香港とは何か (ちくま新書1512)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480073266

作品紹介・あらすじ

選挙介入や国家安全法の導入決定など、中国の横暴がすさまじい。返還時の約束が反故にされた香港。若者中心の抵抗運動から中米対立もはらむ今後の見通しまで。

感想・レビュー・書評

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  • 香港の情勢を歴史とインタビューから丁寧に考察した良書。特に現在の中国人の中では香港は植民地化根性が抜きてってないから中国人としてのアイデンティティが確立していないという傾向が強まっているのに驚いた。一昔前は中国人にとっての香港は香港文化、映画に代表される憧れのまちでもあったのに。

  • 香港のデモが起きた時から気になっていた本です。香港を多角的に見て語られており、さまざまな比較対象から問題を映し出しています。

    香港民主派には、従来の民主派に加えて本土派(香港の独立や自治権確保を目標とするグループ)があるということが印象的でした。なかなかニュースでは語られない部分であり勉強になりました。

    香港の方々には自分たちが香港人であるというアイデンティティが刻まれつつあります。果たして今後中国との関係はどのようになっていくのか、非常に興味深いところです。

  • 中国が経済成長したこで、良くも悪くもあらゆる意味で世界で力を持つようになってきた。

    香港返還も伴って、これまで保たれていたバランスが崩されようとしている。

    香港に住む人たちも、経済的に恩恵を受ける富裕層や、中国に帰属意識を持つ年代の方々と、香港人としてのアイデンティティを持つ若い世代の間では認識も異なる。

    それでも現在の香港の状況は危機的だと感じるし客観視できない。

  • 【278冊目】元朝日新聞記者の著者による香港の歴史と現状の解説書。事情により通読するのに時間がかかってしまったので前半部分をあまり覚えていないのだけど、香港初心者にとっては読みやすかった。

    前半には、香港民主化の女神と呼ばれる周庭さん含む、民主化活動家への直接インタビューがあり、これが興味深かった。活動家にもそれぞれアプローチの違いがあり、さらにそうした違いが時と共に変化していく様も重要な描写。きっと後から歴史を振り返ったときに、彼らの活動は一色の絵筆でしか描かれないだろうが、実際には様々な色の重ね塗りであることが分かる。

    後半がより強く印象に残っているのだけど、大陸における香港の立ち位置が今とは全然違ったという事実は若い世代は勉強の必要がありそう。
    特に第八章、中国にとっての香港で振り返る歴史のいくつかは、今後大陸と香港の関係を考える上で役立ちそうなのでフレーズメモにまとめておく。 

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 境界の都市/第2章 香港アイデンティティと本土思想/第3章 三人の若者ー雨傘運動のあと/第4章 二〇一九年に何が起きたか/第5章 映画と香港史/第6章 日本人と香港/第7章 台湾の香港人たち/第8章 中国にとっての香港/第9章 香港と香港人の未来

  • 香港って知っているようで、意外に知らないことが多かった。
    東洋と西洋が入り交じっており、中国→イギリス→日本→イギリス→中国と施政権が変わり、その都度柔軟に対応していく、エキサイティングな街。
    先進国ではとかく民主主義が自明視されているけど、香港を見ていると当然の権利すら守るのも難しいんだなと思った。

  • 「パリは燃えているか」ならぬ、「香港は泣いているのか」とでも問いたくなるような騒乱に見舞われた近年の香港。西欧と中国の共存社会が急速に変わりつつあるように見えるそんな香港を解説する本。
    2014年の雨傘運動から2019年の逃亡犯条例改正に始まる大規模なデモ。そこには単なる中国による締めつけと片付けられない歴史と香港人のメンタリティがあるらしい。
    アヘン戦争による香港の誕生史から、ブルース・リーやジャッキー・チェンに代表される映画界、ヤオハンやナショナル炊飯器を通じた日本との関係。
    そこは中国でも西欧でもない、国家とも言い難いような場所であり、香港人が住む地である。その今の香港を理解するために良くまとめられた一冊。

  • 香港が成立するまでのお話…というよりは、香港が「何を持って」香港であるのか、という事を、対日本、対台湾、対英国、そして対中国といった様々な側面から切り込んでいる。

    近年香港で起きていることに興味があり、まだほとんど香港のことを知らない、そんな人に、オススメです。

  •  香港が辿ってきた時代を足下の視点から整理することを試みている。2019年以降の香港の動きは、きわめてはやくそして激動であって、ここまでの展開を実際に予想した人がどれくらいいたであろうか。その歴史的背景を考えた時、世界は香港をどのように捉えればいいのか、そういったことを考える材料になる。一国二制度が形骸化していく現状を踏まえると、これまで香港が香港らしくあった姿をこれから期待することは難しいだろう。
     ただ、本書にはやや勇み足的なところも感じる。中国大陸からの視点も入れた分析があれば、さらに深い議論になるのではないか。

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1512/K

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著者プロフィール

野嶋 剛(のじま・つよし):1968年生まれ。ジャーナリスト、大東文化大学教授。朝日新聞入社後、シンガポール支局長、政治部、台北支局長、国際編集部次長、アエラ編集部などを経て、2016年4月に独立。『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『認識・TAIWAN・電影――映画で知る台湾』(明石書店)、『蒋介石を救った帝国軍人――台湾軍事顧問団・白団の真相』(ちくま文庫)、『台湾とは何か』『香港とは何か』(ちくま新書)、『新中国論――台湾・香港と習近平体制』(平凡社新書)など著書多数。著書の多くが中国、台湾で翻訳刊行されている。

「2023年 『日本の台湾人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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