地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書 1100)
- 筑摩書房 (2014年12月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480068125
感想・レビュー・書評
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人口消滅レポートへの批判本。
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地方消滅を読んだ後に続けて読むと、人口減少問題をより多面的に捉えられる。
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増田氏の地方消滅を先に読まなけばならなかった。
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社会
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序章 地方消滅ショック
第1章 人口減少はなぜ起きるのか
第2章 地方消滅へと導くのは誰か
第3章 「選択と集中」論の危うさ
第4章 多様なものの共生へ
第5章 「ふるさと回帰」は再生の切り札になるか
第6章 持続する制度を生み出す
終章 新しい社会を選べるか
著者:山下祐介(1969-、社会学) -
【由来】
・何で知ったのかは忘れたが、存在は知っており、図書館にはまだ入ってなかった。紀伊国屋でパラパラと見て、これは買って読んでおかないと、と思った。
【期待したもの】
・「地方消滅」が今の人口減少問題を見る時の大きな視座になっているので、その反対側の議論も知っておきたい。
【要約】
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【ノート】
・人口減少という「不都合な真実」に、目を向けさせる狙いもあってか、センセーショナルな発表の仕方だった5月の増田さんの「地方消滅」論。その後、中央公論などで小泉進次郎なんかも乗っかった対談をして、「全ての地方は救えない」など、一見もっともな本音らしく聞こえる論陣を展開している。もちろん、地方がこれからの人口減少にどう対していくかというのは、その地方の特性によるので、一概に国が指導できる性質のものでもない。とは言え、かつて竹下政権時代にふるさと創成基金として1億円を配ったが、それが今でも活きている基盤づくりにつながった自治体はどれだけあるのかという現状を顧みると、単に助成金をばらまくだけでもダメだろう。そもそも地方の活性化なんてことは20年ぐらい前から言われ続けていることなのであって、昨日、今日になってから出現してきた問題ではない。よく「不都合な真実」という表現をされることが多いのは、そういう経緯にもよる。ある知り合いのシンクタンクのスタッフは「この問題が、今になって噴出しているのは(人口学者を主とする)学者の怠慢」と手厳しいことを言っていた。確かに、人口学というのは、他の学問に比べて推定精度が高いのだ。こんにちかくあることはずっと前から分かっていたことであり、それは知り合いの人口学者も認めている。
・そして、その学者によれば、増田さんがセンセーショナル寄りの発表、言動をしているのは、今まで動くことのなかった、そして、先送りばかりされてきたこの問題の重要性を認識する世論を作るためではないかとのことなのだが、それはさておき。
・首都圏への一極集中を避ける。それは人口の流出を止める、それが無理なら、せめて東京ではなくて、各地方に流出した人口の受け皿となる中核都市をダム的に形成していく、ということなのだ。
・人口問題は極めて心理的な問題というのが、著者が繰り返す主張である。これに対して、知り合いの人口学者は反発している。
・また、増田本で展開されている論理の展開には地方切り捨ての上から目線が見え隠れしており、それはかつての大戦前夜と似ている、とまで敷衍する。
【目次】
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「選択と集中」悪玉論を展開している。
それはいい。それは。
増田レポート批判をおこなっているようで、後半はよくわからない。政権批判なのか政策批判なのか、はたまた他なのか、中途半端である。
終章で「コンパクトシティ」云々を上げているが、批判のためには、これらを例示すべきであって、終章に記述すべき政策ではないだろうという印象。
ピンぼけ。研究参考文献かなとおもったが、これはいただけない。
著者は博士課程中退組なのであるから、冷静に類型化、定義をして丁寧に記述しないと。アカデミックでは批判は重要であり、かつ難しいものなのは百も承知のはず。
著者の他の著作から比べてかなり劣る。残念極まりないしもったいない。 -
「選択と集中」に潜む危うさとは。
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・子育てには、経済力以前に、ゆとりのある時間の創出が必要。
・「増田レポート」の「選択と集中」に対して
「多様性の共生」の論理を示したい。
・地方自治体がとりうる「人口減少対策」
1)少子化抑制戦略 2)人口減少適応戦略 3)定住人口獲得戦略
・1980年代生まれのあたりから「ふるさと回帰」「田園回帰」の傾向は始まっている。