ユダヤ戦記 1 (ちくま学芸文庫 ヨ 7-7)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480086914

作品紹介・あらすじ

紀元66‐70年、パレスチナのユダヤ人たちはローマ帝国と戦った。だが、彼らにとってこの戦争の結末ほど悲劇的なものはなかった。聖性が宿ると信じられた都エルサレムと神殿を失ったにもかかわらず、彼らの神は沈黙したままだったからである。神の沈黙は彼らに神の再解釈を迫り、以後、ユダヤ人たちの運命は大きく変わった。2000年にわたる流浪の始まりとなったのだ。この戦争を克明に記録した本書は、古代キリスト教以来、現代に至るまで西欧社会の必読書であり、イエスの神性を保証するプルーフテクストとして機能してきた。第1巻は、アサモナイオス王朝の盛衰から開戦前夜までを収録。

感想・レビュー・書評

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  • ユダヤ戦争(66-70)の指揮官ヨセフスが、ローマに投降した後に著した戦争の記録。開戦前夜までが語られる第1巻の中心は大王ヘロデの治世である。

    これまでユダヤの歴史に全く無知で、古代ローマ史の枝葉部分程度の認識しか持ってこなかった。実際史料も少なく扱いの難しい面があるのだろう。ローマ人の顔色を窺いながら執筆しなければならなかったヨセフスの記述がどれほど客観性・中立性を保てたかは疑問だ。同族内でも血を血で洗う殺し合いが絶えず、他民族の挑発にいともたやすく乗るユダヤ人。読みながらどうしても現代パレスティナの深刻な状況と直結してしまい、ことあるごとに複雑な感情に襲われる。

    思慮深いアグリッパス1世は、ローマの残虐なユダヤ総督フロロスに怒りを募らせる民を懸命に説得する。アグリッパスの弁舌は実にかっこよくて惚れ惚れするけれど、血気に逸る群衆の耳には届かない。ただ、短慮拙速なユダヤ人が招いた戦禍であるかのように描かれているところ、実際はどうなのだろう。属領への締め付けをわざと厳しくし、先住民族の不満が噴出したところを一気に叩いて殲滅するというやり口。昔も今も変わらないような。

  • 前半部分は「ユダヤ古代誌」と内容が重なる。いかにユダヤ人が破滅へと向かって行ったか、要するにいかにしてローマと戦争が始まることになったか、までが描かれている。私には半ば自滅したようにしか見えないけどね。

  • 2000年前の文献を読んでみる。それにしても血なまぐさい。そして皆、演説がうまい・・・。

  • ユダヤ古代誌より先に読んだほうがいいのかな…記事が簡略だし…
    でも、ユダヤ戦記は今で言う近現代史ってかんじです。
    やっぱりヘロデにめちゃくちゃページ割いてます。

  • 神様はいないっていう、少し悲しい話だった。

    それと同時に、神がいなくとも命を使い尽くすというヨセフスの強い気持ちも読みとれた。

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