リキッド・モダニティを読みとく: 液状化した現代世界からの44通の手紙 (ちくま学芸文庫)
- 筑摩書房 (2014年3月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480094841
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架 361A/B28r//K
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様々な問題が複雑に絡み合った様を液状化といっている思うけど、44の短いエッセイはそのことを表現するのに適していたと思う。でも考え方が古く感じる部分もあったなぁ。
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著者はユダヤ系ポーランド人のようだが、この本の内容はかなりグローバルで、アメリカっぽいところもあり、こんにち文明国が直面する様々な問題を切り取ってくる。
「液状化した現代世界」というのは、要するにはっきりと固定されたものがなく、すべてはめまぐるしく移ろってゆく、という観点によるもの。ただし、東洋的にはこういう「無常観」は現代にとどまらず昔からの常識ではある。
2010年刊行の本書のトピックスは新しい。ケータイを含んだインターネット、ツイッター、オバマ、消費社会、リーマンショック以後の不況といったタイムリーな話題をめぐって、44の短い文章が並べられている。
著者の視線は鋭い。
鳥のさえずりのように「しるし」として以外の意味内容を持たないツイッターは、「自分の重みを増すためには人に見られる必要がある」とたたき込まれた現代人によって支持されている。つまり有名人なみに「見られる」ことによって現代人は自己の存在感を充足させようと欲望する。
「普通人のツイッターは、地元の大通りの店に並ぶ、オート・クチュールのコピー品の派手さを思わせる。貧者に平等感を与えるための代替物なのだ。」(P37)
とはいえ、ここに並んだ文章はどれも、ツイッターほどではないが、あまりにも短すぎるので、体系的に思想が深まることがない。
思想の書というより、ひときわ鋭利な知性をもった頭脳から発出された、輝くようで軽やかなエッセイ集として、私はこの本を楽しんだ。