意識に直接与えられたものについての試論 (ちくま学芸文庫 ヘ 5-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480087058

作品紹介・あらすじ

「あの苦しみはこの苦しみより大きい」、「これを欲するわたしとあれを欲するわたしとが衝突する」などと口にするとき、私たちは何を比較し、何を対立させているのか、ベルクソンは、人間の内的事象に固有の表現を、言語の限界線上に模索してゆく。感覚や情緒など互いに比較不能な純粋に質的な諸状態、それらが相互浸透する多様性、さらにその多様性が"持続"において展開する有機能組織化…。本書では、これらの考察を通じて、全く動的に再編された斬新な行為論・自由論が呈示される。『時間と自由』の通称でも知られるベルクソン第一主著の新訳。

感想・レビュー・書評

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  • ベルクソンの著書、純粋持続の考え方について知りたく、彼の思想の入門書を探したが本人の著書を読むほうが良いというような意見も見かけ、挑戦したが非常に難解だった。解説部分などで後からようやく意味を整理できたような側面もあり、是非再読したい。

  • 面白かった。初著作だけあって、ちょっと素人っぽいところもあったが、それがなかなかupliftingで好感が持てる。

  • 『創造的進化』を読んでから、ベルクソンをもっと読みたくなり、手にとった。本書のテーマは「自由」である。結論としては個々人の進展(具体的持続)での決断や表現が「自由」であり、定義不能であることが説かれる。「自由」が生きられるものではなく、まるで心のもつ「事物」として扱われるのは、「時間を空間化」することに原因がある。天文学者が数百年といった時間の計算を紙の上で数分でやってしまうのは、時間を持続として捉えず、空間化し、その同時性のみを問題にしているからだ。科学は予見を目的にしているのだ。なぜ時間を空間化すると、自由が否定されるのかということが、偶然性・予見・因果性の観点からくわしく解剖されている。第一章で展開される、フェヒナーらの精神物理学の批判も非常に面白い。第二章では『創造的進化』にも取り上げられているように、ゼノンのパラドックスが検討されており、運動を無限分割可能な空間と対応させることにパラドックスの根源をみている。このパラドックスに常識に依拠して思考したところが、ベルクソン哲学の一つの源泉なのだろう。ベルクソンが主張する持続は、中国思想では「生生」にあたるだろう。このようなナマの世界にふれた思想は普遍的に見いだされる。デジタル隆盛の現代にあっては、忘れてはならない思想であろう。

  • 高岸にもらった

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著者プロフィール

1859-1941。パリ生まれ。フランスの哲学者。コラージュ・ド・フランス教授(1900)。アカデミー・フランセーズ会員(1914)。ノーベル文学賞(1927)。主著に『意識に直接与えられたものについての試論』(1889)、『物質と記憶』(1896)、『創造的進化』(1907)、『道徳と宗教の二源泉』(1932)など。

「2012年 『ベルクソン書簡集 Ⅰ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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