カント入門講義: 超越論的観念論のロジック (ちくま学芸文庫 ト 9-2)
- 筑摩書房 (2017年3月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480097880
感想・レビュー・書評
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ほんとうは同じちくま学芸文庫から出てる『ロック入門講義』を買いたかったのだけど、なかったので同じ著者の『カント』を購入しました。
知覚、観念、表象、印象、「物自体」などなど。ロック、ヒューム、バークリあたりと合わせての記述がおもしろい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言ってること半分くらいしか理解できなかったけど半分は理解できたというポジティブな捉え方もできたり。
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カントの主著『純粋理性批判』を読む勇気は出ないから、解説ばかり読んでいるが、解説を読んで理解してもいつも忘れてしまう。今回が何度目の挑戦か。
本書を手に取った理由は、図版が豊富で、文章も平易、しかもカントの伝記にもページが割かれているため、カントという人となりとともにその哲学を記憶できないかとたくらんだためだ。
結果、読んでとてもよかった。これからカントについて知りたいという人がいればまず本書をすすめたい。
本書を読みながらずーっと妄想のように頭に張り付いていたのは、カントの『純粋理性批判』というのは、無数のヴァリエーションが考えられるなあということ。
例えば、人類とは異なるつくりの火星人がいたとして、火星人なりの『純粋理性批判』がありうる。そんな極端な例でなくても、猫の純粋理性批判、というものありかもしれない。
本書のキーワードは「物自体」という奇妙な概念。
カントによれば、実体として存在してはいるのだけれども人間が決してじかに認識できないモノ。それが私たちの感覚を「触発」することによって何らかの認識をもたらす。そんな存在。
この概念が奇妙なのは、じかに認識できないがゆえにあるとは言い切れない(私たちの感覚器でさえ物自体であるわけだし)のに、カントは「ある」と言い切ってしまっているところ。
(いまの宇宙論でいうダークマターとかを想定すればいいのだろうか。)
カントによれば、私たちの知性による思考形式がなければ経験を経験たらしめることもできない。しかも私たちには空間と時間という直観の形式がもともと備わっていて、それではじめて表象や現象を認識できる(ここはもろにニュートンの影響。カントは大学で数学や物理なども講じていた)。
そうそう、カントは経験をまったくの「偶然的」なものと捉えていて、これは単純になるほど確かにそうだと思った。
では私たちはカオスの海にいるのかというと、そうでもないらしい。
世界には何らかのことわりがある。
それを「アプリオリな総合判断」に探る。この極端な例は、「純粋数学」と「形而上学」であるらしい。解釈するにたぶん、人間(個人)がいなくたってある程度成り立ちうることわり、のことだと思う。
しかしカントは「純粋理性概念」という人間の思考形式が別様でありえたかもしれないという可能性は拒否した。この点が、じっさいに書かれた『純粋理性批判』の限界だ。
本書にもあるように、ヘーゲルやニーチェは、この思考形式が時代によって変わる可能性を指摘したわけで、フーコーの仕事もしかり。
やっぱり『純粋理性批判』そのものを読もうという気は起きなかったけど(なにせ長い!)、カントが拒否した別様の純粋知性概念を創作し、もしもたとえば宇宙人が『純粋理性批判』を書いたらどうなるか、という設定でSF小説にしてみたいという欲求がむしょうに膨らんだ。 -
純粋理性批判でのカントの基本的な考え方を一つひとつ丁寧に解説している。
黒崎政男「カント『純粋理性批判』入門」(講談社選書メチエ) と並んで、非常に分かりやすい入門書。 -
うー読了
めちゃ面白かった
カントの1冊目として、同じ著者のデカルトやロック、バークリーを読んできたので、これが一番読みよかった
ある意味、人間は人間の環世界としての世界にしか生きてない、というような、そうそう、という感じ
もう一冊、入門書読んでみよう -
非常にわかりやすくカントの観念論について解説されている。
著者のほかの本も読んでみたくなります。