昭和史講義【戦後文化篇】(下) (ちくま新書)

著者 :
制作 : 筒井 清忠 
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 61
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480074973

作品紹介・あらすじ

昭和史講義シリーズ最終刊の下巻では、戦後に黄金期を迎えた日本映画界を中心に、映像による多彩な大衆文化・サブカルチャーを主に扱う。昭和史研究の総決算。

感想・レビュー・書評

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  •  下巻は、戦後日本文化のうち映画・音楽などヴィジュアル・音声メディアに関わる内容を扱っている。

     まず、50年代の映画は黄金時代だったのだなあということを改めて実感した。松竹・東宝・新東宝・大映・日活・東映の主要6社について、各社ごとにそれぞれその特徴やターゲット層が具体的な制作作品と共に紹介されていて、社のカラーが良く理解できた。
     しかし60年代に入るとテレビの普及により観客動員数、映画館が急速に減少し続けてしまう。各社とも厳しい状況を踏まえて新しい路線を開拓しようとするのだが、ある程度上手くいく場合もあれば失敗に終わる場合もありで、大きな曲がり角だった訳である。

     映画以外では、テレビ映画、アニメ、漫画、朝ドラなどが取り上げられ、歴史や時代的意義などが紹介される。この辺りは比較的馴染みの世界になるが、一部には新しい視点からの分析もあり、もっと奥深く知りたくなった。

  •  扱うのは映画に音楽、漫画やTVドラマと、上巻以上に馴染みやすい。
     映画では、当初の戦争・核実験というメッセージ性から変容しつつも現在まで続くゴジラ。東宝の明るい社長・若大将シリーズと、対象的に「反理性と本能のデパート」新東宝。雲の上のスターではなく日常世界を描く日活青春歌謡映画。大量生産やスターシステムにより栄えたがそれ故にマンネリに陥り衰退した東映時代劇。また特に伊福部昭を取り上げた講もあり、元は林業技官だったことや、真偽はともあれ当人に軍事科学研究の現場で被曝したとの心情があったことを知った。
     漫画やアニメでは、月光仮面や隠密剣士、リボンの騎士の作り手が同世代であることを挙げ、戦前の軍国少年と戦後のアメリカ文化のどちらサイドの文化的記憶が表出したかの差だと指摘。東映動画からスタジオジブリに至る系譜を紹介。
     朝ドラを扱う講もある。60〜80年代の「女性の一代記」3作を題材に、自己形成の物語を見出す。

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1666/K

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著者プロフィール

1948年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団政策研究所主席研究員。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』『天皇・コロナ・ポピュリズム』(以上、ちくま新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』『昭和史講義【戦前文化人篇】』『昭和史講義【戦後篇】上・下』『明治史講義【人物篇】』『大正史講義』『大正史講義【文化篇】』(以上編著、ちくま新書)、『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『満州事変はなぜ起きたのか』(中公選書)、『帝都復興の時代』(中公文庫)、『石橋湛山』(中公叢書)、『二・二六事件と青年将校』(吉川弘文館)など。

「2022年 『昭和史講義【戦後文化篇】(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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