ふしぎなことば ことばのふしぎ ――ことばってナァニ? (ちくまQブックス)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480251367

作品紹介・あらすじ

子どもや詩人のハッとさせられることば遣いからひもとく「ことば」のふしぎ。ふだんは内容ばかりが気になるけれど、ふとしたきっかけでふしぎな姿を現してくる。

感想・レビュー・書評

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  • 1984年の文章がもとになっている本。いまの子どもにはなじみのない言葉や表現が若干みられる(子どもが親に頼まれて空き地でごみを燃やす例など、かなり驚くだろう)が、話している主題は今も古びていない。少し古い文章でも読める中学生ならば問題ないだろうが、本に親しみのない子ども向けであれば、現代的な内容にアレンジして紹介したほうがよい。なじみのない表現が例示されていると、内容がうまく伝わらない。
    本書の出版は2022年なので、同テーマで書き直されたものになればよりよかったと思う。(スマホが登場するので加筆はされているだろうが、それにしてもなじみのない表現が多いので子どもたちには伝わりづらい)

  • 1987年にちくまプリマ―ブックスから出た、同タイトルの本の改訂新版とのこと。
    元の本を読んでいないけれど、たしかに、近年の例も出てくる。
    内容はむしろ精選されているのかな?
    かなり薄い本になっている。

    久し振りに池上さんの文章を読んだ。
    ことばが無色透明な意味の乗り物であることをやめ、ことばそのものに意識せざるをえない使い方をされたとき、新しい認識の世界が広がる。
    粗雑なまとめかもしれないが、池上詩学のエッセンスはここだろうと思う。

    詩の言葉の魅力を考えてみようよ、とやさしく呼びかけてくれるような一冊。

  • 「30年以上愛され続けた10万部のロングセラーが、読みやすくなって新登場!
    「伝える」だけじゃない。ことばには「創り出す」はたらきもある――子どもや詩人のハッとさせられることば遣いから、やさしくひもとく“ことば”のふしぎ。これからことばが「自己紹介」を始めます。聞いてみてやってください。」

    著者:池上嘉彦(いけがみ・よしひこ)
    1934年、京都市の生まれ。東京大学で英語英文学(B.A.,M.A.)、Yale大学で言語学(M.Phil.,Ph.D.)専攻。現在、東京大学名誉教授、日本認知言語学会名誉会長。インディアナ大学、ミュンヘン大学、チュービンゲン大学、ベルリン自由大学、北京日本学研究センターなどで客員教授、ロンドン大学、カリフォルニア大学バークレー校などで客員研究員。Longman Dictionary of Contemporary English(3rd ed.),『ロングマン英和辞典』で校閲者。著書に『意味論』『「する」と「なる」の言語学』(大修館書店)、『記号論への招待』『ことばの詩学』(岩波書店)、『〈英文法〉を考える』『日本語と日本語論』(ちくま学芸文庫)、『英語の感覚・日本語の感覚』(NHKブックス)など。言語学書の翻訳、論文多数。

  • 日常、何気なく使っている言葉遣いから、よくよく考えてみると不思議な表現を見つけて紹介していく。著者は、言葉の不思議な使い方に注目することで、見聞きしたことを伝えるツールではなく、新しい現実を作り出すものとして、言葉を捉え直そうとする。言葉の不思議に対して、一般的な感覚に根差した楽しみ方が書かれているところが面白かった。

    例えば、「なぜ『辞書』を『ひく』のか?」「どのうような想像力が働いて、あだ名はつけられているのか?」。普段、何気なく目にしている表現から、こうした疑問見つけ出して、その理由を説明していく。説明の仕方は、「引く」の典型的な意味から、意味が広がりを追っていったり、喩え方の違いから説明したり、それでいて小難しい専門用語を使うことなく説明されていて、読みやすい。

    個人的には、14章の「こんにゃく問答」の話が面白かった。「ことばには、いちおう意味が決まっていますから、勝手な解釈はできないわけです」という時の、この「いちおう」「決まっている」という言葉に対するスタンスが、本全体の言葉の意味の広がりを楽しむ基本的なスタンスになっているように思う。

  • 10代向けのノンフィクションシリーズ「ちくまQブックス」の本。
    普段何の気なしに使っている言葉たちを改めて見直すと、確かに不思議だな、何でだろう?と思うことが大人でもいっぱいで脳がやさしく刺激された。

    大人になって言葉に関する本というと、いわゆる「正しい日本語」や「話し方」を学ぶような実用書ばかり見がちだったが、そもそも「ことば」はそういう側面だけでなくもっと自由で創造的なものでもあったなと、思い直せた。

    例えば、実はどこか筋が通らない、考えるとおかしいような表現でも、慣れ親しまれてふさわしい表現として自然に使われていて、一つ一つがそこまで厳格なものでは無かったりする。また、慣れ親しんだ表現も、詩や広告などではその組み合わせを変えて、新鮮な印象を与える表現を作ったりする。音を少し変えるだけで新しい擬音語や擬態語もたくさん作れる。ことばはまだまだ使われていないところがたくさんあって、そこから自由に新しいことばをつくってもいい。新しい言いまわしを身につけるほど世界も広がっていく。

    もっと「ことば」を楽しんでいきたくなった。

  • 普段何気なく使っている言葉について、いろいろ教えてくれる本でした。
    辞書をひく、なんで、辞書なのにひくんだろう、確かに、考えたこともなかった。
    ことばは、もともとそのことばが持つイメージがあって、そこからいろいろな使われ方をしている。
    ときどき、でてくる宿題?の答えが知りたい!

  • 言葉って、こんな色んな楽しみ方があるんだという入門編。

  • 読んでいるうちにことばって何だろう?って頭がぐるぐるしてくる。面白かったです。

  • 『ふしぎなことば ことばのふしぎ』(ちくまプリマーブックス、1987、学生時代に図書館で借りるなどして読んだと思う)の再編集版。現在の言葉をめぐる状況を踏まえ、適宜、加筆・修正が入っているとのこと。
    通じ合うことになんの不思議も感じずにふだん当たり前に使っている言葉、でもちょっと立ち止まって考えてみると、子どもや外国人の身になってみると、音と意味の結びつきやコミュニケーションは不思議なことでいっぱいなんだなあとよくわかる。小学校高学年から読めそう。日本語の教材としてもこのままいけそう。

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著者プロフィール

1934年、京都市の生まれ。東京大学で英語英文学、イェール大学で言語学専攻。現在、東京大学名誉教授、日本認知言語学会名誉会長。インディアナ大学、ミュンヘン大学、チュービンゲン大学、ベルリン自由大学、北京日本学研究センターなどで客員教授、ロンドン大学、カリフォルニア大学バークレー校などで客員研究員。Longman Dictionary of Contemporary English(3rd ed.),『ロングマン英和辞典』の編集で校閲者。著書に『意味論』『「する」と「なる」の言語学』(大修館書店)、『記号論への招待』『ことばの詩学』(岩波書店)、『〈英文法〉を考える』『日本語と日本語論』(ちくま学芸文庫)、『英語の感覚・日本語の感覚』(NHKブックス)など。言語学研究書の翻訳、論文多数。

「2022年 『ふしぎなことば ことばのふしぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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