リキッド・モダニティを読みとく: 液状化した現代世界からの44通の手紙 (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480094841

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架 361A/B28r//K

  • 様々な問題が複雑に絡み合った様を液状化といっている思うけど、44の短いエッセイはそのことを表現するのに適していたと思う。でも考え方が古く感じる部分もあったなぁ。

  • 著者はユダヤ系ポーランド人のようだが、この本の内容はかなりグローバルで、アメリカっぽいところもあり、こんにち文明国が直面する様々な問題を切り取ってくる。
    「液状化した現代世界」というのは、要するにはっきりと固定されたものがなく、すべてはめまぐるしく移ろってゆく、という観点によるもの。ただし、東洋的にはこういう「無常観」は現代にとどまらず昔からの常識ではある。
    2010年刊行の本書のトピックスは新しい。ケータイを含んだインターネット、ツイッター、オバマ、消費社会、リーマンショック以後の不況といったタイムリーな話題をめぐって、44の短い文章が並べられている。
    著者の視線は鋭い。
    鳥のさえずりのように「しるし」として以外の意味内容を持たないツイッターは、「自分の重みを増すためには人に見られる必要がある」とたたき込まれた現代人によって支持されている。つまり有名人なみに「見られる」ことによって現代人は自己の存在感を充足させようと欲望する。
    「普通人のツイッターは、地元の大通りの店に並ぶ、オート・クチュールのコピー品の派手さを思わせる。貧者に平等感を与えるための代替物なのだ。」(P37)
    とはいえ、ここに並んだ文章はどれも、ツイッターほどではないが、あまりにも短すぎるので、体系的に思想が深まることがない。
    思想の書というより、ひときわ鋭利な知性をもった頭脳から発出された、輝くようで軽やかなエッセイ集として、私はこの本を楽しんだ。

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著者プロフィール

1925年、ポーランドのポズナニのユダヤ人家庭に生まれる。ナチス侵攻によりソヴィエトに逃れ、第二次世界大戦後ポーランドに帰国。学界に身を投じワルシャワ大学教授となるが、68年に反体制的知識人として同大学を追われる。イスラエルのテルアヴィヴ大学教授などを経て、現在リーズ大学名誉教授、ワルシャワ大学名誉教授。現代の社会学界を代表する理論家である。邦訳書に『個人化社会』(青弓社)、『コラテラル・ダメージ――グローバル時代の巻き添え被害』(青土社)、『コミュニティ――安全と自由の戦場』(筑摩書房)、『リキッド・ライフ――現代における生の諸相』『リキッド・モダニティ――液状化する社会』(ともに大月書店)、『廃棄された生――モダニティとその追放者』(昭和堂)など多数。

「2012年 『液状不安』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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