地方自治講義 (ちくま新書 1238)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069467

感想・レビュー・書評

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  • 地方自治よりも国政だと思っていたため、市議会や県議会に全く興味が持てていなかったけれど、この本を読んで地方自治の重要性を知った。

    行政はもともと
    小単位である市町が行い、
    それでできないことを都道府県が担い
    それでもできないことを国が行う
    という概念だそう。

    今は国がトップダウン式に地方のお金の使い方に影響を与えているが、地方自治体こそ地方に住んでいる住民の声を一番反映しやすく、その土地土地にあった最適な仕組みをつくることができると指摘されていた。

    自分たちの住む街を快適にするためにもまずは地元の行政に興味を持って、国会議員だけでなく地方議会の選挙にも積極的に参加していこうと思った。

  • 2006/3/2

  • 地方自治に関する論考もさることながら、今流行りの「地方消滅論」を一刀両断する最終講が白眉。

  • 拾い読み。
    最終講の第6講縮小社会の中の自治体、での、日本全体の人口減少と地方の人口減少と東京一極集中は関係がなく、かつ、東京への転入者も減っている、という。
    東京一極集中が問題なのは経済、政治、文化が集中して東京に人が固定化すること。地方のことを知らないまま東京目線の政策が取られる可能性があるから、なるほど。
    それと人口減少は違う問題。
    そもそもの前提が間違っているから「地方創生」などという間違った政策がとられる、と。これが本当は誰のための政策なのか?意味深なことが書かれている。

    たしかに地方に省庁を移すという発想は政治の集中の弊害を無くそうとするものだろうけど、それで日本全体の人口が増えるわけではないし、一方で、コンパクトシティみたいな政策もあるし、なんだか矛盾してる。限られた人口を取り合っても仕方ないし、関係人口というのも、苦肉の策っぽいし。

  • 初学者にはちょっと取っ付きにくい印象を受けた。講義形式というものの書物にすると少し纏まりが無い感じとなっている。

    より具体的、実務的な内容を期待していただけに少し残念。

  • ・自治体の役割と合意形成について
     我々は社会的な動物であって、組織的集団に属して生活していく以上、意思の調整が必要になる。とりわけ、個人の資力では対応できないときに自治体が必要となるのであるが、それは、個人の負担と受益が一致しないこともあるから自治体が必要であるという帰結にもなる(すなわち、自分の負担と受益が一致するのであれば、役場はいらず特定の事業を遂行する民間でよいが、その地方全体のことを総合的に判断して最適に財源を振り分ける機関が必要なのである)。そして、健全な民主主義の下で合意形成を行うことは、誰もが不満を抱える状態のことである。したがって、選択された結果に対して自分の意見は違うが仕方ないと人々が納得するかが問題なのであり、可能な限りの納得を得るためには政策決定の結果ではなく、プロセスが重要である。決定までのプロセスが見えない場合や、過程を飛ばしているような政策には市民の支持=政策の正統性は得られないといえよう。
    ・自治体の原理について
     前近代の封建的な地域社会が全てよかったわけではないが、自治体は社会の近代化に翻弄され、自治体の価値が低下しているのかもしれない(例えば、市町村合併に付随した弊害として、大規模化した市町村で地域社会を見守る目が希薄化することで、東日本大震災のような緊急時に周縁部の旧町村地域への支援が遅れた)。地域社会のあり方は変化せざるを得ないが、人は支えあって生きていかなければならない限り、自治体を使いこなすこと、職員は自治体を機能させることが必要である。その際注意しなければならないのは、何らかの結果について原因を考える際には慎重になるべきということである。多くの人が人口減少問題について対策を考えるときに、日本の人口減少(自然増減)と地域の人口減少(社会増減)を混同しているが、これはそれぞれ別の論理が働いている。自治体ともなれば、市民の税金で政策を行っていく以上、方向性の誤った効果の期待できない政策を進めていくべきでなない。

     著者は全体として、実際に地方公務員として区で勤務した経験から、国に媚びて優遇を受けるような政策ではなく、自治体自らが主体的にその地方に必要な政策を行っていくべきであると主張している。
     専門的な用語やデータが一部登場してくるため、すべてのページをじっくり集中して読むことは難しいが、172~176ページで述べられている、合意(納得)を形成する際のプロセスの重要性については改めて痛感する部分であり、今後念頭に置いていきたいと思わせられる内容であった。

  • 地方自治体の原理と歴史から、分かりやすく書かれています。
    地域社会と市民参加の関係から憲法と地方自治、縮小社会の中の自治体への考察、どれも普段なかなかここまでは考えないかもしれません。
    謎の言葉「地方自治の本旨」のいきさつから意味まで、とても興味深く読みました。
    地方自治の入門書としては最適です。

  • 全体を通じて筆者が何を伝えようとしているのかがよくわらからず、地方公共団体の知識を寄せ集めた書なのかなといった印象。全体としてはよくわからなかったのですが、部分的には新たに知ることもあって、教養のためには意味のないことはなかったと思わせる。

  • 318||Im

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著者プロフィール

自治総研主任研究員

「2021年 『原発事故 自治体からの証言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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