
    才能なき分野で努力しても無駄骨だ。おまえは絶対に失敗する」

    知識や技術は会社に入ってから教育して身に付けさせればよいが、才能は後から追加できないから、これを取り逃がすと取り返しがつかない。
    決定的に重要なのは才能であって、大学で何を身につけたかなど、企業から見たら本当にどうでもよいオマケの情報、というのが本音の本音なのだ。

    我々は、自らの才能に逆らって生きるのは不可能であり、才能は生涯つきまとうもので変えられない、という冷酷な現実をまず受け入れないといけない。「若者には無限の可能性が・・・」なんて嘘っぱちなのである。

    新聞記者時代に感じたのは、やはり「文才」という才能は存在する

    先輩が書く企画記事を見ても、明らかに「書き出しから読ませる」うまい文章を書く記者とただのデータにすぎない文章を書く記者がいた。そして、これは10年研鑽を積もうがダメな人はダメで、若くてもうまい人はうまい。成長はしないということだ。才能の問題、脳のシナプス結合の問題だからであろう。

    才能は、就職・転職活動を通じて気づいたり、働く中で気付かされる。重要なことは、弱みを補強するのではなく、才能ある分野で知識・技術を強化し、その強みのある能力が活かせる仕事内容へと、自分の職場を移していくことだ。

    ほとんどのビジネスパーソンにとっては、「稼げる力」が企業が採用したいと思うエリアにまだ収まっている30代半ばくらいが、転職のリミットということになる。ここを過ぎるとポテンシャルもなくなる、歳相応の稼ぐ力も無くなる、という二重苦で、おまけに厳しい日本の解雇規制によって労働市場がロックインされて人材が固定化されるという政策面からの三重苦まであるから、動けなくなる。


    一般的に、第二新卒時期を過ぎてキャリア5年ほどの職務経歴が出来上がると、それまでのキャリアを活かした転職しかできなくなる。

    職種転換は、社内のほうが圧倒的に実現しやすい。
    その人を知っているという強みを活かせるからだ。

    リストラ後の業務再編と人材再配置に関する会議で感じたのは「その人が知られている強み」だった。「あの人なら、あの部署に行ってもやっていける」「あの人は使いづらい」などといった経験ベースの感覚で、実際に人事異動が決まっていくのである。最悪なのは「あのひとは知らない」で、そのまま放置されたり、リストラ対象になる。
    こうした、履歴書や職務経歴書には出てこない属人的な感覚(多くの場合、「能力」でも「動機」でもなく、部署の人事権者と合う、合わないといった性格や人柄の特徴)で社内でしか実現しない職種転換が可能になる。

    日本人は、有利な就職をするチャンスが人生で1回しかないので、大学3年時に血眼になって就活する。そこで失敗したら人生でハンディを背負うことになる。欧米諸国のように、チャンスが20代全般にわたって拡散されていれば、そのようなおかしな仕組みは解消される。そのためには、人材を流動化させて、再チャレンジ可能な社会にしなければいけない。

    これら才能の発見につながる大会は、他の分野でも国が後押しすべきである。
    スポーツに限らず、囲碁でも将棋でもいいし、数学でも語学でも哲学でも良い。
    旧共産圏のエリート教育を想起するかもしれないが、強制的でなければ個人にとっても国にとってもハッピーだ。積極的に発見しようと思わない限り、才能は見つからない。眠ったまま使われない才能ほどもったいないものはない。

    経済は効率を求める。

    「規模の経済」が働くので、小さい商店主が乱立する「オーナーシップ社会」は崩れ、会社勤めの「サラリーマン社会」へと、どんどん移行していく。この流れは止めようがない。

  • 図書館で借りた。
    35歳を控えて、私が読むべき本と思い手に取ったが、あまり発見は無かった。
    内的興味が無ければ続かないのは最初から分かっていたし、同世代なら皆一度は聞いたことのある話題ではないだろうか。ただ実体験・インタビューに基づいているのは良かったと思う。

  • 年代に併せて読むと気づきもある。

    他の著書に10年後もある仕事等から派生で読む。
    参考になる。

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著者プロフィール

渡邉 正裕(ワタナベ マサヒロ)
ニュースサイト『MyNewsJapan』(mynewsjapan.com)のオーナー、編集長、ジャーナリスト。
1972年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、日本経済新聞の記者、日本IBM(旧PwCコンサルティング)のコンサルタントを経て、インターネット新聞社を創業。一貫して「働く日本の生活者」の視点から、雇用・労働問題を取材、分析、提言。著書に『企業ミシュラン』シリーズのほか、『10年後に食える仕事 食えない仕事』『35歳までに読むキャリアの教科書』『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』『トヨタの闇』など多数。

「2020年 『10年後に食える仕事 食えない仕事 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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