ちくま日本文学全集 37 正岡子規

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480102379

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  • ちくま日本文学全集037 正岡子規。

    正岡子規は脊椎カリエスのため、35歳で亡くなる最後の4、5年は、まったくの寝たきり状態でした。
    それはなんとなく知ってましたが、どれほどひどい状態であったのか、そういうほとんど体を動かせない中で、いかにたゆまず諦めず文学者としての活動を行っていたかということについては、「墨汁一滴」や「病状六尺」を読んではじめて知りました。

    ただ、文語文はやっぱりなじみが薄いし、俳句もあまり興味ないので、「歌よみに与うる書」や「古池の句の弁」に込められた熱は分かるものの、あまりピンときませんでした。

    文章を読むのにせっかちなせいか、俳句や短歌をゆっくり味わうなんてことができないんで、作者が全力を傾注した文学の革新についての関心がさっぱりわきません。

    苦痛に満ちた日々の途切れ途切れの呟きといえる彼の作品に求める方が無理なのかもしれませんが、諧謔の要素、笑いの気配がまったく伝わってこないのはつらい。
    正直言って、読むのがしんどかったです。
    かといって、暗く陰惨な苦労話が語られているというわけでは、ちっともないのですけどね。
    どうも私とは縁遠い人のようです。

    でも、ベースボールの歌はよかったな。

    打ち揚ぐるボールは高く雲に入りて又落ち来る人の手の中に
    今やかの三つのベースに人満ちてそゞろに胸のうち騒ぐかな
    (p435)

    それにしても解説は最悪です。
    この天野祐吉という人が何者かしりませんが、1度目はそうでもなかったけれども、2度目読んだらなんだか気持ち悪くなった。
    寺田寅彦の解説を書いていた藤森照信という人もひどかったけど、それに匹敵する不快な文章。

    う~ん、なんでなのかなと考えたみたところ、藤森氏の場合は、寺田寅彦の解説を書いているにもかかわらず、当の作者への愛情が感じられなかったからだと思う。

    今回のも、やっぱり作者よりも自分が目立とうとする姿勢とか、ワン・ヒントで最後まで押し通そうという厚かましさとか田舎臭さとかがが鼻につくからだろうな。

    正岡子規の凝縮された文章と短い人生をたどったあとで、こんなスカスカ文を読まされてはかないません。
    解説者がどうこうというより、こういう人を選んできた編集者が悪いんでしょうけが。

    次は大佛次郎。
    誰だろうこの人。名前だけは知ってますが…。
    たしかオサラギと読むんでしたっけ。

  • くだもの
    ラムプの影
    九月十四日の朝
    俳句
    俳句問答
    古池の句の弁
    墨汁一滴(抄)
    夏の夜の音

    小園の記
    明治三十三年十月十五日記事
    松蘿玉液(抄)
    歌よみに与うる書
    死後
    煩悶
    熊手と提灯

    病牀六尺(抄)
    短歌

    車上所見

    雲の日記
    飯待つ間

  • わたしの正岡 子規のイメージは、江川 達也の「日露戦争物語」の前半のノボさんのイメージです。

    元気な頃のお話は、割と、そのイメージ通りかな。いや、病気になってからも、偉そうにしながら甘ったれなところなんかがかいま見えたりして、基本的には、楽しい人なんだろうなあと思いました。*1

    野球を楽しそうに語るところなんか、いいです。

    いや、お前の説明、さっぱりわからんし!!

    まあ、野球自体も、めちゃくちゃ画期的なありえないルールのスポーツなんだと思いますけどもね。

    短歌、俳句の批評は、よく理解できないところもあるのですが、この人、めちゃくちゃ真面目で理屈っぽいです。
    理屈で歌を詠んではいけない、感性で詠めということを、ひたすら理屈が通るように理屈で説明しようとしているみたいに感じました。

    うーん、わたしは、短歌や、俳句はよくわからないのです。特に、俳句は、よくわからない。
    でも、この人の俳句、そんなに感心できるものとは思えないんですけども……。

  • (200801)

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