新編分裂病の現象学 (ちくま学芸文庫 キ 14-5)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480094971

作品紹介・あらすじ

実践的な臨床の経験から、分裂病(統合失調症)を治療すべき異常なものとする論理に与することなく、人間という矛盾に満ちた存在そのものに内在している自己分裂に根差したものとする地平から紡ぎだされた珠玉の初期論文。西田哲学における自‐他論や時間論を敷衍し、分裂病者の自閉性や体験の基本的構造に注目することにより、自我障碍よりも人と人との「あいだ」における自己の自己性の危機、自己と身体との乖離を論じる。

感想・レビュー・書評

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  • 木村敏さんの初期論文集で、古いもので1965年から、70年代にかけての論文が収められている。
    第3章の一つめ、「精神分裂病症状の背後にあるもの」が一番古いが、これはさすがに、あまりにも西田幾多郎の影響が顕著すぎて露骨だが、後年の論文と読み合わせると、著者の思考がどんどん固有のものに結晶化してゆくのがわかる。
    はじめ躁鬱病患者を診せられたが、離人症の研究で開眼、待ち望んでいた分裂病(統合失調症)の研究へと歩を進める。
    精神病理学においても、現象学的アプローチはすでに古くさく見えていることだろう。時代はなんでもかんでも器質的な説明の方を要求しているから。
    しかし統合失調症の分析をとおして、人間の本質を探究していく過程はやはり極めてスリリングであり、この初期論文集も感銘深いものであった。

  • あまりに、あまりにも難解。これを雲の上の世界というのかも。

  • [出典]
    「異常の構造」木村敏

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/738378

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著者プロフィール

1931年生まれ。京都大学名誉教授。著書に『木村敏著作集』全8巻(弘文堂)、『臨床哲学講義』(創元社)、共訳書にヴァイツゼカー『ゲシュタルトクライス』(みすず書房)ほか。

「2020年 『自然と精神/出会いと決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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