- Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480102133
感想・レビュー・書評
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2018/6/23購入
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ちくま日本文学全集013
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題名だけは聞いたことがあった「お絹とその兄弟」も「のんしゃらん記録」も「別れざる妻に与うる書」も、なんとなく想像していた昔の日本の薄暗いべたっとした苦労話とはまったく違った。細かな細工ののった砂糖菓子みたいな、詩的な童話のような「きれいなもの」の話が多くて、そのうつくしさの純度が高くてとてもよい。「李太白」「美しき町」あたりが好み。
「別れざる妻に与うる書」は大泉洋ばりのぼやきが綿々と綴られていて可笑しい。若いころにあんなぶりぶりの叙情詩を書いていた人が「女なんてみんな同じだあ」ってむくれていて笑ってしまう。しょうがないひとだ。
SF的な「のんしゃらん記録」はダークな耽美フレーバーがあって、ピエール・クリスタンの『着飾った捕食者たち』を思い出した。 -
『のんしゃらん記録』
どん底の生活をしている人間に
「植物になってみませんか?痛みも飢餓もないですよ。」
なんて話しを持ちかけられたら…。
いざ植物になってみたら…。
感情を持ちながらだったら…。
水を与えてくれなかったら…。
恋をしてしまったら…。
そういえば数年前まで庭に薔薇を植えていました。今はもうありません。父が根本を切ってしまったのです。もしあれが植物になった人間№1928なら庭には下半身が埋まってるわけで…。植物は大切に。 -
ユートピアを追い求める三人の姿がすごく印象的。
素敵な小説だな。