ことわざの論理 (ちくま学芸文庫)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480090881

感想・レビュー・書評

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  •  英語専攻の学生として肩身の狭い中勉強し、戦後、自分を馬鹿にしたり嫌な顔をしていた連中が、戦後一斉にひっくり返って、他の学科へ転科した人まで英語をやった人間としてふるまい始めたりすることが触れられている。外国のニュースばかりありがたがる日本の新聞ともからめて、「隣の花は赤い」を説明したりしている。
     「名著を読んだら著者に会うな」が好きだ。ことわざなのかどうかわからんけど。あと、「もうはまだなり まだはもうなり」。これもまさにホントそうやろなと思える。

  • この本は、知の巨人こと外山滋比古さんの書かれた本です。
    「ことわざ」を通して言葉、社会、人間関係などを考察しており、単に「ことわざ」を知るだけでなく、多角的視点で「ことわざ」を捉え、深掘りしてあり、とても参考になりました。

  • 人の噂も七十五日等の小学生が知っていることわざを解説した本。
    急がば回れ(festina lante)を胸に、ゆっくり急いで行動したい。

  • ことわざの成り立ちや、洋の東西による相違点や共通点について。知識として知っていることは多いが、味わい深いです。

  • 転石 苔を生ぜず
    この言葉には初めて英語の時間に出会った。A rolling stone gathers no moss
    分詞構文の例題より日本語に感心してしまった。

    どこの国でも同じことを考えるものだ。
    ここにもそう書いてある。
    でも最近少し違った意味にも使い出したそうだ。

    アメリカ式解釈で、優秀な人なら引く手あまたで席が温まる暇がない。それってヘッドハンティング?「会社変わるの、まだ no moss なのにね、うらやましいです」なんていわれるのかな。
    この言葉がイギリスで生まれたときは、絶えず商売換えする人に金はたまらないという意味だったとか。

    私は日本人なので、やっぱり腰の定まらない人は生活も安定しない、と言うように感じるけど。

    終身雇用でなくなってきたら、能力を磨かないと苔が生えると言われかねない気もする。

  • 読書録「ことわざの論理」4

    著者 外山滋比古
    出版 筑摩書房

    p118より引用
    “まったく違ったことばを使い、まったく
    違った社会と歴史の仲に生きてきたふたつの
    国民が、同じ人間の心理に着目しているとい
    うのは、おどろくべきことではないか。人間
    はやはり人間としての心を共有している。”

    目次から抜粋引用
    “転石、苔を生ぜず
     急がばまわれ
     話半分腹八分
     人の噂も七十五日
     医者の不養生”

     大学教授である著者による、世界中にある
    ことわざについて比較考察した一冊。過去他
    社刊行文庫版。
     日本と他国で同じ意味のものからことばが
    同じでも正反対の意味を表すものまで、こと
    わざを通して人の心の動きや歴史について書
    かれています。

     上記の引用は、「目くそ鼻くそを笑う」と
    同じ意味を持つ英国の「なべがやかんを黒い
    と言う」について書かれた一節。同じ人間だ
    から、似たように物を考える、と思えること
    もあります。しかし反対に、本当に同じ種類
    の生物なのか?と疑問を覚える事もあります。
     正反対の意味を表すことわざが、両方共歴
    史から消えずに残り続けていたりするのには、
    なにかしら大切なことが含まれていることを、
    人が感じ取っているからかもしれませんね。

    ーーーーー

  • 人の知恵を、人としての知恵を伝える、言葉のワザが、ことわざだったんですね。
    桃太郎伝説は、大人も子供も学ぶもの、そうだったんですね。

  • ことわざを我々は軽視してしまう傾向があるが、この本でその価値を再認識させられた。

  • 様々なことわざを外山先生独自の目線で見ていくという内容で、とても面白かったです。この本を通じて、ことわざは人間社会の本質を突いた言葉であり、今でも日頃から使われているということを学ぶことができました。ことわざを今まではあまり重要視することは無かったのですが、これを機に価値判断の基準として取り入れていこうと思うようになりました。

  • 外山先生の著書は書き下ろししてからかなり年数が経っていても遜色なく読める内容がほとんどです。
    「三十六計逃げるに如かず」のようなことわざは「普段着の知恵」と表現されるように、調子がよくリズミカルで大抵の人にひと言で状況を理解してもらえる便利さがあります。
    「ことわざはおしゃれである。‥語呂が悪かったら相手にしてもらえない」というように先生はこの本で様々な角度からことわざの魅力を語ってくれています。
    ことばは生き物ですから文化の違いがあれば同じような言い回しでも解釈が異なり、時代の変化に合わせて変遷しつつもしぶとく生き残っているというように様々なことわざの例が満載です。
    桃太郎おとぎ話の解釈からの「娘は棚に上げ嫁は掃きだめからもらえ」や「モモクリ三年カキ八年ユズの大バカ十三年」など面白く読みました。

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 読みの整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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