インド神話: マハ-バ-ラタの神々 (ちくま学芸文庫 マ 14-14)
- 筑摩書房 (2003年1月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480087300
作品紹介・あらすじ
悠久の時間と広大な自然に育まれたインド神話の世界を原典から平易に再現した紹介書。ヴェーダ聖典中の神々と神話から始まり、大叙事詩『マハーバーラタ』を中心として重要な神話を選び出し、他の伝承と比較することにより、有名なインド神話を可能な限り網羅した。不死の霊水アムリタ(甘露)を手に入れるため、神々と悪魔たちとが協力し、マンダラ山を棒にして大海を攪拌する「乳海攪拌」の神話、雨を降らせるため天女が仙人を誘惑する「一角仙人伝説」、猪・人獅子・朱儒・ラーマ・クリシュナなどに化身して、悪魔と闘うものたちを助ける「ヴィシュヌの十化身」、最も崇拝を集めるクリシュナの偉業に関する伝説などを含む。
感想・レビュー・書評
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たくさんの神さまがいてたくさんの悪魔とかといろいろなことを繰り広げるのだが、どことなく人間ぽいところがあったりおおらかだったり、興味深い。苦行を邪魔するのはいつも女性だとか、死んじゃってから別の子どもに生まれ変わるとか神話はおもしろいな。古事記とか日本書紀も読んでみようかな、という気持ちになった。
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インドの神話は同じエピソードでも文献によって多様なバージョンがあるようですが、本書はしっかりと出典とその文献が書かれた時代を明記してくれているので分かりやすいです。マハーバーラタを主な出典としていますが、著者が原典訳を執筆していたこともあり、物語の本筋は思い切ってカットして、挿入されている神話のエピソートが抜粋されています。
広くて歴史の長いインドの神話なので、当然のことながら一貫したストーリーはなく、少々理解するのが難しかったです。でもあまりこだわらず、分かりやすい文章で書かれたダイナミックなエピソードたちを単純に楽しもうと思って読むんだらなかなか良かったです。
個人的には、神々のパワーのバランスが完全に崩壊しているのが面白かったです。最強に見えるトップクラスうの神でも、ぱっと出の新キャラにすぐ負けるし、意外に雑魚キャラの呪詛なんかが最強クラスに効いたりしてびっくり。力関係を無視して約束とか呪いなんかの拘束力がすごく強くなるのは、古代インドの法や秩序を表すダルマの概念とのつながりを感じさせるものでした。
本書を傍におきながら、マハーバーラタとラーマーヤナを読むといっそう面白そうです。 -
図書館で借りた。
ちくま学芸文庫から、インド神話の本。著者はインド文学研究者で、インド神話の入門書的存在と言える本だ。文庫なので小説気分で読めるのではないか。
…とは言え、インド神話だ。世界観が分からないと中々入り込めない。「鼻から神が生まれた」とか、絵を想像…すらできない。私は「訳わかんねぇ」というのが第一印象だ。子供向けのアニメとかで見た方が理解できるかもしれない。。。 -
類書に比して充実・卓越した内容。
原典にあたり解説という著者の姿勢に敬意。 -
・神々を通し、神々を祀るバラモンの重要性を説く。神々もバラモンを蔑ろにすると、苦悩したり、罰を受けることがある。
・苦行者は、時に神をも恐れさせる。インドラが力の強い苦行者を恐れ、修行を邪魔するという話が多数存在。
・苦行者に梵天は、はたびたび祝福を与える。時には悪魔にも祝福を与える。
・ヒマラヤ山やガンジス川などの自然物を表す神も存在する。また、毘沙門天や吉祥天など、後に仏教に取り入れられる神も多数存在する。
・創造神話の一つに、神々がマンダラ山を用いて海を攪拌し、甘露(不老不死になれる飲み物)を作ろうとする話がある。
・洪水伝説もある。
日本の神話や聖書等と共通するような要素があり、面白かったです。基本的には、神話にしては筋の通った話が多く、また明るい結末の話が多いと感じました。
時代ごとに、著名な神話がまとめられ、神々の変遷も辿れるような流れとなっており、訳も読みやすく、楽しめました。
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内容としては,「リグ・ヴェーダ」に始まるヴェーダの神話から始まり,叙事詩「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」の解説に加え,ヴィシュヌの十化身とクリシュナ伝説についても触れられる。学術的な入門にもってこいの本だと思う。
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もともとの神話を正確にあらわそうという、誠実な試みに基づいた一冊。したがってこれは、連なってひとつのストーリィを為すのではなく、主要のエピソードとその派生を紹介するかたちをとっているように思う。多神教の神神の出自(といっていいのか?)やその象徴である話のほか、情けない話などもいろいろと読めるのは楽しい。天女(アプサラス)の出る話群がいちばん好きだ。ただ、やはり「そのものを通して読んでみたいなぁ」とも思ってしまう。あとがきに示されていたので調べてみたところちくま文庫から、同著者の8冊になるマハーバーラタが訳されて出ていた。これを読みたいが絶版らしく、古書店にも在庫がない。……復刊をお願いしたい。
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ずっと積んであったものを読んだ。エピソードを紹介したあとに解説が入り、物語としてのみならず、どのように成立した話なのか、どのように進行されたのかなど、信仰における背景も学ぶことができる。読みやすい。
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インドの神話を「マハーバーラタ」を中心に「リグヴェーダ」「ラーマーヤナ」などを絡めてときほどしていく本。
仏教以前の話だが、仏教中心の国・日本にも馴染み深い神様があまた登場する。梵天、シヴァ、アグニなどなど。
小説ではないので読みづらい部分は多々あるが、興味深い一冊だった。