二つの大聖堂のある町 (ちくま学芸文庫 タ 3-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080318

作品紹介・あらすじ

なぜイギリス中産階級は探偵小説好きなのか。なぜイギリスは世界最大の幽霊大国なのか。どうして酒場をパブ(公)というのか。食事はほんとうにまずいのか-。奥行き深く層の厚いイギリスの文化と生活、一筋縄では行かぬイギリス人の行動と思考のエッセンスを、階級性と地域性に留意しつつ、広い学識と練達の文章で綴る長編エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 探偵小説、幽霊、パブ、料理の不味さなど、イギリスの国民性と絡めて語られることの多いトピックを、経済学者である著者が〈階級〉に注目して読み解くエッセイ集。


    冒頭、探偵小説を扱った章で日英を比較し、イギリスは「よい悪書」、日本は「わるい良書」の国と読んでいるのは一理あると思った。
    本書が書かれた84年と比較して少しはマシになっていると思いたいが、いまだに日本は「役に立たないエンターテイメント」には当たりの強い国だ。だから質に限らず「良書」を謳った本が売れる。対してイギリスは「悪書」=エンターテイメント小説の粋であるミステリーの世界で、読み手も書き手も中流以上の知的階級が担っていたという時代があり、それが良くも悪くもエンタメを踏みつけにしない土壌を作っているという。
    他にも、ワーキングクラスのなかでも体制側の人びとはブラスバンドをやり、反体制的な人びとはロックをやるという思想と階級に絡む音楽談義や、60〜80年代にかけて進んだ味覚革命の話なども面白かった。
    特に、〈Public〉という言葉の感覚を教えてくれる「イギリス的『公』の世界」の章は、今後イギリスのエンタメを摂取する際に参考になると思った。イギリスのパブはPublic Houseの略で、昔は地域の互助会のような機能を果たしていたのだという。そういえばBBCドラマ版「ブラウン神父」にパブの店主が秘密結社のリーダーをやっているエピソードがあったけど、あれもまたパブの影響力の大きさを示したものだったのか。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    なぜイギリス中産階級は探偵小説好きなのか。なぜイギリスは世界最大の幽霊大国なのか。どうして酒場をパブ(公)というのか。食事はほんとうにまずいのか―。奥行き深く層の厚いイギリスの文化と生活、一筋縄では行かぬイギリス人の行動と思考のエッセンスを、階級性と地域性に留意しつつ、広い学識と練達の文章で綴る長編エッセイ。
    目次
    1 ハロゲイトのアガサ
    2 消えゆく幽霊の国
    3 二つの大聖堂のある町
    4 「片想い」の音楽国
    5 ドーヴァの舌びらめ
    6 イギリス的「公」の世界
    7 ロンドン西ひがし
    8 「イギリス病」の人間学断片

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