聖母の美術全史 ――信仰を育んだイメージ (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480074010

作品紹介・あらすじ

なぜ聖母はこれほど愛されるのか? キリスト教の祈りの対象にして、西洋美術史を牽引した聖母像。その起源や隆盛、衰退から変容までを追いかける画期的な一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 文字通り古今東西の聖母、東は日本の踏み絵や隠れキリシタンでの聖母までを扱う。新書だが460ページの分厚さ。美術は知識があったほうが面白く見られるが、聖母マリア崇拝という信仰の枠を超えた巨大な文化があまねく広がった背景を詳述する。面白く読んだ。子供を抱く女神はエジプトのイシスや仏教の観音菩薩など各地にあり、土着の文化と結びついて広がっていった。ラファエロは芸術品としてもれなく美術館に収められ、ムリリョの絵はコピーして庶民の家にもれなく貼られ、イメージとともに愛され崇められたというのも気づきがあった。聖母の描き方、家族や聖人のあしらい方にも「トレンド」があり、時代と場所により変わっていったのがわかった。
    幻視や顕現などいわゆる奇跡にも淡々と触れているものの、筆者もキリスト教徒なんだろうと思って読んでいたが、後書きの娘さんのエピソードには胸を打たれた。

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1578/K

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著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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