- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480066602
作品紹介・あらすじ
同じ職場で同じ働き方をしていても、賃金に差が生じるのはなぜなのか?労働者の三人に一人が非正規雇用となり、受け取る生涯賃金にも大きな格差が生まれている。本書はアルバイト・パート・嘱託・派遣社員・契約社員など「働く人の賃金」に焦点を当て、現代日本の労働問題を考察する。賃金というものさしから、いま働く現場で何が起きているのかを読み解き、現代日本の「身分制」を明らかにする、衝撃のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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SDGs|目標10 人や国の不平等をなくそう|
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/709830詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
津田マグ Vol.36『速水健朗の「本を読まない津田に成り代わってブックレビュー」《第19回》』で紹介されてた本。
<blockquote>僕は平等な競争の結果、格差が生まれる社会は、よい社会だと考えます。「機
会の平等、結果の不平等」ということです。しかし現実には、同じ労働内容でもまったく違った賃金が与えられるという機会も結果も不平等な現実が、日本の労働市場に渦巻いていると『ルポ賃金差別』は記しています。(速水)</blockquote> -
良かった。女性差別はもはや時代遅れと言われているが、実態は全く違うことがわかる。現実として賃金に差別は存在し、賃金格差を訴えても女性が付いていた職業は補助的な役割だから、という判決が出てることに驚きを禁じ得ない。
派遣労働も同じ。やはり経営者側に寄った法律で、まだまだ自民党の支持基盤である中小の経営者にいかに媚びてるかがわかる。
日本はこれからますます厳しくなる。パイがうまく分けられるようにしないと、酷いことになるのは想像に難くない。女性活躍を謳う現代、この本にあげられてるような事例がなくなっていくと良い。 -
パート労働は、所詮夫の収入がある女性たちの仕事、生活費がいらない女性たちの小遣い稼ぎ。こういった位置づけが、非正規の低処遇に対する社会的抵抗を阻んできた。女性の家計補助だからと、仕事の内容を問うことなく容認されてきた非正規は、いまや、男性たちにまで広がっている。また、シングルマザーも男性ではない、新卒ではないというだけで低賃金で不安定な働き方を余儀なくされている。非正規は理不尽に特定のカテゴリーへ押し込められ、低賃金でも当然だというレッテルを貼られ、働く意欲や気力を奪われている。安くても当然の人たちを作ることにより企業は人件費を抑え、労組の組織率を下げ賃金交渉力を弱体化させた。正社員は正社員で、あの人たちよりもましだからと賃金抑制にも怒らない羊と成り果てた。高齢者の低賃金再雇用は労働ダンピングを加速させている。著者は警鐘を鳴らす。この状況を放置しておれば、必ずそのツケがまわってくる時が来ると。
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正規雇用と非正規雇用の賃金格差の問題を、多くの実例ともに解説。分かりやすい本です。
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日本社会は、同じ仕事でも、出身地・性別・採用形態・雇用形態と様々な線引きによって自在に賃金に差をつけられる賃金差別大国である。
同一価値労働同一賃金はよく聞く言葉だけれど、その意味の重要性を改めて認識しました。 -
一章
2011年、元京都大学図書館の雇用職員らによる「くびくびカフェ」が閉鎖された。運営者の一人である井上昌哉さんは、就活に苦しみ、内定後も苦労している同級生の姿を見るうちに正社員としての生き方に疑問を抱き、非正規職員としての生き方を選択した。そこへ上司からの雇用形態差別ともとれる言動、突然の整理解雇通告という、「人を人として扱わない対応」に怒り、ユニオンを結成した。裁判にまで進展したが、「彼らの労働はあくまで家計補助的労働」と位置づけられ、裁判長(京大卒)からは「なんで京大を出た人間がそんな仕事を選択したのか理解出来ない」という趣旨の説諭を受けた。
自分用キーワード
すかいらーくの過労死問題(店長という立場と、残業月200時間にも関わらず、契約社員のため同じ勤務年数の社員の八割しか給料を貰えていなかった) 釜田慧『自動車絶望工場』 公契約条例 職務評価(異なる仕事を比較するために行う) -
図書館で借りた。
就業の形態が正規か非正規かというのは、もはや身分制度として機能しており、職務内容とほぼ無関係に賃金が大幅に異なる状況を生み出している。ただ差がある格差ではなく、不合理なレッテルによる差別であると主張している。
短時間職員が京大を訴えた2011年の事例、女性職員の差別を訴えた兼松訴訟など、ルポだけに色々な人の体験が読めて現在の非正規を取り巻く状況が実感できる。
判決では原告の訴えを理解している部分があるけれど、なぜか敗訴していたり、裁判というものが分からなくなる。
読んでいて不思議なことは、過去につくられた「妻つき男性モデル」のような考え方に企業が縛られていて、そこに当てはまらない人たちが安く使われていることだった。
なぜ、妙なモデルをつくって給与を決めたのか、もう実体が崩れている考え方を変えようと思わないのか、仕事なのだから本書でも紹介されているような職務評価を行い仕事外の条件を持ち込まない評価をすべきではないか、と疑問がわいてくる。
職務評価は介護の事例が載っていたので参考になる。これだけ派遣や委託が一般化しているのだから公契約条例ももっと知られるべきものだと思う。