チベットの死者の書: 原典訳 (ちくま学芸文庫 カ 3-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.51
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本棚登録 : 410
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080677

作品紹介・あらすじ

死の瞬間から次の生を得て誕生するまでの間に魂が辿る四十九日の旅、いわゆる中有(バルドゥ)のありさまを描写して、死者に正しい解説の方向を示す指南の書。それが『チベットの死者の書』である。ユングが座右の書とし、60年代にはヒッピーたちに熱狂的に受け容れられ、また脳死問題への関心が高まる中で最近とみに注目を集めている重要経典を、チベット語の原典から翻訳した。

感想・レビュー・書評

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  • この書籍に手を出したのは、きっかけを辿るとミッドナイトゴスペル。と言う番組なのだが、ミッドナイトゴスペルからサイケへサイケからティモシーリアリーへ、ティモシーリアリーからこの書籍へ。と言う流れで有る。因みにこの書籍に手をつかる最中に改めて出逢ったユングは非常に良い出会いであったが、この書籍のおかげで気付けた、仏教の兄弟の存在についてもこれから接していくところで有る。
    今この世に広がりつつあるヴィーガン、ベジタリアンの流れの中心となるジャイナ教のマハヴィーラにも再開できる機会が得られた。と言うことは非常に良い機会である。と堰を切ったように流れ出る感謝が本書の評価を裏付けている。と思う◎
    この世に絶対はないはずだが、絶対があるのは死のみで死があるのは生があるからだと言うことに気付け、生はゆらぎが作り出した賜物だと言うことに行き着いたのも幸いだ。

  • 難解で後書きが1番参考になった。

  • £3.00

  • 宗教というと生前に厳しい修行をしなければ救われないものだとばかり思っていたがどうも違うらしい。
    何重にもセーフティーネットがありそれぞれの段階の仏様に帰依すれば解脱に至る。

    オルダス・ハクスリーの「知覚の扉」やマイケル・ポーランの「幻覚剤は役に立つか」で著される現代人がサイケデリックでトリップした際の体験に類似する点があることも興味深い。

  • 意味が分からず断念。

  • 死の瞬間から、次の生を受けて転生するまでの間、魂がどのような状況に置かれ、どのようにすれば正しく解脱し正しい次の生を得られるのか、というチベット宗教の死生観について詳説されている。

    特に中盤、胎の入り口を閉ざすための方法が幾重にも段階をふんで書かれているのが面白い。仏となるための正しいプロセスを早々に達成できた人は解脱できるのだが、それができない人のために、5回ほどのチャンス(胎の入り口を閉ざす方法)が書かれていて、これを読むとチベットの人々は「仏になる」ということがそれなりに困難で、一筋縄ではいかないという諦観を持ち、それでも仏になるためにどうすればいいのか、という苦悶を重ねてこの境地に至ったのだろう、ということが分かる。良いことをしてればアッサリと天国に行けますよ、とか言われるより、よっぽど現実味があって人間臭くて信用できる。

    仏や女神、悪鬼などは文章内に非常に多く出てくるが、都度、詳しく補注で開設されているので、読み進めるのはそれほど難しくない。
    チベットの独特の死生観を比較的平易に学べる良書。

  • 拾い読み再読。今ちょうど三島の「豊饒の海」四部作を再読しているのでついでにざっくりと。

    要約すると、死んでから転生するまでの四十九日の間(中有=バルドゥ)に解脱するべく、死んだ人の魂に聞かせてあげるお経のようなもの。間違って転生したりしないように、そっちいっちゃダメだよ、こっちだよ、と誘導してあげなくちゃいけないんですね。

    本人が生前それほど真面目に信仰してなくても、死んでから周囲がフォローしてくれる感じがありがたい。

  • 知ってる人は知っている、その手のものが好きな人には有名な本。
    中二病の人が読んだら己の想像力の乏しさを実感するんじゃないかと思う。
    人間の精神を麻薬や瞑想や生命の危機によってバグらせると、皆似たような幻想を見るという。
    その時の幻想が本書に書いていることに酷似しているらしく、中毒者や修験者や心理学者が読んで絶賛する。
    この本によると、輪廻からの解脱はびっくりするほど簡単で、四十九日間毎日解脱のチャンスが来る上に、一度でも神様の絵を見て知っているか、あれが神様だとお坊さんに枕経で教えてもらったら、それに気づいた時点で解脱できると言う親切設計。
    感じとしては夢の中で、これは夢だと気づくというのに似ている。
    解脱して天国に行くのは簡単だから、高僧になると逆に、輪廻してこの世を救うためにわざわざ人間として生まれ変わるという。
    ご苦労さまです。
    こんなに簡単だと教えてたら、生前から一生懸命宗教活動する人いなくなるんじゃないのかと人事ながら心配になりました。

  • この本は少なくとも二通りに読まれるべきである。

    一つはチベット仏教そのものやその死生観を理解する縁として。そのことについては、例えば『チベット 生と死の書』などが理解を助けてくれるだろうと思う。

    もう一つはこの本が西洋に対して担った役割の理解である。翻訳者のエヴァンス、自分の思想との一致物を見出したユング、そしてカウンターカルチャーの無数の思想家達。これらは創造的誤読と言うべきものであろうが、それによって西洋がチベットを見出したこともまた確かなのだ。

  • 覚りにいたる日々のプロセスが繰り返しが多くて、どこまで読んだかわからなくなりがち。ほのかな光の方ではなく、まばゆいばかりの強い光の方へ行けばいいそうです。死んでからも楽じゃないんだなあ。

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著者プロフィール

1935年千葉県生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。同大学院人文科学研究科印度哲学専門課程博士課程満期退学。文学博士。コロムビア大学中近東言語文化研究科、インド・バンダルカル研究所に留学。ニューヨーク州立大学フルブライト交換教授、筑波大学教授、オクスフォード大学招聘教授、放送大学客員教授、東洋大学教授を経て、現在、筑波大学名誉教授。公益財団法人中村元東方学院講師。文化功労者。著訳書に『一切智思想の研究』(第84回日本学士院賞受賞)、『釈尊のおしえ』、『中村元の世界』(共著)、『原典訳 チベットの死者の書』他がある。

「2019年 『インドの思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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